親友ポジション

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ステージ2

今の親友みたいじゃなかった?

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 真山くんのアイデア通り、一人暮らししていた彼のアパートが全焼したという話にして、暫く家に泊めることになった。思った以上にあっさりとことが運んだ。
 家族の一人くらい、もうちょっと迷うとかしてもいいんじゃないか? 一応うちには年頃の娘がいるんだぞ。
 しかもその妹自身が喜びまくりのブリッコしまくりだし、どうして心配にならないのか不思議だ。下手すると真山くんに夜這いをかけるという逆な展開も待っているというのに。
 まあ、俺と同室でそれはないだろうけど。……ないよな?
 しかしながらうちの両親的には、俺が家に泊めるくらい親しい友人を家に連れてきたというほうが重要だったらしい。あとは、チャラく見えても真山くんの人のよさが透けてみえるから……か。
 実をいうと、真山くんの話を両親にする時、虐められてると勘違いするのでは……と危惧していたので、多少安心した。
 
「真山くんは格好いいなあ。いっそうちに婿入りしてきたらどうだい」
「やだあ、父さんたらっ」
「それいいわね。私もこんなカッコイイ息子が欲しいわ。うちのは何かというと部屋にこもってゲームばっかりで……。もっと連れ出してちょうだい」
 
 それどころかすっかり気にいられて俺が蚊帳の外で、真山くん家族化計画が進んでいる。勘弁してもらいたい。
 しかもちゃっかり俺に関する愚痴まで言われた。大学へは行ってるんだし、そう言われるほど引きこもってもないじゃないか。休日朝から晩まで家にいるくらいで。
 
「いえ、そんな長くお世話になるのは申し訳ないですから、当面一週間だけで大丈夫です。冬夜とはとても仲良くさせていただいてます。親友だもんな?」
 
 真山くんがニッと笑う。
 
「……友達だよ、ただの」
 
 嬉しかったのに、俺は素直になれなかった。でも友達だとすら思っていなかった俺にそう言わせたことが真山くんの中では重要だったらしく、そう言われてもニヤニヤしていた。
 
「冬夜はただの友達を凄く心配して、泊まりにこいよって言ってくれるとてもいい奴なんですよ。それじゃ、暫くよろしくお願いしますね」
 
 そんな要領のよさそうな言葉で締めくくって、俺の肩を抱く。
 暗に友達以上の仲ですよって家族に宣言しているようなものだ。家族は嬉しそうにニコニコしていた。
 俺はなんだか気恥ずかしくなって、真山くんの手を引っ張ってさっさと部屋へ引き戻った。
 
「やー、思ったより簡単にいってよかったな。冬夜の両親ともいい人でよかった」
「まあ……」
 
 家族のことを褒められるのはそう悪い気はせず、口ごもる。真山くんはそんな俺に、ギリギリまで顔を近づけてきて笑った。
 
「もちろん、冬夜もいい奴だけどな?」
「親友ごっこは、もうおしまい」
 
 顔を引き剥がして、俺はフローリングの床に中敷きと毛布を放った。
 
「これが寝床でいいですか?」
「つれないなあ。ごっこだとか、床で寝ろだとか。冷たいよ、冬夜クン」
「でも他にベッドないんで」
「一緒に眠ればいいだろ」
「えー……。男同士で同じベッドとか……」 
「いいじゃないか。裸ならぬパジャマの付き合い……」
「パジャマ……」
「お、その気になった?」
「じゃなくて、下着とかパジャマは?」
「…………その、冬夜。バイト代出たら必ず返すから!」
 
 俺のを貸すはめになるのか……。はぁ。
 
「パジャマはいいとして、下着はさすがに買いに行かないとな」
「えー、オレ別に冬夜の使用済でも気にしないぜ。洗濯はしてあるなら」
「俺が気にします。近くのコンビニへ買いに行こう」
「じゃあ買いに行ったら、オレもベットで一緒に寝てもいい?」
「なんですかその交換条件は。どこからどこまでも俺にメリットがない。男の下着奢らされて挙げ句ひとつのベットで寝るとかどんな罰ゲームだよ」
 
 最後のほうはもう独り言に近かった。
 ベットが広いならまだいいけど、俺のベットは狭いし嫌でも密着する。つまり凄く……寝にくいじゃないか。
 男とピッタリくっつくっていうのもあれだし。
 
「でもなんか、親しくなれる気がする。一緒に寝たら冬夜がオレに懐いてくれるような気が!」
「ありえませんから」
「えー、つれないな。ケチ!」
「ケチじゃない証拠に下着は買ってあげますから」
「パジャマは?」
「俺のでいいでしょ、そこまで体格に差はなさそうだし。俺より背は高いけど、細い気がする」
「バカッ、オレのはスレンダーっていうんだ! 筋肉はついてるしな!」
 
 スレンダーって基本女性に使う言葉じゃないか……?
 
「ほら、それこそ馬鹿なこと言ってないで、行きますよ」
 
 俺はカバンから財布を取り出してコートのポケットへ突っ込んだ。
 真山くんは面白くなさそうに唇を尖らせている。オレは行かないぞ! ということを主張するように、ベットへ腰を下ろしながら。
 
「そんなに俺の使用済下着が履きたいんですか? ……引くわ」
「ちょっ、ちげーよ! 行く、行くから!」
 
 なんとはなしにからかって見ると、割合素直に立ち上がってくれた。
 
「へへへっ」
 
 しかも今度はやたら嬉しそう。
 
「今の親友みたいじゃなかった?」
「勝手に言っててください」
「あー、マジつれない。やっぱり一緒のベットで寝る作戦だな」
「だから意味ないですって、それ」
 
 そんな作戦決行しなくても、もう充分懐いてるんだから。
 真山くんは気づいてないだろうけどさ。
 いや……彼のことだから、本当は気づいているのかもしれない。
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