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天宮紫雨斗

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1章

1章 10話

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彼女は咄嗟に駆け出した。向かうはあの大男の胸元へ、短刀を向けながら駆けていった。その速度は異常なまでに速く、目で追うのが精一杯だったがその大男はその彼女の突進を軽々避けた。大男は腰から大きな出刃包丁のような物を取り出し、避けて彼の後ろにいた彼女にその刃を振り下ろした。すかさず彼女はその刃を滞空しながら避けた。その刃はそのまま地面にまでいき、刃が当たった地面は地震後の亀裂のようになっていた。そんなことが目の前で起きていることなど関係なしに彼女はあの大男の首めがけて突き進んだ。彼女の刃が大男の首元まで到達したあたりで双方の動きが止まった。
「くっ!」
よく見ると彼女の刃は大男の首元寸前で止まっていた。彼女の手があの大男に掴まれていた様だった。
「離せ!離せよ!」
すると大男は彼女の手首を掴みながら彼女自体をぶんぶんと振り回し、投げ飛ばした。ガシャーンと大きな音が夜の路地裏に響く。
「くっそ・・・くそ・・・」
彼女はまだ立ち上がろうとする。しかしどこか折れたのか立ち上がろうとしてもまた地に伏せてしまう。僕はこのままでいいのか、彼女に何があってあの大男に挑んでいるのか分からない。だがしかし彼女が軍人連続重軽傷事件の犯人であることに違いはない。でもなんでだ?体が勝手に動く。気付くと僕はあの大男の前に立っていた。
「・・・?なんだお前は、吹っかけてきたのはそっちのガキだろうが」
「・・・違う」
ああ、本当に違う。僕は別に彼女を助ける義理も理由もない。でも、
「でも殺す理由にはならないだろ」
「そうか?だがあのガキは俺を本気で殺そうとしていたぞ」
僕があの男の立場だったらまず間違いなく死んでいただろう。
「あの子が君を殺さなければいけない理由なんかは無いのか?」
「無いな」
「嘘だ!お前は去年この場所で私の姉を殺した!」
すると男は少し考え、
「ああ、あの女か。俺の部下が色々と世話になってたらしいんだけどよ?んでそいつらが死んだ時に俺んとこに来たんだよ。俺は鬱陶しい女が大嫌いでよ、お願いしますだのうるせぇから殺しちまったんだ」
そんなことを少し笑いながら言っていた。
「別に変なことねえだろよ。まあその後何故か軍辞めさせられたし務所に1年いたからな。もういいだろ」
「その女性を殺した事を後悔したことはあるか?」
「そんなの俺に聞くか?ねえよそんなどこの馬の骨かも知らないやつ。死んでも関係ねえ」
「っ!お前は・・・」
「人の心がないんだなお前は」
彼女の言葉を遮って言った。
「あ?なんだお前、てめえも俺を怒らせんのか?」
「怒らせる怒らせないじゃない。お前はそんな理由で人を殺す。社会にとっても悪だろう。それなら今ここでお前をとっ捕まえて、一生務所から出させなくさせてやるよ』
「はっ!さっきまで目ェ丸くしてこっちみてたガキが俺と戦う?笑わせんじゃねえよ!」
「お前は・・・社会の敵だ」
自分よりもかなり大きい男に戦いを挑む決意をした。
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