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101日目
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なんだろう?騒々しい…声が…聞こえる。
「で?どうなんすか?いつ、気付くんすか?そもそも、本当に大丈夫なんすか?」
「君、ホントうるさいね。大丈夫だって言ってるだろう?あ、そうだ、せっかくいるんだ。新術の実験台、なってくれない?」
「いい?いい、いいえ!結構っす!」
「しかし…血まみれで倒れているのを見た時は、肝を冷やしたな。よく無事でいてくれた」
「急所は避けてたよ。だけど穴開きで出血が酷かったからね。発見が遅ければ、ヤバかったなあ。フィルが知らせてくれなかったら、危なかったよ」
「……それで?そのフィルは?」
「バッチリ。骨折は治しといたよ」
「いや、あの、そうではなく…」
「処分が決まるまでは地下牢だ。お前ら…減刑を望むなら、今のうちに署名を集めておけよ」
「ーー!は、はい、陛下。よっし、ギィ!」
「ああ、そうだな。行くぞカクカ」
「せいぜい頑張りなよ~」
「…………ふう」
「……フン。行ったか。まったく、騒々しいガキ共だ。山と署名を集めて来るだろうよ。しかし、占者絡みは刑罰が重い。どこまで減刑してやれる?王よ」
「さて、な。可能な限り手は尽くす、それだけだ。なんにしても……ようやく終わったな」
「やれやれ。まさかこの歳で、捕り物に付き合わされるとは」
「なに言ってるの?フィルの話を聞いて、真っ先に駆け出して行った奴が」
「黙れ。ノーツの召喚を、すべて封じる必要があった。ここまで来て奴を逃してなるか。時間勝負だ、急ぎもする」
「すまない、フルルクス。ずいぶん気を揉ませてしまったな」
「は?なんのことだ?」
「フフ。惚けちゃって。昨日に限って、いつも玉座に三分と座っていない陛下に『申し入れたい詮議がある』とかなんとか言って、わざとらしく足止めなんかしてさ。フィルが玉座の後ろから這い出て来たのを見た時は、吹き出しそうになっちゃったよ」
「……残念だ。あの状況で笑っていたら、殴り飛ばしてやったものを」
「おい…三分、はないだろう?朝議は結構長い。いつももう少し、辛抱している」
「辛抱などと言う時点で駄目だな」
「グッ…」
「だけど、ノーツも馬鹿だよねえ。謁見の間の真下にある国庫で事を起こしたのもそうだけど、そこまで入り込んでいながら、鍵の秘密に気付かないなんて」
「ハッ。四人の筆頭式術師と王の持つ鍵が揃わなければ開かない国庫が、実は『王の名前』一つの掛け声で開くと知ったら、あのキチガイ馬鹿め、どんな顔をするか」
「王の名前がショートカットキーになってるって、ちょっと考えたら分かりそうなものなのにねえ」
「そうか?分かるか?分からないと、俺は思うが?」
「分かるよ。『王は王以外の者にあらず、名を持つべからず』なんてどうでもいいしきたり、真意があるって考えるよ」
「理由はともかく、王の名を口の端に上げたくないという意図は感じられる。ノーツくらい頭の出来の良い奴ならば、気付いてもおかしくはない」
「でも馬鹿だから、アイツ。式術以外は、非常に残念」
「その残念を師事していた奴が、なにを言うか」
「いや、面白そうだったから、つい、ね?」
「ライトリィ…お前のその興味本位でなんでも追究しようとする性質、少し自重しろ」
「ええ~?無理」
「まったく……ああ、鍵といえば、グレイシアはどうした?ここのところ、まったく見かけなかったが?」
「それは君の行動範囲が狭いからだよ、フルルクス。技術塔にまで足を伸ばしてごらん。いつもいるから」
「いつも?」
「……まあ、筆頭黒魔術師としての、役目は果たしている。だから俺も、なにも言わない」
「あの熊……そのうちフンモコと駆け落ちでもする気か?」
「ええっ!?グレイシアって、未来でそんなことやらかすの!?」
「するかっ!」
「しかし、まいったな。フィルの抜けた……どう…………」
あれ?
「いっその……に任せ……のは…………」
あれ?あれ?
