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やさしくて、やらしい(R18
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初めて致してから、秋尋様の様子がおかしい。
なんというか。俺に優しい……。
道場へ稽古を見にきてくれたり、夜、俺の部屋に来てくれたり。……ただ、二度目はまださせてもらえてない。痛くはないが尻に違和感があるからと断られた。それは俺も身を持って知っているので、前と同じく奉仕だけさせていただいた。
今夜も秋尋様は俺の愛撫に素直に身を任せ、口の中で果ててくれた。
秋尋様は少し息を荒くさせながら、そんな俺の口に指を突っ込んで半ば呆れたように呟く。
「お前、本当に……。よく毎回飲むな、こんなもの」
初めて精液を飲まれた時は泣くくらい引いていた秋尋様も、最近はこの程度で済んでいる。俺がなんとしてでも譲らないので、とうとう諦めたらしい。
「美味しいですから」
「絶対に嘘だ」
「本当です。俺にとって秋尋様の体液は、すべて美味しいんですよ」
実を言えばオシッコも飲んでみたい。
「……とは、さすがに今度こそドン引きされると思って、本人には言えなかったんだけどさ」
「できればそれは、ぼくにも言わないでほしかったな。ドン引きだよ」
蜜月ともいえる夏休みを終え、久しぶりに学校へ来た俺は平坂くんにだけ進展を報告した。ローションやコンドームなどの様々な道具を融通してくれたし、応援もしてくれてたので、伝える義務があると思った。というのは建前で、正直ノロケたかった。
まだ暑さの残る9月だからか、俺たち以外には誰もいない屋上。平坂くんは汗ひとつかかず涼し気な顔をしている。きっと彼の制服だけ特殊素材でできているに違いない。
「まあでも、おめでとう。あとは恋人を目指すだけだね」
「なれたら嬉しいけど、それは男同士だからやっぱりダメみたい」
「不思議だよね。話を聞く限りでは、秋尋様も君のことを好きそうなのに」
俺だって何回そう思ったことか。もしかしてこの人、もう俺のことを好きなのでは? ってさ。
でも秋尋様が応えてくれることはない。開いてくれるのは身体だけ。……しかも、まだそれも一回だけ。
「景山くんが高校生になるのを待ってるとか?」
「身体の関係を先にもったのに、年齢のとこくる?」
「付きあったら監禁されかねないと思ってるとか」
「一緒の屋敷に暮らしてるのに、そんなことしないよ。せいぜい俺が秋尋様の部屋から帰らなくなるくらいだよ」
「やっぱり景山くんの愛が重すぎるのが原因では」
金井くんにも、似たようなこと言われたな。
でも重くないフリなんてできない。死ぬ想いで頑張ったとしても、成就した途端にドーンって溢れ出す。今だってもう、秋尋様に会いに行きたくてたまらないのに。
「あとは身分差かな。ぼくなら、対等に話せない相手は恋人としてお断りだよ。ぼく自身が好きなのか、肩書が好きなのかわからないしね」
平坂くんの場合は肩書なんてなくても、その顔だけで好きになってもらえそうだけれども。
「ご主人様じゃない秋尋様は想像できないけど、仮にそうでなくなっても俺の態度は変わらないかな。ああでも俺に養われる秋尋様は悪くないな……。俺の傍から離れなくなってくれるなら、全然有り……」
いや、むしろ、そうなってくれたら跡継ぎも要らなくなるし、俺のモノにできるのでは?
