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ステージ3
スキンシップ
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朝起きると真山くんの顔が目の前にあって心臓が止まるかと思った。
俺、寝てる間に寝返りでも打ったのか……。真山くんを蹴ったりしてないといいけど。
時計を見ればまだ朝六時。ゲームもできずに早く寝たから、どうやら早起きしてしまったらしい。
早朝だからもちろん寒いけど、布団の中は人肌でぬくぬくしている。それどころか俺は、人と眠るということに緊張して汗をかいていた。
男と一緒に寝るのは嫌だとか文句言ってたのに、ちょっとこの暖かさは幸せだ。でもやっぱり、居心地は悪い気がする。狭いし密着してるし。
まだ早いからもうちょっと寝ようかな。でもなんか、目が冴えちゃってるや。
真山くん、やっぱ睫毛長いなー。顔とか本当に作り物みたいだな。
そういえば昨日はもうベッドへ潜り込んでいたから気にしなかったけど、パジャマのサイズ平気だったのかな。
気になって身体を動かすと、冷たい空気がベッドの中へ入り込んできた。
うう、寒い……。
「ん……」
寒かったのは俺だけじゃなかったらしく、真山くんが呻いて寝返りを打った。ぶるりと身を震わせて、壁のほうを向いて丸まった。
……なんか、猫みたい。
昨日の夜とはまったく逆の構図だ。昨日真山くんはこんな感じで、俺の背中を眺めていたんだろうか。
パジャマは別に、小さすぎたり大きすぎたりしてない。まあ、パジャマが着回しできないほど体格差がある訳じゃないしな。
そっと手を伸ばして背中に触れてみる。真山くんが起きる様子はない。
昨日は俺より細いかと思った身体は、引き締まってるだけでそう細すぎって訳でもなさそうだった。俺より多少縦に長いから、そう見えたのかも。
って、男の身体チェックしてる俺、なんかキモイな……。
もう起きるか。というか周りがよく見えると思ったら昨日眼鏡かけたまま寝ちゃったんだな。外すタイミングを失ったというか……なんか、心の中、それどころじゃなかったから。
身を起こしてベッドを出ようとすると、後ろからぎゅうっと抱きしめられた。
「うわっ、何っ……!」
「なんだよ、まだ早ぇよ。もうちょっと寝ようぜ」
「いや、俺はもう……」
「あ」
真山くんが何か思いついたというような声を上げて、俺の股間をまさぐった。
思考が停止した。
「朝勃ちでも処理してくんの? って勃ってねーな」
俺は今まで、友達と言える友達がいなかった。だから当然、こんなふうにふざけた感じのスキンシップをしたこともない。
「な、な、なっ……!」
声にならない。他人の急所を掴むなんて信じられない。勃つどころかキュッと縮んだぞ!
大体朝勃ちの処理なんてしない! トイレいけば自然とおさまるんだよ、こんなの。
「さ、触らないでください!」
「うん」
真山くんはそう言って素直に手を引いた。身体も退けた。後ろでベッドへ重い物が沈み込む音がする。
振り返ってみれば、枕を抱えて眠ってる。
半分くらい寝てたのか……? 昨日俺より寝るの、早かったんじゃないの? もしかして真山くん、やっぱりあの時寝たふりだったのかな。
あー、でも、やっぱちゃんと、寝るんだ。さっき散々寝顔見ておいて、今更だけど。
とりあえず先に着替えるか。仲良く二人で着替えというのも、むさ苦しそうな光景だし。
昨日真山くんと買った服を着ていこうかな。
……なんだろう、この妙な気恥ずかしさは。
緊張している訳でもないのに指が上手く動かなくてボタンがとめられないという不思議な現象を体験しながら着替えを終える。
真山くんをちらりと見ると、幸せそうな間抜けそうな顔で口をぽかんと開けて眠っていた。
こんなだらしない顔しててもイケメンなんだもんな。まいるよ。思わずほっぺでも引っ張りたくなるじゃないか。
って、もう30分も経ってるし。どれだけもたもた着替えをしてたんだ、俺。
そろそろ真山くん起こしておくかな……。どうしようか。まあ、まだいいか。
俺は溜息をひとつついて、パソコンの前に座った。デスクトップのほうだ。
動かなくなってしまったノートパソコンは昨日真山くんが風呂へ入ってる間にクローゼットへしまっておいた。
捨てるつもりだったけど、あのディスクが飲み込まれたまま手放すのは、なんとなくまずい気もして……。
パソコンを起動して少しネサフ。今更遅いだろうが、ブクマを少し隠しておこう。あと危険なフォルダも。
あ、一応パスワードも設定して……と。
真山くんにはロリコンとか言われたけど、俺はそういう感じのキャラが好きなだけであって、現実世界で幼い子に欲情したりはしない。
強姦モノが好きでも実際にはそんなことしないのと、同じような感じ。創り物の世界だからいいと思える。
そして恋愛対象にならないだけで女性の裸を見れば興奮はする、いたって普通の男だ。
女の裸を見ても欲情しないくらい徹底してたら、真山くんも諦めてくれたかな……。まあ、好んで見る訳じゃないんだけど。
俺はそんなことをぼんやり考えながら、サイト巡りをしていた。
うん、やっぱり2次元最高。
エロがなくても、こうやってロリっ娘絵サイト見るだけで癒されるなー。
「んー。あれ、冬夜?」
あ。起きたっぽい。パソコン終了。
真山くんは眠そうに、ベッドの上で何かを探している。
何を探しているんだろうと少し考えて、それが俺だということに気づいた途端、頬が熱くなった。
うわ、何これ。俺なんで照れてんの? キモイ!
