6 / 50
ステージ2
今の親友みたいじゃなかった?
しおりを挟む
真山くんのアイデア通り、一人暮らししていた彼のアパートが全焼したという話にして、暫く家に泊めることになった。思った以上にあっさりとことが運んだ。
家族の一人くらい、もうちょっと迷うとかしてもいいんじゃないか? 一応うちには年頃の娘がいるんだぞ。
しかもその妹自身が喜びまくりのブリッコしまくりだし、どうして心配にならないのか不思議だ。下手すると真山くんに夜這いをかけるという逆な展開も待っているというのに。
まあ、俺と同室でそれはないだろうけど。……ないよな?
しかしながらうちの両親的には、俺が家に泊めるくらい親しい友人を家に連れてきたというほうが重要だったらしい。あとは、チャラく見えても真山くんの人のよさが透けてみえるから……か。
実をいうと、真山くんの話を両親にする時、虐められてると勘違いするのでは……と危惧していたので、多少安心した。
「真山くんは格好いいなあ。いっそうちに婿入りしてきたらどうだい」
「やだあ、父さんたらっ」
「それいいわね。私もこんなカッコイイ息子が欲しいわ。うちのは何かというと部屋にこもってゲームばっかりで……。もっと連れ出してちょうだい」
それどころかすっかり気にいられて俺が蚊帳の外で、真山くん家族化計画が進んでいる。勘弁してもらいたい。
しかもちゃっかり俺に関する愚痴まで言われた。大学へは行ってるんだし、そう言われるほど引きこもってもないじゃないか。休日朝から晩まで家にいるくらいで。
「いえ、そんな長くお世話になるのは申し訳ないですから、当面一週間だけで大丈夫です。冬夜とはとても仲良くさせていただいてます。親友だもんな?」
真山くんがニッと笑う。
「……友達だよ、ただの」
嬉しかったのに、俺は素直になれなかった。でも友達だとすら思っていなかった俺にそう言わせたことが真山くんの中では重要だったらしく、そう言われてもニヤニヤしていた。
「冬夜はただの友達を凄く心配して、泊まりにこいよって言ってくれるとてもいい奴なんですよ。それじゃ、暫くよろしくお願いしますね」
そんな要領のよさそうな言葉で締めくくって、俺の肩を抱く。
暗に友達以上の仲ですよって家族に宣言しているようなものだ。家族は嬉しそうにニコニコしていた。
俺はなんだか気恥ずかしくなって、真山くんの手を引っ張ってさっさと部屋へ引き戻った。
「やー、思ったより簡単にいってよかったな。冬夜の両親ともいい人でよかった」
「まあ……」
家族のことを褒められるのはそう悪い気はせず、口ごもる。真山くんはそんな俺に、ギリギリまで顔を近づけてきて笑った。
「もちろん、冬夜もいい奴だけどな?」
「親友ごっこは、もうおしまい」
顔を引き剥がして、俺はフローリングの床に中敷きと毛布を放った。
「これが寝床でいいですか?」
「つれないなあ。ごっこだとか、床で寝ろだとか。冷たいよ、冬夜クン」
「でも他にベッドないんで」
「一緒に眠ればいいだろ」
「えー……。男同士で同じベッドとか……」
「いいじゃないか。裸ならぬパジャマの付き合い……」
「パジャマ……」
「お、その気になった?」
「じゃなくて、下着とかパジャマは?」
「…………その、冬夜。バイト代出たら必ず返すから!」
俺のを貸すはめになるのか……。はぁ。
「パジャマはいいとして、下着はさすがに買いに行かないとな」
「えー、オレ別に冬夜の使用済でも気にしないぜ。洗濯はしてあるなら」
「俺が気にします。近くのコンビニへ買いに行こう」
「じゃあ買いに行ったら、オレもベットで一緒に寝てもいい?」
「なんですかその交換条件は。どこからどこまでも俺にメリットがない。男の下着奢らされて挙げ句ひとつのベットで寝るとかどんな罰ゲームだよ」
最後のほうはもう独り言に近かった。
ベットが広いならまだいいけど、俺のベットは狭いし嫌でも密着する。つまり凄く……寝にくいじゃないか。
男とピッタリくっつくっていうのもあれだし。
「でもなんか、親しくなれる気がする。一緒に寝たら冬夜がオレに懐いてくれるような気が!」
「ありえませんから」
「えー、つれないな。ケチ!」
「ケチじゃない証拠に下着は買ってあげますから」
「パジャマは?」
「俺のでいいでしょ、そこまで体格に差はなさそうだし。俺より背は高いけど、細い気がする」
「バカッ、オレのはスレンダーっていうんだ! 筋肉はついてるしな!」
スレンダーって基本女性に使う言葉じゃないか……?
「ほら、それこそ馬鹿なこと言ってないで、行きますよ」
俺はカバンから財布を取り出してコートのポケットへ突っ込んだ。
真山くんは面白くなさそうに唇を尖らせている。オレは行かないぞ! ということを主張するように、ベットへ腰を下ろしながら。
「そんなに俺の使用済下着が履きたいんですか? ……引くわ」
「ちょっ、ちげーよ! 行く、行くから!」
なんとはなしにからかって見ると、割合素直に立ち上がってくれた。
「へへへっ」
しかも今度はやたら嬉しそう。
「今の親友みたいじゃなかった?」
「勝手に言っててください」
「あー、マジつれない。やっぱり一緒のベットで寝る作戦だな」
「だから意味ないですって、それ」
そんな作戦決行しなくても、もう充分懐いてるんだから。
真山くんは気づいてないだろうけどさ。
いや……彼のことだから、本当は気づいているのかもしれない。
家族の一人くらい、もうちょっと迷うとかしてもいいんじゃないか? 一応うちには年頃の娘がいるんだぞ。
しかもその妹自身が喜びまくりのブリッコしまくりだし、どうして心配にならないのか不思議だ。下手すると真山くんに夜這いをかけるという逆な展開も待っているというのに。
まあ、俺と同室でそれはないだろうけど。……ないよな?