「景山くん、ストップ。今、とても悪い顔してるから」
「いえ。大丈夫です。近衛夫妻にも恩があるので、そんなだいそれたことは」
「ナニが頭をよぎったんだよ。突然の敬語だし……」
ダメだ。秋尋様のこととなると俺は、いつだって闇一歩手前すぎる。あの人に命じられたら本当になんでもできる自信があるし。
「結局、本当のところは秋尋様本人にしかわからないってことか」
平坂くんはそう言いながら、やれやれと肩を竦めた。
「そもそもそれ、秋尋様が俺に恋愛感情持ってるのが前提の考えだろ。普通に男はダメってだけなのかもしれないのに」
「そうかな。でも、君だって期待はしているだろ?」
期待ならいつもしてる。
最近の秋尋様は俺に優しい。だから、特に。
「……平坂くん。あと、ひとつだけ君の知恵を借りたい」
「何かな」
「引かれないよう上手い具合に偶然を装って秋尋様のオシッコを飲むには、どうしたらいいと思う?」
「君は好かれるより前に嫌われない努力をするべきだと思う」
残念ながら有力な助言は得られなかったけれど、平坂くんの言葉は心に刻んだ。
いつも通り、高等部へ秋尋様を迎えに行く。
いつもと違うのは……。
「朝香」
俺のお迎えを心待ちにしていたかのような秋尋様の笑顔が見られることだ。
晴天の日差しよりも眩しくて、思わず目を細めた。
「今日の道場は……お休みです」
「何を言ってる。今日、行きに稽古があると言っていただろう」
行きたくない。秋尋様といちゃいちゃしてたい。
「俺にもサボりたくなる日くらいあります」
「僕を護るために頑張ると言っていたのは嘘だったのか?」
その言葉は狡い。あと、俺がこんなに一緒にいたいと思ってるのに秋尋様はそうじゃないって思い知らされるのも悲しい。
「……行きます」
「よし」
イイコにしてたら、今夜は抱かせてくれたりしないかなぁ。どうしたら、俺のこと好きになってくれるかなあ。そんなことばかり考えながら、車へ乗り込む。
その姿が不貞腐れてるように見えたのか、秋尋様が指先でちょいちょいと俺の頬を撫でてきた。
「なあ。今日はそんなに行きたくないのか?」
「いえ。どうしたら秋尋様が俺のことを好きになってくれるかなあって考えてました」
「なっ……」
あ。しまった。車の中だった。小松さんがいるのに。
抱かせて……のほうでなくてよかった。そっちだった場合、平坂くんの忠告虚しく早くも嫌われていたに違いない。いや、すでに結構ヤバイか。
秋尋様は目を白黒させながら、前にいる小松さんと俺を交互に見やった。そして、コホンと咳払いすると、俺の頭をポンポンと撫でる。
「い、今はちゃんと……好きだから、安心しろ」
その好きが恋愛でなく友情としての意味合いであることは、さすがの俺にもわかった。それでも、嬉しかった。
期待するなと言い聞かせながら、俺はこんなにも秋尋様の言葉を望んでる。目の奥がじんわりと熱くなった。
「はい。ありがとうございます、秋尋様」
運転席からは、いやあー青春ですなぁなんて聞こえてきて、頬も熱くなった。秋尋様も赤くなっていた。可愛い。
「稽古を頑張ってきたら、今夜は僕の部屋へ来ていいから」
わざと普通の会話っぽく言われたけれど……。これはお誘い……。お誘いですよね?
口をパクパクさせながら秋尋様を見ると、頬を赤らめたままコクンと頷いた。
やった……! 二度目だ……!!
「稽古、頑張ります! 貴方のために!」
その日はもう道場の人が驚くくらいの気迫で稽古を頑張り、お腹ペコペコで屋敷へ帰って夕飯を食べ、お風呂でこれでもかってくらいキレイキレイにして秋尋様の部屋へ向かった。
……秋尋様、寝てた。疲れていた俺はその姿にガックリきて、隣に入って寝た。
予定がある日は、頑張りすぎるのもよろしくない。学習した。
疲れて寝たというよりは、ショックで寝ついたといったほうが正しく、夜中にふっと目が覚めた。
月明かりの中、すやすやと眠る秋尋様と感じられる温もりに、幸せと何かゾワゾワしたものが背中から湧き上がってくる。
……まあ。それは。勃つよなー……。
今日、貴方のナカへ入ることができる予定だったし。寝顔も可愛いし。
俺ねえ、きっとね。貴方が思うよりもずっと貴方のことが大好きなんですよ、秋尋様。
すべすべな頬を指先でつつく。ハリのある頬はたやすく俺の指を押し返した。
んんっとくぐもったような声が上がって、秋尋様が俺のほうに寝返りをうつ。パジャマの胸元がちょうど目の前にきたので、思わず布の中を覗いてしまった。
肌も滑らかもっちりで、吸いつくみたい。俺が体温を分けているせいか、少し寝汗もかいてる。秋尋様の汗……。
少し匂いを嗅いでから、ぺろりと舐める。とても甘い感じがする。
「んゃ……。朝香……」
俺の名前、呼んだ。猫が鳴くみたいな声で。
キュッと寄せられた眉根にキスをして、そのまま唇にも触れた。
前までなら寝顔に口づけるなんて恐れ多くてできなかったけど、きっと今なら許される。それだけのことを、二人でしてきている。
……クチで抜いてあげるくらいなら、いいのでは?