というかなんで探す! 抱きしめでもする気か!?
「もう起きてます」
「あ?」
俺の声ではっきりと覚醒したのか、真山くんが眠そうだった目をパッチリ開けてこちらを見た。
そして、ベッドの上に正座した。
「わ、やべ。もしかしてオレ、お前のこと蹴っ飛ばしたりした?」
俺がさっきしてた心配と同じこと言ってる。この感じじゃ俺も蹴飛ばしてはなさそうだ。というか、真山くんは蹴飛ばされても気づかないで寝てそうだ……。
「なんだろ。オレ超寝起き悪いみたい。ごめんな、冬夜」
「いや……。それより、朝食行きましょう。もう7時です」
「あぁ。あー……一緒に寝た仲なのに、冬夜の敬語、なおんない」
そんな、本気でしょんぼりした顔しなくても。
「一晩一緒に寝たくらいで、早々タメ口になれる訳がない。俺が努力……でもしない限りはさ」
俺はそう言ってドアに向かってから、真山くんを振り返る。
「ほら、行こう。遅刻したら、困るだろ」
「……つまり、努力、してくれてんの?」
「……さあ」
今なら俺、恥ずかしさで死ねるかも。
着てるのは選んでもらった服だし、ほだされ流され全開じゃないか。
でも真山くんがあまりに嬉しそうに笑うから、なんかもうどーでもいいやって気になった。
俺、寝てる間に寝返りでも打ったのか……。真山くんを蹴ったりしてないといいけど。
時計を見ればまだ朝六時。ゲームもできずに早く寝たから、どうやら早起きしてしまったらしい。
早朝だからもちろん寒いけど、布団の中は人肌でぬくぬくしている。それどころか俺は、人と眠るということに緊張して汗をかいていた。
男と一緒に寝るのは嫌だとか文句言ってたのに、ちょっとこの暖かさは幸せだ。でもやっぱり、居心地は悪い気がする。狭いし密着してるし。
まだ早いからもうちょっと寝ようかな。でもなんか、目が冴えちゃってるや。
真山くん、やっぱ睫毛長いなー。顔とか本当に作り物みたいだな。
そういえば昨日はもうベッドへ潜り込んでいたから気にしなかったけど、パジャマのサイズ平気だったのかな。
気になって身体を動かすと、冷たい空気がベッドの中へ入り込んできた。
うう、寒い……。
「ん……」
寒かったのは俺だけじゃなかったらしく、真山くんが呻いて寝返りを打った。ぶるりと身を震わせて、壁のほうを向いて丸まった。
……なんか、猫みたい。
昨日の夜とはまったく逆の構図だ。昨日真山くんはこんな感じで、俺の背中を眺めていたんだろうか。
パジャマは別に、小さすぎたり大きすぎたりしてない。まあ、パジャマが着回しできないほど体格差がある訳じゃないしな。
そっと手を伸ばして背中に触れてみる。真山くんが起きる様子はない。
昨日は俺より細いかと思った身体は、引き締まってるだけでそう細すぎって訳でもなさそうだった。俺より多少縦に長いから、そう見えたのかも。
って、男の身体チェックしてる俺、なんかキモイな……。
もう起きるか。というか周りがよく見えると思ったら昨日眼鏡かけたまま寝ちゃったんだな。外すタイミングを失ったというか……なんか、心の中、それどころじゃなかったから。
身を起こしてベッドを出ようとすると、後ろからぎゅうっと抱きしめられた。
「うわっ、何っ……!」
「なんだよ、まだ早ぇよ。もうちょっと寝ようぜ」
「いや、俺はもう……」
「あ」
真山くんが何か思いついたというような声を上げて、俺の股間をまさぐった。
思考が停止した。
「朝勃ちでも処理してくんの? って勃ってねーな」
俺は今まで、友達と言える友達がいなかった。だから当然、こんなふうにふざけた感じのスキンシップをしたこともない。
「な、な、なっ……!」
声にならない。他人の急所を掴むなんて信じられない。勃つどころかキュッと縮んだぞ!
