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53日目
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一日の終わりを告げる鐘の音が、技術塔のてっぺんから鳴り響く。
お風呂を後回しにして、フンモコの飼育場へ向かった。
アランサの言うお礼とは、なんなのだろう?受け取るほどのことをしたわけではないけれど、「絶対受け取って」と念を押されてしまっている。行くしかない。
飼育場に到着。あれ?フンモコがいない。
昼間と違って小屋の中のよう。柵の中はガランとしていた。少し残念。
言われた通りに柵を跨ぎ、中へ入る。特別なものはなにもない。あるのはフンモコの糞くらいって、踏んじゃった。もう。なんだかなあ。
月明かりだけでは、さすがの白雪の視界もイマイチだ。とにかくアランサの指差した辺りへ立ってみよう。
アランサの示した場所は、囲いのほぼ中央。立ってみたけどやっぱり、お礼らしきものは見えない、見つからない。
子供の戯言だったかと引き返しかけた時、その現象は起こった。
光。一筋の。
スッと空から光がこちらへ向けてやって来た。
なんと!
流れ星が落ちる!?
驚いて両腕で頭を抱え込み、目を伏せる。うわあ。
それから数秒ーー
恐る恐る目を開け、顔を上げると、私は光の糸の中にいた。
幾重にもなる光の繊維が、私を中心に渦巻いている。これは…アレに似ているーー
アレとは…
そう、綿あめ!
気分は綿あめ製造機に突っ込まれた割り箸だ!
そうするとできた綿あめは、光る金色綿あめ!
……ああ。私に詩的表現は無理だと判明。コレ、かなり幻想的な光景と言えそうなんだけれど…。
阿呆なことを考える内に、光の糸はいつしか消えた。というより、私の中に吸収されていった?
当たり前だけど、綿あめになどならなかった。
一体、なにが起こったのだろう?これがアランサの言う『お礼』なのだろうか?
呆然と、その場に留まっていた。
突然、足音が聞こえてハッとなった。綿あめが消えてから、わずか数分ほどのことだ。考える間もなく、その場を離れ身を隠す。
なんだ?
冷や汗が流れた。
「こっちだ!ここで光った」
「どういうことだ?なにもない」
「馬鹿な!確かにここへ落ちたんだ」
「何故だ?なにも聞いてないぞ?ここに『雫』が落ちるなど」
「慌てるな。とにかく探せ」
「なんてことだ!あれ程の大きさの『雫』を見失うなど、あってはならん!」
「空いている者を呼べ!手分けするんだ」
三人の男が血相を変えて喚いている。
もうついていけない。なにこの展開?私は木の陰に隠れて、気配をギュッと握りつぶすように小さくしていた。思わずの行動だったが、不安的中。ものすごく不穏な雰囲気。
大体、あれはどこに属する者だ?
一見、文官。だけど気配は武官。フンモコの飼育場を滅茶苦茶に踏み荒らしている。いいのか?熊が怒るぞ?
「占者はなにをしている?聞いてない」
「城内落下の『雫』を見落としただと?あり得ない!」
まだ喚いている。さっきから言っている『雫』ってなんだ?
解らないけど逃げるが吉、そう白雪の勘が告げている。もたもたしていたら、更に人が増えそうだ。
闇に紛れて、その場を後にした。
お風呂を後回しにして、フンモコの飼育場へ向かった。
アランサの言うお礼とは、なんなのだろう?受け取るほどのことをしたわけではないけれど、「絶対受け取って」と念を押されてしまっている。行くしかない。
飼育場に到着。あれ?フンモコがいない。
昼間と違って小屋の中のよう。柵の中はガランとしていた。少し残念。
言われた通りに柵を跨ぎ、中へ入る。特別なものはなにもない。あるのはフンモコの糞くらいって、踏んじゃった。もう。なんだかなあ。
月明かりだけでは、さすがの白雪の視界もイマイチだ。とにかくアランサの指差した辺りへ立ってみよう。
アランサの示した場所は、囲いのほぼ中央。立ってみたけどやっぱり、お礼らしきものは見えない、見つからない。
子供の戯言だったかと引き返しかけた時、その現象は起こった。
光。一筋の。
スッと空から光がこちらへ向けてやって来た。
なんと!
流れ星が落ちる!?
驚いて両腕で頭を抱え込み、目を伏せる。うわあ。
それから数秒ーー
恐る恐る目を開け、顔を上げると、私は光の糸の中にいた。
幾重にもなる光の繊維が、私を中心に渦巻いている。これは…アレに似ているーー
アレとは…
そう、綿あめ!
気分は綿あめ製造機に突っ込まれた割り箸だ!
そうするとできた綿あめは、光る金色綿あめ!
……ああ。私に詩的表現は無理だと判明。コレ、かなり幻想的な光景と言えそうなんだけれど…。
阿呆なことを考える内に、光の糸はいつしか消えた。というより、私の中に吸収されていった?
当たり前だけど、綿あめになどならなかった。
一体、なにが起こったのだろう?これがアランサの言う『お礼』なのだろうか?
呆然と、その場に留まっていた。
突然、足音が聞こえてハッとなった。綿あめが消えてから、わずか数分ほどのことだ。考える間もなく、その場を離れ身を隠す。
なんだ?
冷や汗が流れた。
「こっちだ!ここで光った」
「どういうことだ?なにもない」
「馬鹿な!確かにここへ落ちたんだ」
「何故だ?なにも聞いてないぞ?ここに『雫』が落ちるなど」
「慌てるな。とにかく探せ」
「なんてことだ!あれ程の大きさの『雫』を見失うなど、あってはならん!」
「空いている者を呼べ!手分けするんだ」
三人の男が血相を変えて喚いている。
もうついていけない。なにこの展開?私は木の陰に隠れて、気配をギュッと握りつぶすように小さくしていた。思わずの行動だったが、不安的中。ものすごく不穏な雰囲気。
大体、あれはどこに属する者だ?
一見、文官。だけど気配は武官。フンモコの飼育場を滅茶苦茶に踏み荒らしている。いいのか?熊が怒るぞ?
「占者はなにをしている?聞いてない」
「城内落下の『雫』を見落としただと?あり得ない!」
まだ喚いている。さっきから言っている『雫』ってなんだ?
解らないけど逃げるが吉、そう白雪の勘が告げている。もたもたしていたら、更に人が増えそうだ。
闇に紛れて、その場を後にした。
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