突っ込むわけじゃないし。そもそも俺はスるためにお呼ばれしているのだから、スッキリさせてあげるのも使用人の務めなのでは?
柔らかいシルクのパジャマをゆっくり脱がせつつ、舌で肌をなぞっていく。肌のほうが生地よりもずっと触り心地がいい。いつもはあまり乳首を舐めさせてくれないから、今日はいっぱい吸っておこう。
「はぁ……、あ……ん……ッ」
寝てても感じるのか、いつもよりも素直に声が漏れる。舌でプツンとした感触を味わって、断続的に吸い上げる。唾液で濡れて、赤くてトロトロいやらしい。
フウッと息を吹きかけると、身体がピクンと跳ねた。
ちゃんと下半身も反応してきてる。こっちも触ってあげないと、苦しいかも。おっぱいでもちゃんと勃起するんだな。前はくすぐったいなんて言ってたのに。
俺が可愛がり続けてきたからだと思うと感慨深い……。
ズボンを下着ごとおろし、今度は緩く立ち上がったソレをくわえる。
……水気に反応してウッカリ漏らしたりしてくれないかな。勃ってるから無理か。あと今日はバスタオル敷いてないから受け止めきれるか心配。
口いっぱいに唾液をためて、扱かないようゆっくりチュプチュプと顔を前後させる。
「ふあ、あ、あっ……あ……? あ、朝……朝香?」
あ。起きた。
「おはようございます。んむ……」
「あっ! んぅ、馬鹿、挨拶しながらくわえる、なぁ……ッ」
秋尋様が俺の頭をきゅーっと押さえる。むしろそれ、喉奥まで深く入ってしまうんですが。
えづくなんてそんなこと、絶対にできない。開いて迎え入れて、やんわりと締めた。
「あ、あ、あっ……気持ちい……」
可愛くって、俺も気持ちいい。俺の口内でひくつく秋尋様の感覚を楽しんで舌を絡めて吸い上げる。
「はぁ、あ……も……。もっと。もっとして、朝香……。なんか、凄い、ムズムズする……」
やらしいが過ぎませんか、秋尋様。
起き抜けでまだ夢見心地なのか、少し舌ったらずな呂律と涙混じりの声でもっととねだる。
もういくらでも与えたい。全部受け止めたい。
後ろを触る気はなかったけど唾液だけで滑らせて中からも射精を促してあげると、秋尋様はアッサリと熱を吐き出してくれた。もちろん一滴残さず飲み込んだ。
「はぁ、はぁ……は……。お前……、寝込みを……襲うなんて……」
「えっ。これって寝込みを襲ったことになりますか!?」
「何を驚いてる。それ以外のなんだというんだ。まあ、確かに……約束はしていたが……」
「えと……。最後まで……。する、つもりはなくて、秋尋様だけ……。スッキリさせて、あげようかと思ってて……」
もたつきながら言い訳すると、大きな溜息をつかれた。
秋尋様が自分の胸元に視線をおろす。
「引くくらい、べっちゃべちゃだし……」
「秋尋様の味がしなくなるまで舐めたので……」
俺の唾液でまみれた肌に、秋尋様が指をぬるりと這わせて、あろうことかその指をペロリと舐めた。
「……お前の味がする」
えっ……。すっごい、えっちだ……。なに、なん……。
わかってやってる? 誘ってる?
