婚約者は私より親友を選ぶようです。親友の身代わりに精霊王の生贄になった私は幸せになり、国は滅ぶようです。

亜綺羅もも

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 朝目覚め窓を開けると、自然の香りが部屋に広がっていく。
 肺いっぱいに空気を吸い込む。

「ここは空気が新鮮ね。病気になんてならなさそう」
「そうだろうさ。精霊が活発に活動しているところじゃ、病気にならないよ」
「!?」

 窓の外からレッドが部屋に入って来る。
 入って来るなり笑顔を向けて、両手いっぱいに花を手渡してきた。

「これは?」
「イクス様からルビア様に。あの人、ルビア様のことすっごく好きみたいだよ」
「そ、そうなの……?」

 私は花の束をギュッと抱きしめ、顔を真っ赤にしていた。
 嬉しい。
 純粋に嬉しいわ。

「イクス様はどちらに?」
「森にいるよ。案内しようか?」
「ええ。お願いするわ」

 着替えを済ませ、レッドの案内でイクス様のいる所へと向かった。
 彼は日の光がよく当たる場所にいたらしく、太陽の輝きを浴びているようだ。
 その姿がとても美しく、私は彼の姿にドキッとした。

「おはよう、ルビア。私からの贈り物は喜んでもらえたかな?」
「ええ、とても」
「それは良かった」

 嬉しそうに破顔するイクス様。
 いつもは落ち着いた大人のようだが、今は子供のような笑み。
 
 意外なその顔に、私はクスリと笑う。

「私にあるのはこの森とこの子たち。そして花ぐらいのものだ。君が住んでいた場所と比べればなにもないだろ?」
「そうですわね……でも、大事な物は全てここにあるような気がします。何も無くとも、心は以前よりも豊かになったように思える。きっと、必要以上に物なんて必要ないのかもしれませんわね」

 イクス様が微笑み私を促し城の方へと歩き出す。
 私もイクス様に笑顔を向け、一緒に歩き出した。

「朝食にしよう。お腹は減っているだろ?」
「ええ。最近は緊張であまり食事が取れていませんでしたし」
「そうか……なら、栄養のある物を沢山取るといい」
「あらっ。私が太ってしまってもよろしいのですか?」
「君が健康でいてくれるのが一番だよ」

 嘘偽りのない言葉。
 真っ直ぐすぎるぐらい真摯なイクス様の言葉は胸に響く。
 本当にそう思ってくれているんだ。

 彼の隣を歩く。
 まるでこの位置にいるのが当然のような気がした。
 彼といるのが当たり前で、彼と歩くのが自然だと感じる。
 
 まだ出逢って二日目。
 だけど私は信じられない速度で、彼に惹かれていた。

 いつの間にかラース様に裏切られた痛みは消えている。
 もう歩み始めているんだ。
 もう彼は過去のものになっているんだ。

 私はとてもスッキリした気分となり、イクス様の笑顔を見上げて心臓の鼓動を早めていた。
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