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ステージ4
キス
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羽布団を買って、合コン用の服! とか勝手に服を見立てられて、それを購入。そして帰りにスーパーでお買い物してマンションへ帰還。
ちなみに羽布団はお持ち帰りなので、各所で俺が待たされた。つまり、荷物持ち。
まあ、真山くんは今日から一人暮らしで必要な物も多いだろうから仕方ない。
俺は自分が抱えて帰ってきた新しい布団を出して、その上でゴロゴロしながら夕飯ができるのを待っていた。
「お待たせー」
「肉じゃが……」
「あれ、嫌いだった?」
「作るの早すぎじゃないか?」
「いやー。よく考えたら調味料とかもなんもないからさー、お惣菜と白ご飯買ってきたの出しただけ。小さい鍋も買ってきたからとりあえず温めてみた……」
「……レンジは早めに買ったほうがよさそうだね」
「そのようです」
真山くんが買ってきた肉じゃがはそれなりに美味しかった。
お茶碗と箸と皿は何故か2セットずつあった。どうやら買い揃えたらしい。
ちなみに、テーブルはないから床置きだ。
「真山くん、ありがとう。ごちそうさま」
とりあえず、真山くんの奢りには違いないので、お礼を言っておく。
「おー。次の時はちゃんと作るからな」
「楽しみにしてる。でもさ、俺の分の食器用意する前に、レンジとかもっと必要なの買ってくればいいのに」
「いや、これ必要よ。超重要」
「そ、そう……」
「あと、これもな」
「っ、真山くん!?」
腕を伸ばした真山くんに、後ろから抱きしめられて狼狽する。一瞬羽交い締めにされるのかと思った。
背中が暖かいというか、何この状況。俺が必要とか超重要とかそういう意味!?
「冬夜……」
「あっ……」
耳元で囁かれて、思わず身体が跳ねた。
「何、今の声。お前耳弱いの?」
「くすぐったかっただけだ! というか、冗談やめろよ」
「冗談じゃねーっつったら?」
「ひ……、ちょ、何して」
耳たぶを軽く噛まれる。何がなんだかわからない。
「まっ、真山く……」
「これ、ここにつけて」
後ろから目の前に回された手の平。そこにはプレートにはまった丸く小さな黒ピアスが乗っていた。
「ピアス……?」
「ちがーう。これ、ピアスっぽく見えるけど、イヤリングな。オレさ、お前に何か買ってやりたかったんだよ」
「そ、それは嬉しいけどさ。でも、こうやって抱き抱えたり耳を舐めたりする理由はどこに?」
「そんなの、決まってるだろ……」
「え……?」
「からかっただけだ」
とりあえずイヤリングを受け取ってから、真山くんを羽布団に沈めておいた。
正直なところ、アクセサリーをつけるなんて初めてだ。
リングもブレスレットもしたことがない。
「オレがつけてやるのに……」
「真山くんは変なことするから嫌だ」
洗面所で悪戦苦闘しながらようやくつけたそれは、案の定似合ってなかった。
「さっきの勝負服には、あうと思うぜ。でも耳だけってのもアレだから、ブレスやリングも揃えればよかったな」
「いや、どんな服着てても俺には似合わないと思うよ……」
それでも、気持ちを込めたプレゼントはやっぱり嬉しくて、俺はそれを耳から外してプレートに戻し、ポケットに入れた。
「それに、合コンは参加だけで彼女を作る気なんてまったくないから。本当に、端っこに座ってるだけだから」
「まあ、とりあえずそれで……。何が起こるかはわからないけどな」
「起こらない」
真山くんは何やら考え込んで、俺の唇を人差し指でついた。
「何……?」
「王様ゲームとかで、キスすることになるかもしんねーし」
状況を想像してみた。
絶対断れない雰囲気だな……。逃げたくなってきた。
ご、後生大事にとってある訳じゃなし、まあキス程度なら……。
ギャルに? 自分から? 無理だ!