もう、ちんちんが勃ちすぎて痛い……。
「それで……? しないのか? 最後まで」
「し、します!!」
許してくれちゃうんだ。身体も、寝込みを襲った俺のことも。
「痛いのは嫌だから、ゆっくり、気持ちよくしてくれ」
「もちろんです。舐めます、念入りに」
「そ、それも……恥ずかしいから、いやだ……」
いやもう舐めるよね、これは。
優しくて、やらしい秋尋様と、いっぱいやらしいこと、した。
なんというか。俺に優しい……。
道場へ稽古を見にきてくれたり、夜、俺の部屋に来てくれたり。……ただ、二度目はまださせてもらえてない。痛くはないが尻に違和感があるからと断られた。それは俺も身を持って知っているので、前と同じく奉仕だけさせていただいた。
今夜も秋尋様は俺の愛撫に素直に身を任せ、口の中で果ててくれた。
秋尋様は少し息を荒くさせながら、そんな俺の口に指を突っ込んで半ば呆れたように呟く。
「お前、本当に……。よく毎回飲むな、こんなもの」
初めて精液を飲まれた時は泣くくらい引いていた秋尋様も、最近はこの程度で済んでいる。俺がなんとしてでも譲らないので、とうとう諦めたらしい。
「美味しいですから」
「絶対に嘘だ」
「本当です。俺にとって秋尋様の体液は、すべて美味しいんですよ」
実を言えばオシッコも飲んでみたい。
「……とは、さすがに今度こそドン引きされると思って、本人には言えなかったんだけどさ」
「できればそれは、ぼくにも言わないでほしかったな。ドン引きだよ」
蜜月ともいえる夏休みを終え、久しぶりに学校へ来た俺は平坂くんにだけ進展を報告した。ローションやコンドームなどの様々な道具を融通してくれたし、応援もしてくれてたので、伝える義務があると思った。というのは建前で、正直ノロケたかった。
まだ暑さの残る9月だからか、俺たち以外には誰もいない屋上。平坂くんは汗ひとつかかず涼し気な顔をしている。きっと彼の制服だけ特殊素材でできているに違いない。
「まあでも、おめでとう。あとは恋人を目指すだけだね」
「なれたら嬉しいけど、それは男同士だからやっぱりダメみたい」
「不思議だよね。話を聞く限りでは、秋尋様も君のことを好きそうなのに」
俺だって何回そう思ったことか。もしかしてこの人、もう俺のことを好きなのでは? ってさ。
でも秋尋様が応えてくれることはない。開いてくれるのは身体だけ。……しかも、まだそれも一回だけ。
「景山くんが高校生になるのを待ってるとか?」
「身体の関係を先にもったのに、年齢のとこくる?」
「付きあったら監禁されかねないと思ってるとか」
「一緒の屋敷に暮らしてるのに、そんなことしないよ。せいぜい俺が秋尋様の部屋から帰らなくなるくらいだよ」
「やっぱり景山くんの愛が重すぎるのが原因では」
金井くんにも、似たようなこと言われたな。
でも重くないフリなんてできない。死ぬ想いで頑張ったとしても、成就した途端にドーンって溢れ出す。今だってもう、秋尋様に会いに行きたくてたまらないのに。
「あとは身分差かな。ぼくなら、対等に話せない相手は恋人としてお断りだよ。ぼく自身が好きなのか、肩書が好きなのかわからないしね」
平坂くんの場合は肩書なんてなくても、その顔だけで好きになってもらえそうだけれども。
「ご主人様じゃない秋尋様は想像できないけど、仮にそうでなくなっても俺の態度は変わらないかな。ああでも俺に養われる秋尋様は悪くないな……。俺の傍から離れなくなってくれるなら、全然有り……」
いや、むしろ、そうなってくれたら跡継ぎも要らなくなるし、俺のモノにできるのでは?