大体朝勃ちの処理なんてしない! トイレいけば自然とおさまるんだよ、こんなの。
「さ、触らないでください!」
「うん」
真山くんはそう言って素直に手を引いた。身体も退けた。後ろでベッドへ重い物が沈み込む音がする。
振り返ってみれば、枕を抱えて眠ってる。
半分くらい寝てたのか……? 昨日俺より寝るの、早かったんじゃないの? もしかして真山くん、やっぱりあの時寝たふりだったのかな。
あー、でも、やっぱちゃんと、寝るんだ。さっき散々寝顔見ておいて、今更だけど。
とりあえず先に着替えるか。仲良く二人で着替えというのも、むさ苦しそうな光景だし。
昨日真山くんと買った服を着ていこうかな。
……なんだろう、この妙な気恥ずかしさは。
緊張している訳でもないのに指が上手く動かなくてボタンがとめられないという不思議な現象を体験しながら着替えを終える。
真山くんをちらりと見ると、幸せそうな間抜けそうな顔で口をぽかんと開けて眠っていた。
こんなだらしない顔しててもイケメンなんだもんな。まいるよ。思わずほっぺでも引っ張りたくなるじゃないか。
って、もう30分も経ってるし。どれだけもたもた着替えをしてたんだ、俺。
そろそろ真山くん起こしておくかな……。どうしようか。まあ、まだいいか。
俺は溜息をひとつついて、パソコンの前に座った。デスクトップのほうだ。
動かなくなってしまったノートパソコンは昨日真山くんが風呂へ入ってる間にクローゼットへしまっておいた。
捨てるつもりだったけど、あのディスクが飲み込まれたまま手放すのは、なんとなくまずい気もして……。
パソコンを起動して少しネサフ。今更遅いだろうが、ブクマを少し隠しておこう。あと危険なフォルダも。
あ、一応パスワードも設定して……と。
真山くんにはロリコンとか言われたけど、俺はそういう感じのキャラが好きなだけであって、現実世界で幼い子に欲情したりはしない。
強姦モノが好きでも実際にはそんなことしないのと、同じような感じ。創り物の世界だからいいと思える。
そして恋愛対象にならないだけで女性の裸を見れば興奮はする、いたって普通の男だ。
女の裸を見ても欲情しないくらい徹底してたら、真山くんも諦めてくれたかな……。まあ、好んで見る訳じゃないんだけど。
俺はそんなことをぼんやり考えながら、サイト巡りをしていた。
うん、やっぱり2次元最高。
エロがなくても、こうやってロリっ娘絵サイト見るだけで癒されるなー。
「んー。あれ、冬夜?」
あ。起きたっぽい。パソコン終了。
真山くんは眠そうに、ベッドの上で何かを探している。
何を探しているんだろうと少し考えて、それが俺だということに気づいた途端、頬が熱くなった。
うわ、何これ。俺なんで照れてんの? キモイ!
というかなんで探す! 抱きしめでもする気か!?
「もう起きてます」
「あ?」
俺の声ではっきりと覚醒したのか、真山くんが眠そうだった目をパッチリ開けてこちらを見た。
そして、ベッドの上に正座した。
「わ、やべ。もしかしてオレ、お前のこと蹴っ飛ばしたりした?」
俺がさっきしてた心配と同じこと言ってる。この感じじゃ俺も蹴飛ばしてはなさそうだ。というか、真山くんは蹴飛ばされても気づかないで寝てそうだ……。
「なんだろ。オレ超寝起き悪いみたい。ごめんな、冬夜」
「いや……。それより、朝食行きましょう。もう7時です」
「あぁ。あー……一緒に寝た仲なのに、冬夜の敬語、なおんない」
そんな、本気でしょんぼりした顔しなくても。
「一晩一緒に寝たくらいで、早々タメ口になれる訳がない。俺が努力……でもしない限りはさ」
俺はそう言ってドアに向かってから、真山くんを振り返る。
「ほら、行こう。遅刻したら、困るだろ」
「……つまり、努力、してくれてんの?」
「……さあ」
今なら俺、恥ずかしさで死ねるかも。
着てるのは選んでもらった服だし、ほだされ流され全開じゃないか。
でも真山くんがあまりに嬉しそうに笑うから、なんかもうどーでもいいやって気になった。
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