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33日目
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カラフルだーーぼんやりと、並んだ頭を見て思う。
「カクカを負かしたって?なるほど、頃合いなんじゃないか?」
「そうだな。俺もそう考える」
「畜生!次は絶対勝つ!」
ビシッと。カクカが私に指を突きつけた。今日も元気だな、うん。
「陛下から、判断は任せると言われている。シロ、今日から任務参加だ」
「やっと外に出られるか。良かったな、シロ」
「よっし、シロ!お前、後輩なんだから、俺についてこい!」
シロ、シロ、シロ。すっかりこの呼び名は、浸透してしまったようだ。ちなみに本名は、まだ無い。
「今日はどこだって?」
「ノーツの母方の親戚が、所有しているという別荘」
「なーんか、どんどん奴とかけ離れてるみたいなんすけどね」
真新しい団服に身を包む私の前で、三人の男が会話をしている。
一人はフィル。もう一人はカクカ。そしてあと一人は、ギィ・レヴン。
ギィはフィルと同期の近衛で、カクカとは同郷の幼馴染らしい。そのため、三人は親しい間柄。顔を合わすとこうして立ち話をするものだから、私もすっかり馴染みとなった。ちなみにカクカはフィルが一緒だと、ギィに対しても敬語(?)になる。多分、注意されたことがあるんだろう。
普段、近衛は班ごとに分かれて行動する。ギィとフィルは自分の班を持つ立ち位置で、階級は同じ。けれど班を集めた小隊の型をとる時、ギィは小隊長となりフィルよりも上の立場となる。ややこしいな。
だからといって、フィルはそれを気にしている様子はない。いい関係なんだろう。
実は。
私は密かにこの三人を『信号機』と呼んでいる。なんだかコントでも始めそうな呼び名である。でもね?本当に信号機のようなのだ。
フィルは赤、カクカは金、ギィは青銀。見事に赤、黃、青色の頭が並ぶものだから、気付いた時は失笑を禁じ得なかった。
「そっちは?どんな様子っすか?」
「特に問題なし、と言いたいところだが、占者様は塔内に閉じ込められっぱなしで、いい加減ご機嫌斜めだ」
「我慢してもらうしかない。今は危険だ。またいつ何時、刺客が入り込んでくるか…」
「…あれは失態だった」
「それは近衛全体の問題だ。お前の班だけの話ではない」
今日も揃った信号機。任務の話を始めている。主上直属という、いわば特殊班であるフィル班はノーツの研究記録捜し。ギィ班は占者の護衛。どちらも苦戦続きだ。
そういえばノーツの研究記録ーー
思い出した!それについて思うところがあり、主上に話そうと思っていたことを。今の今まで忘れていた。
まったく。そこに至るまでの思考経路は克明に覚えているというのに、報告すること自体を忘れているのでは意味がない。
はあ。ごめん白雪。貴女はこんなにも優秀なのに、私がポンコツなばっかりに残念になってしまってる。
だめだなあーー
「…ロ。シロ!」
私を呼ぶ、フィルの声が響いていた。
「は、はいっ!?」
いい声してるなあ。
「どうした、ボケっとして?行くぞ?」
少し呆れられてしまった。
考え事をしている内に、話を終えていたらしい。いかん、いかん。しっかりしなくては。
今日から任務に参加させてもらえる。念願の城の外なのだ。
あ、でもその前に。研究記録のことを話しておこう。そう思ったのだけれどーー
「シロは、馬に乗れるのか?」
ギィの何気ない疑問の呟き。それどころではなくなった。そのせいで私は、今日も城下へ出ることは叶わなかった。
乗馬なんて。経験ゼロです。
「カクカを負かしたって?なるほど、頃合いなんじゃないか?」
「そうだな。俺もそう考える」
「畜生!次は絶対勝つ!」
ビシッと。カクカが私に指を突きつけた。今日も元気だな、うん。
「陛下から、判断は任せると言われている。シロ、今日から任務参加だ」
「やっと外に出られるか。良かったな、シロ」
「よっし、シロ!お前、後輩なんだから、俺についてこい!」
シロ、シロ、シロ。すっかりこの呼び名は、浸透してしまったようだ。ちなみに本名は、まだ無い。
「今日はどこだって?」
「ノーツの母方の親戚が、所有しているという別荘」
「なーんか、どんどん奴とかけ離れてるみたいなんすけどね」
真新しい団服に身を包む私の前で、三人の男が会話をしている。
一人はフィル。もう一人はカクカ。そしてあと一人は、ギィ・レヴン。
ギィはフィルと同期の近衛で、カクカとは同郷の幼馴染らしい。そのため、三人は親しい間柄。顔を合わすとこうして立ち話をするものだから、私もすっかり馴染みとなった。ちなみにカクカはフィルが一緒だと、ギィに対しても敬語(?)になる。多分、注意されたことがあるんだろう。
普段、近衛は班ごとに分かれて行動する。ギィとフィルは自分の班を持つ立ち位置で、階級は同じ。けれど班を集めた小隊の型をとる時、ギィは小隊長となりフィルよりも上の立場となる。ややこしいな。
だからといって、フィルはそれを気にしている様子はない。いい関係なんだろう。
実は。
私は密かにこの三人を『信号機』と呼んでいる。なんだかコントでも始めそうな呼び名である。でもね?本当に信号機のようなのだ。
フィルは赤、カクカは金、ギィは青銀。見事に赤、黃、青色の頭が並ぶものだから、気付いた時は失笑を禁じ得なかった。
「そっちは?どんな様子っすか?」
「特に問題なし、と言いたいところだが、占者様は塔内に閉じ込められっぱなしで、いい加減ご機嫌斜めだ」
「我慢してもらうしかない。今は危険だ。またいつ何時、刺客が入り込んでくるか…」
「…あれは失態だった」
「それは近衛全体の問題だ。お前の班だけの話ではない」
今日も揃った信号機。任務の話を始めている。主上直属という、いわば特殊班であるフィル班はノーツの研究記録捜し。ギィ班は占者の護衛。どちらも苦戦続きだ。
そういえばノーツの研究記録ーー
思い出した!それについて思うところがあり、主上に話そうと思っていたことを。今の今まで忘れていた。
まったく。そこに至るまでの思考経路は克明に覚えているというのに、報告すること自体を忘れているのでは意味がない。
はあ。ごめん白雪。貴女はこんなにも優秀なのに、私がポンコツなばっかりに残念になってしまってる。
だめだなあーー
「…ロ。シロ!」
私を呼ぶ、フィルの声が響いていた。
「は、はいっ!?」
いい声してるなあ。
「どうした、ボケっとして?行くぞ?」
少し呆れられてしまった。
考え事をしている内に、話を終えていたらしい。いかん、いかん。しっかりしなくては。
今日から任務に参加させてもらえる。念願の城の外なのだ。
あ、でもその前に。研究記録のことを話しておこう。そう思ったのだけれどーー
「シロは、馬に乗れるのか?」
ギィの何気ない疑問の呟き。それどころではなくなった。そのせいで私は、今日も城下へ出ることは叶わなかった。
乗馬なんて。経験ゼロです。
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