「景山くん、ストップ。今、とても悪い顔してるから」
「いえ。大丈夫です。近衛夫妻にも恩があるので、そんなだいそれたことは」
「ナニが頭をよぎったんだよ。突然の敬語だし……」
ダメだ。秋尋様のこととなると俺は、いつだって闇一歩手前すぎる。あの人に命じられたら本当になんでもできる自信があるし。
「結局、本当のところは秋尋様本人にしかわからないってことか」
平坂くんはそう言いながら、やれやれと肩を竦めた。
「そもそもそれ、秋尋様が俺に恋愛感情持ってるのが前提の考えだろ。普通に男はダメってだけなのかもしれないのに」
「そうかな。でも、君だって期待はしているだろ?」
期待ならいつもしてる。
最近の秋尋様は俺に優しい。だから、特に。
「……平坂くん。あと、ひとつだけ君の知恵を借りたい」
「何かな」
「引かれないよう上手い具合に偶然を装って秋尋様のオシッコを飲むには、どうしたらいいと思う?」
「君は好かれるより前に嫌われない努力をするべきだと思う」
残念ながら有力な助言は得られなかったけれど、平坂くんの言葉は心に刻んだ。
いつも通り、高等部へ秋尋様を迎えに行く。
いつもと違うのは……。
「朝香」
俺のお迎えを心待ちにしていたかのような秋尋様の笑顔が見られることだ。
晴天の日差しよりも眩しくて、思わず目を細めた。
「今日の道場は……お休みです」
「何を言ってる。今日、行きに稽古があると言っていただろう」
行きたくない。秋尋様といちゃいちゃしてたい。
「俺にもサボりたくなる日くらいあります」
「僕を護るために頑張ると言っていたのは嘘だったのか?」
その言葉は狡い。あと、俺がこんなに一緒にいたいと思ってるのに秋尋様はそうじゃないって思い知らされるのも悲しい。
「……行きます」
「よし」
イイコにしてたら、今夜は抱かせてくれたりしないかなぁ。どうしたら、俺のこと好きになってくれるかなあ。そんなことばかり考えながら、車へ乗り込む。
その姿が不貞腐れてるように見えたのか、秋尋様が指先でちょいちょいと俺の頬を撫でてきた。
「なあ。今日はそんなに行きたくないのか?」
「いえ。どうしたら秋尋様が俺のことを好きになってくれるかなあって考えてました」
「なっ……」
あ。しまった。車の中だった。小松さんがいるのに。
抱かせて……のほうでなくてよかった。そっちだった場合、平坂くんの忠告虚しく早くも嫌われていたに違いない。いや、すでに結構ヤバイか。
秋尋様は目を白黒させながら、前にいる小松さんと俺を交互に見やった。そして、コホンと咳払いすると、俺の頭をポンポンと撫でる。
「い、今はちゃんと……好きだから、安心しろ」
その好きが恋愛でなく友情としての意味合いであることは、さすがの俺にもわかった。それでも、嬉しかった。
期待するなと言い聞かせながら、俺はこんなにも秋尋様の言葉を望んでる。目の奥がじんわりと熱くなった。
「はい。ありがとうございます、秋尋様」
運転席からは、いやあー青春ですなぁなんて聞こえてきて、頬も熱くなった。秋尋様も赤くなっていた。可愛い。
「稽古を頑張ってきたら、今夜は僕の部屋へ来ていいから」
わざと普通の会話っぽく言われたけれど……。これはお誘い……。お誘いですよね?
口をパクパクさせながら秋尋様を見ると、頬を赤らめたままコクンと頷いた。
やった……! 二度目だ……!!
「稽古、頑張ります! 貴方のために!」
その日はもう道場の人が驚くくらいの気迫で稽古を頑張り、お腹ペコペコで屋敷へ帰って夕飯を食べ、お風呂でこれでもかってくらいキレイキレイにして秋尋様の部屋へ向かった。
……秋尋様、寝てた。疲れていた俺はその姿にガックリきて、隣に入って寝た。
予定がある日は、頑張りすぎるのもよろしくない。学習した。
疲れて寝たというよりは、ショックで寝ついたといったほうが正しく、夜中にふっと目が覚めた。
月明かりの中、すやすやと眠る秋尋様と感じられる温もりに、幸せと何かゾワゾワしたものが背中から湧き上がってくる。
……まあ。それは。勃つよなー……。
今日、貴方のナカへ入ることができる予定だったし。寝顔も可愛いし。
俺ねえ、きっとね。貴方が思うよりもずっと貴方のことが大好きなんですよ、秋尋様。
すべすべな頬を指先でつつく。ハリのある頬はたやすく俺の指を押し返した。
んんっとくぐもったような声が上がって、秋尋様が俺のほうに寝返りをうつ。パジャマの胸元がちょうど目の前にきたので、思わず布の中を覗いてしまった。
肌も滑らかもっちりで、吸いつくみたい。俺が体温を分けているせいか、少し寝汗もかいてる。秋尋様の汗……。
少し匂いを嗅いでから、ぺろりと舐める。とても甘い感じがする。
「んゃ……。朝香……」
俺の名前、呼んだ。猫が鳴くみたいな声で。
キュッと寄せられた眉根にキスをして、そのまま唇にも触れた。
前までなら寝顔に口づけるなんて恐れ多くてできなかったけど、きっと今なら許される。それだけのことを、二人でしてきている。
……クチで抜いてあげるくらいなら、いいのでは?