「無理って顔してんな」
「無理だ!」
「仕方ねーな。ほれ、練習」
「……ッ!?」
真山くんが俺の頬に掠めるようなキスをした。
「な、なっ……」
「こうしたあと、頬にするのが限界です……って真っ赤になって言ってみろ。母性本能くすぐられるお姉さんがいるかも」
「普通にキスするよりもっと無理だ!」
「そうか。普通のキスがいいのか。ファーストキスが男でも構わないか?」
「ちょっと待て。なんで君と練習する話になってるんだ」
「安心しろ。舌とか入れねーし、オレからはしないから」
真山くんが整った顔をギリギリまで近づけてきた。
「ほら、してみ? 俺からしても意味ないからな……」
いや、無理。本当に無理……と固まっていたら、された。
それは一瞬のことで、訳がわからなかった。
「え、え!? ちょ、なっ……」
「わりーわりー。ガッチガチなのが可愛くってさ。でも、吹っ切れた感じすんだろ? たかがキスひとつでもさ」
た、確かにそうかもしれないし、男同士なんてカウントされないだろう。
それに思ったよりは気持ち悪くなかった。びっくりはしたけど。
なんというか……真山くんならノリでこれくらいしても普通っていうか。
はあ、もう怒るほうが馬鹿らしい。
「……真山くんて、本当捨て身だよね」
「そりゃあ、お前に免疫つけて、彼女作ってもらわなきゃなんねーからなっ!」
そのためならなんでもするって?
こっちはいい迷惑すぎる。キスまでされて……。
手の甲で唇を拭うと、なんだかやたら熱くなってる気がした。
「ところでさ、なんでピアスじゃなくてイヤリング? 真山くんなら、ピアスしろとか言ってピアッサーも一緒に渡しそうなのに」
「ん? なんだ、冬夜。身体に穴開けたかったのか?」
「……痛そうだから嫌だ」
「だよな。そう言うと思ったから」
「キスまでしてくる割りには、そういうところは一歩引くんだな」
「んだよ、根に持つなよ。キスと身体傷つけるんじゃ全然違う。前も言わなかったか? オレはこの世界に傷跡を残しちゃいけねーんだよ」
そういえばそんなことを言っていた気がする。ピアスのことだけじゃなく、強引にコンタクトなんかを勧めてこないのも、そのあたりが理由なのかもしれない。
「傷跡ね……。キスとかされたら、心が傷つく……とは思わなかったのか?」
「マジ!? 傷つくほど嫌だった? オレのほうが傷つくわ、それ」
目を覆って泣き崩れる感じの大袈裟なリアクションに、思わず噴き出した。
「嘘だよ。驚いたけど、そんなヤじゃなかった」
「そ? じゃ、今度は舌入れてエロッちいの練習してみる? 天国見せてやるよ」
「全力で遠慮します」
「だよなー。はは、さすがにそれは冗談だ。でも、女落とすためならそれくらいは協力してやるから、いつでも言えよ」
どこまで本気なんだろう……とは思ったが、さすがに聞く勇気はなかった。
ちなみに羽布団はお持ち帰りなので、各所で俺が待たされた。つまり、荷物持ち。
まあ、真山くんは今日から一人暮らしで必要な物も多いだろうから仕方ない。
俺は自分が抱えて帰ってきた新しい布団を出して、その上でゴロゴロしながら夕飯ができるのを待っていた。
「お待たせー」
「肉じゃが……」
「あれ、嫌いだった?」
「作るの早すぎじゃないか?」
「いやー。よく考えたら調味料とかもなんもないからさー、お惣菜と白ご飯買ってきたの出しただけ。小さい鍋も買ってきたからとりあえず温めてみた……」
「……レンジは早めに買ったほうがよさそうだね」
「そのようです」
真山くんが買ってきた肉じゃがはそれなりに美味しかった。
お茶碗と箸と皿は何故か2セットずつあった。どうやら買い揃えたらしい。
ちなみに、テーブルはないから床置きだ。
「真山くん、ありがとう。ごちそうさま」
とりあえず、真山くんの奢りには違いないので、お礼を言っておく。
「おー。次の時はちゃんと作るからな」
「楽しみにしてる。でもさ、俺の分の食器用意する前に、レンジとかもっと必要なの買ってくればいいのに」
「いや、これ必要よ。超重要」
「そ、そう……」
「あと、これもな」
「っ、真山くん!?」
腕を伸ばした真山くんに、後ろから抱きしめられて狼狽する。一瞬羽交い締めにされるのかと思った。
背中が暖かいというか、何この状況。俺が必要とか超重要とかそういう意味!?