「阿呆…………れる…………だ…………」
声が、遠く…もう少し……この心地良い喧騒の中に…いた…い……のに…………
「で?どうなんすか?いつ、気付くんすか?そもそも、本当に大丈夫なんすか?」
「君、ホントうるさいね。大丈夫だって言ってるだろう?あ、そうだ、せっかくいるんだ。新術の実験台、なってくれない?」
「いい?いい、いいえ!結構っす!」
「しかし…血まみれで倒れているのを見た時は、肝を冷やしたな。よく無事でいてくれた」
「急所は避けてたよ。だけど穴開きで出血が酷かったからね。発見が遅ければ、ヤバかったなあ。フィルが知らせてくれなかったら、危なかったよ」
「……それで?そのフィルは?」
「バッチリ。骨折は治しといたよ」
「いや、あの、そうではなく…」
「処分が決まるまでは地下牢だ。お前ら…減刑を望むなら、今のうちに署名を集めておけよ」
「ーー!は、はい、陛下。よっし、ギィ!」
「ああ、そうだな。行くぞカクカ」
「せいぜい頑張りなよ~」
「…………ふう」
「……フン。行ったか。まったく、騒々しいガキ共だ。山と署名を集めて来るだろうよ。しかし、占者絡みは刑罰が重い。どこまで減刑してやれる?王よ」
「さて、な。可能な限り手は尽くす、それだけだ。なんにしても……ようやく終わったな」
「やれやれ。まさかこの歳で、捕り物に付き合わされるとは」
「なに言ってるの?フィルの話を聞いて、真っ先に駆け出して行った奴が」
「黙れ。ノーツの召喚を、すべて封じる必要があった。ここまで来て奴を逃してなるか。時間勝負だ、急ぎもする」
「すまない、フルルクス。ずいぶん気を揉ませてしまったな」
「は?なんのことだ?」
「フフ。惚けちゃって。昨日に限って、いつも玉座に三分と座っていない陛下に『申し入れたい詮議がある』とかなんとか言って、わざとらしく足止めなんかしてさ。フィルが玉座の後ろから這い出て来たのを見た時は、吹き出しそうになっちゃったよ」
「……残念だ。あの状況で笑っていたら、殴り飛ばしてやったものを」
「おい…三分、はないだろう?朝議は結構長い。いつももう少し、辛抱している」
「辛抱などと言う時点で駄目だな」
「グッ…」
「だけど、ノーツも馬鹿だよねえ。謁見の間の真下にある国庫で事を起こしたのもそうだけど、そこまで入り込んでいながら、鍵の秘密に気付かないなんて」
「ハッ。四人の筆頭式術師と王の持つ鍵が揃わなければ開かない国庫が、実は『王の名前』一つの掛け声で開くと知ったら、あのキチガイ馬鹿め、どんな顔をするか」
「王の名前がショートカットキーになってるって、ちょっと考えたら分かりそうなものなのにねえ」
「そうか?分かるか?分からないと、俺は思うが?」
「分かるよ。『王は王以外の者にあらず、名を持つべからず』なんてどうでもいいしきたり、真意があるって考えるよ」
「理由はともかく、王の名を口の端に上げたくないという意図は感じられる。ノーツくらい頭の出来の良い奴ならば、気付いてもおかしくはない」
「でも馬鹿だから、アイツ。式術以外は、非常に残念」
「その残念を師事していた奴が、なにを言うか」
「いや、面白そうだったから、つい、ね?」
「ライトリィ…お前のその興味本位でなんでも追究しようとする性質、少し自重しろ」
「ええ~?無理」
「まったく……ああ、鍵といえば、グレイシアはどうした?ここのところ、まったく見かけなかったが?」
「それは君の行動範囲が狭いからだよ、フルルクス。技術塔にまで足を伸ばしてごらん。いつもいるから」
「いつも?」
「……まあ、筆頭黒魔術師としての、役目は果たしている。だから俺も、なにも言わない」
「あの熊……そのうちフンモコと駆け落ちでもする気か?」
「ええっ!?グレイシアって、未来でそんなことやらかすの!?」
「するかっ!」
「しかし、まいったな。フィルの抜けた……どう…………」
あれ?
「いっその……に任せ……のは…………」
あれ?あれ?
「阿呆…………れる…………だ…………」
声が、遠く…もう少し……この心地良い喧騒の中に…いた…い……のに…………
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