突っ込むわけじゃないし。そもそも俺はスるためにお呼ばれしているのだから、スッキリさせてあげるのも使用人の務めなのでは?
柔らかいシルクのパジャマをゆっくり脱がせつつ、舌で肌をなぞっていく。肌のほうが生地よりもずっと触り心地がいい。いつもはあまり乳首を舐めさせてくれないから、今日はいっぱい吸っておこう。
「はぁ……、あ……ん……ッ」
寝てても感じるのか、いつもよりも素直に声が漏れる。舌でプツンとした感触を味わって、断続的に吸い上げる。唾液で濡れて、赤くてトロトロいやらしい。
フウッと息を吹きかけると、身体がピクンと跳ねた。
ちゃんと下半身も反応してきてる。こっちも触ってあげないと、苦しいかも。おっぱいでもちゃんと勃起するんだな。前はくすぐったいなんて言ってたのに。
俺が可愛がり続けてきたからだと思うと感慨深い……。
ズボンを下着ごとおろし、今度は緩く立ち上がったソレをくわえる。
……水気に反応してウッカリ漏らしたりしてくれないかな。勃ってるから無理か。あと今日はバスタオル敷いてないから受け止めきれるか心配。
口いっぱいに唾液をためて、扱かないようゆっくりチュプチュプと顔を前後させる。
「ふあ、あ、あっ……あ……? あ、朝……朝香?」
あ。起きた。
「おはようございます。んむ……」
「あっ! んぅ、馬鹿、挨拶しながらくわえる、なぁ……ッ」
秋尋様が俺の頭をきゅーっと押さえる。むしろそれ、喉奥まで深く入ってしまうんですが。
えづくなんてそんなこと、絶対にできない。開いて迎え入れて、やんわりと締めた。
「あ、あ、あっ……気持ちい……」
可愛くって、俺も気持ちいい。俺の口内でひくつく秋尋様の感覚を楽しんで舌を絡めて吸い上げる。
「はぁ、あ……も……。もっと。もっとして、朝香……。なんか、凄い、ムズムズする……」
やらしいが過ぎませんか、秋尋様。
起き抜けでまだ夢見心地なのか、少し舌ったらずな呂律と涙混じりの声でもっととねだる。
もういくらでも与えたい。全部受け止めたい。
後ろを触る気はなかったけど唾液だけで滑らせて中からも射精を促してあげると、秋尋様はアッサリと熱を吐き出してくれた。もちろん一滴残さず飲み込んだ。
「はぁ、はぁ……は……。お前……、寝込みを……襲うなんて……」
「えっ。これって寝込みを襲ったことになりますか!?」
「何を驚いてる。それ以外のなんだというんだ。まあ、確かに……約束はしていたが……」
「えと……。最後まで……。する、つもりはなくて、秋尋様だけ……。スッキリさせて、あげようかと思ってて……」
もたつきながら言い訳すると、大きな溜息をつかれた。
秋尋様が自分の胸元に視線をおろす。
「引くくらい、べっちゃべちゃだし……」
「秋尋様の味がしなくなるまで舐めたので……」
俺の唾液でまみれた肌に、秋尋様が指をぬるりと這わせて、あろうことかその指をペロリと舐めた。
「……お前の味がする」
えっ……。すっごい、えっちだ……。なに、なん……。
わかってやってる? 誘ってる?
もう、ちんちんが勃ちすぎて痛い……。
「それで……? しないのか? 最後まで」
「し、します!!」
許してくれちゃうんだ。身体も、寝込みを襲った俺のことも。
「痛いのは嫌だから、ゆっくり、気持ちよくしてくれ」
「もちろんです。舐めます、念入りに」
「そ、それも……恥ずかしいから、いやだ……」
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