「冬夜……」
「あっ……」
耳元で囁かれて、思わず身体が跳ねた。
「何、今の声。お前耳弱いの?」
「くすぐったかっただけだ! というか、冗談やめろよ」
「冗談じゃねーっつったら?」
「ひ……、ちょ、何して」
耳たぶを軽く噛まれる。何がなんだかわからない。
「まっ、真山く……」
「これ、ここにつけて」
後ろから目の前に回された手の平。そこにはプレートにはまった丸く小さな黒ピアスが乗っていた。
「ピアス……?」
「ちがーう。これ、ピアスっぽく見えるけど、イヤリングな。オレさ、お前に何か買ってやりたかったんだよ」
「そ、それは嬉しいけどさ。でも、こうやって抱き抱えたり耳を舐めたりする理由はどこに?」
「そんなの、決まってるだろ……」
「え……?」
「からかっただけだ」
とりあえずイヤリングを受け取ってから、真山くんを羽布団に沈めておいた。
正直なところ、アクセサリーをつけるなんて初めてだ。
リングもブレスレットもしたことがない。
「オレがつけてやるのに……」
「真山くんは変なことするから嫌だ」
洗面所で悪戦苦闘しながらようやくつけたそれは、案の定似合ってなかった。
「さっきの勝負服には、あうと思うぜ。でも耳だけってのもアレだから、ブレスやリングも揃えればよかったな」
「いや、どんな服着てても俺には似合わないと思うよ……」
それでも、気持ちを込めたプレゼントはやっぱり嬉しくて、俺はそれを耳から外してプレートに戻し、ポケットに入れた。
「それに、合コンは参加だけで彼女を作る気なんてまったくないから。本当に、端っこに座ってるだけだから」
「まあ、とりあえずそれで……。何が起こるかはわからないけどな」
「起こらない」
真山くんは何やら考え込んで、俺の唇を人差し指でついた。
「何……?」
「王様ゲームとかで、キスすることになるかもしんねーし」
状況を想像してみた。
絶対断れない雰囲気だな……。逃げたくなってきた。
ご、後生大事にとってある訳じゃなし、まあキス程度なら……。
ギャルに? 自分から? 無理だ!
「無理って顔してんな」
「無理だ!」
「仕方ねーな。ほれ、練習」
「……ッ!?」
真山くんが俺の頬に掠めるようなキスをした。
「な、なっ……」
「こうしたあと、頬にするのが限界です……って真っ赤になって言ってみろ。母性本能くすぐられるお姉さんがいるかも」
「普通にキスするよりもっと無理だ!」
「そうか。普通のキスがいいのか。ファーストキスが男でも構わないか?」
「ちょっと待て。なんで君と練習する話になってるんだ」
「安心しろ。舌とか入れねーし、オレからはしないから」
真山くんが整った顔をギリギリまで近づけてきた。
「ほら、してみ? 俺からしても意味ないからな……」
いや、無理。本当に無理……と固まっていたら、された。
それは一瞬のことで、訳がわからなかった。
「え、え!? ちょ、なっ……」
「わりーわりー。ガッチガチなのが可愛くってさ。でも、吹っ切れた感じすんだろ? たかがキスひとつでもさ」
た、確かにそうかもしれないし、男同士なんてカウントされないだろう。
それに思ったよりは気持ち悪くなかった。びっくりはしたけど。
なんというか……真山くんならノリでこれくらいしても普通っていうか。
はあ、もう怒るほうが馬鹿らしい。
「……真山くんて、本当捨て身だよね」
「そりゃあ、お前に免疫つけて、彼女作ってもらわなきゃなんねーからなっ!」
そのためならなんでもするって?
こっちはいい迷惑すぎる。キスまでされて……。
手の甲で唇を拭うと、なんだかやたら熱くなってる気がした。
「ところでさ、なんでピアスじゃなくてイヤリング? 真山くんなら、ピアスしろとか言ってピアッサーも一緒に渡しそうなのに」
「ん? なんだ、冬夜。身体に穴開けたかったのか?」
「……痛そうだから嫌だ」
「だよな。そう言うと思ったから」
「キスまでしてくる割りには、そういうところは一歩引くんだな」
「んだよ、根に持つなよ。キスと身体傷つけるんじゃ全然違う。前も言わなかったか? オレはこの世界に傷跡を残しちゃいけねーんだよ」
そういえばそんなことを言っていた気がする。ピアスのことだけじゃなく、強引にコンタクトなんかを勧めてこないのも、そのあたりが理由なのかもしれない。
「傷跡ね……。キスとかされたら、心が傷つく……とは思わなかったのか?」
「マジ!? 傷つくほど嫌だった? オレのほうが傷つくわ、それ」
目を覆って泣き崩れる感じの大袈裟なリアクションに、思わず噴き出した。
「嘘だよ。驚いたけど、そんなヤじゃなかった」
「そ? じゃ、今度は舌入れてエロッちいの練習してみる? 天国見せてやるよ」
「全力で遠慮します」
「だよなー。はは、さすがにそれは冗談だ。でも、女落とすためならそれくらいは協力してやるから、いつでも言えよ」
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