しかしながらうちの両親的には、俺が家に泊めるくらい親しい友人を家に連れてきたというほうが重要だったらしい。あとは、チャラく見えても真山くんの人のよさが透けてみえるから……か。
実をいうと、真山くんの話を両親にする時、虐められてると勘違いするのでは……と危惧していたので、多少安心した。
「真山くんは格好いいなあ。いっそうちに婿入りしてきたらどうだい」
「やだあ、父さんたらっ」
「それいいわね。私もこんなカッコイイ息子が欲しいわ。うちのは何かというと部屋にこもってゲームばっかりで……。もっと連れ出してちょうだい」
それどころかすっかり気にいられて俺が蚊帳の外で、真山くん家族化計画が進んでいる。勘弁してもらいたい。
しかもちゃっかり俺に関する愚痴まで言われた。大学へは行ってるんだし、そう言われるほど引きこもってもないじゃないか。休日朝から晩まで家にいるくらいで。
「いえ、そんな長くお世話になるのは申し訳ないですから、当面一週間だけで大丈夫です。冬夜とはとても仲良くさせていただいてます。親友だもんな?」
真山くんがニッと笑う。
「……友達だよ、ただの」
嬉しかったのに、俺は素直になれなかった。でも友達だとすら思っていなかった俺にそう言わせたことが真山くんの中では重要だったらしく、そう言われてもニヤニヤしていた。
「冬夜はただの友達を凄く心配して、泊まりにこいよって言ってくれるとてもいい奴なんですよ。それじゃ、暫くよろしくお願いしますね」
そんな要領のよさそうな言葉で締めくくって、俺の肩を抱く。
暗に友達以上の仲ですよって家族に宣言しているようなものだ。家族は嬉しそうにニコニコしていた。
俺はなんだか気恥ずかしくなって、真山くんの手を引っ張ってさっさと部屋へ引き戻った。
「やー、思ったより簡単にいってよかったな。冬夜の両親ともいい人でよかった」
「まあ……」
家族のことを褒められるのはそう悪い気はせず、口ごもる。真山くんはそんな俺に、ギリギリまで顔を近づけてきて笑った。
「もちろん、冬夜もいい奴だけどな?」
「親友ごっこは、もうおしまい」
顔を引き剥がして、俺はフローリングの床に中敷きと毛布を放った。
「これが寝床でいいですか?」
「つれないなあ。ごっこだとか、床で寝ろだとか。冷たいよ、冬夜クン」
「でも他にベッドないんで」
「一緒に眠ればいいだろ」
「えー……。男同士で同じベッドとか……」
「いいじゃないか。裸ならぬパジャマの付き合い……」
「パジャマ……」
「お、その気になった?」
「じゃなくて、下着とかパジャマは?」
「…………その、冬夜。バイト代出たら必ず返すから!」
俺のを貸すはめになるのか……。はぁ。
「パジャマはいいとして、下着はさすがに買いに行かないとな」
「えー、オレ別に冬夜の使用済でも気にしないぜ。洗濯はしてあるなら」
「俺が気にします。近くのコンビニへ買いに行こう」
「じゃあ買いに行ったら、オレもベットで一緒に寝てもいい?」
「なんですかその交換条件は。どこからどこまでも俺にメリットがない。男の下着奢らされて挙げ句ひとつのベットで寝るとかどんな罰ゲームだよ」
最後のほうはもう独り言に近かった。
ベットが広いならまだいいけど、俺のベットは狭いし嫌でも密着する。つまり凄く……寝にくいじゃないか。
男とピッタリくっつくっていうのもあれだし。
「でもなんか、親しくなれる気がする。一緒に寝たら冬夜がオレに懐いてくれるような気が!」
「ありえませんから」
「えー、つれないな。ケチ!」
「ケチじゃない証拠に下着は買ってあげますから」
「パジャマは?」
「俺のでいいでしょ、そこまで体格に差はなさそうだし。俺より背は高いけど、細い気がする」
「バカッ、オレのはスレンダーっていうんだ! 筋肉はついてるしな!」
スレンダーって基本女性に使う言葉じゃないか……?
「ほら、それこそ馬鹿なこと言ってないで、行きますよ」
俺はカバンから財布を取り出してコートのポケットへ突っ込んだ。
真山くんは面白くなさそうに唇を尖らせている。オレは行かないぞ! ということを主張するように、ベットへ腰を下ろしながら。
「そんなに俺の使用済下着が履きたいんですか? ……引くわ」
「ちょっ、ちげーよ! 行く、行くから!」
なんとはなしにからかって見ると、割合素直に立ち上がってくれた。
「へへへっ」
しかも今度はやたら嬉しそう。
「今の親友みたいじゃなかった?」
「勝手に言っててください」
「あー、マジつれない。やっぱり一緒のベットで寝る作戦だな」
「だから意味ないですって、それ」
そんな作戦決行しなくても、もう充分懐いてるんだから。
真山くんは気づいてないだろうけどさ。
いや……彼のことだから、本当は気づいているのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる