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 森のすぐ近く、綺麗な川が流れている場所に新しい町を作ることとなり、忙しく駆けまわる大勢の人。
 だが精霊も町作りを手伝っているので作業は信じられないぐらい早かった。

「人間の姿をした精霊……今見ても夢のようだな」

 両親はレッドたちの姿を見てそんなことを呟いていた。

「ルビア。お前はどうやら、幸せなようだな」
「はい。それはとても」

 お父様とお母様は私に温かい笑顔を向けてくれる。
 娘である私の幸せを純粋に喜んでくれているんだ。
 私はそれが嬉しくて、自然に笑みをこぼしていた。

「イクス様」

 両親は町作りを眺めているイクス様に声をかける。

「娘のこと、よろしくお願いいたします。どうか幸せにしてやってください」
「……幸せにしてもらっているのは私の方ですよ」

 嘘偽りのない笑みを浮かべるイクス様。

「ルビアがいるだけで私は喜びを感じる。もう彼女のいない生活など想像もしたくない。それに見て下さい」

 レッドやヴァール、それに他の精霊たちが働いている姿を指すイクス様。

「これまで精霊たちは他人を助けるような思考は持ち合わせていませんでした。だがルビアがその大切さを教えてくれたのです。彼女は精霊たちにも良い影響を与えてくれている」
「…………」

 両親はレッドたちの方を見て穏やかな表情をしていた。

「私だけではない。精霊たち皆がルビアに幸せにしてもらっているのですよ」
「イクス様……そんな風に言っていただいてありがとうございます」

 お父様はイクス様の手を握り強く頷く。
 イクス様はいつもと違い真剣な表情をする。

「私も最大限の努力をしてルビアを幸せにするつもりです。必ず、これから一生彼女を守っていくと約束します」

 そしてイクス様は私を見つめ、ゆっくりと跪く。

「ルビア……私の一生を君に捧げる。君を悲しませるようなことは絶対にしない。だから……私と一緒になってくれないか?」

 イクス様は珍しく、緊張しているようだった。
 私の中で答えはすでに決まっている。
 この申し出を断る理由なんて見当たらない。
 私の胸に温かいものが込み上げてくる。
 その寛恕のまま、私はうっすらと涙を浮かべて答えた。

「こんな私でよければ」

 私はイクス様の手を取る。
 イクス様はとても嬉しそうに笑った。
 
「やったー! ルビア様が王妃様になるんだ!」

 レッドが大はしゃぎしている。
 宙を漂う精霊たちは踊り始め、そこにいた人々は大きな拍手を送ってくれていた。

 こんな幸せなことが待っていたなんて……私は感激し、感動し、感謝する。
 ここにいる全ての人、精霊にありがとうと伝えたい。

 私は皆に向かって感謝を口にしようとする。
 幸せに満ち満ちていたそんな時であった。

「ルビア!」
「……レイ?」

 見たこともないような鬼の形相でこちらに向かってくるレイ。 
 彼女が突然姿を現したのであった。
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