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ステージ7
2度目の、親友
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「落ち着いたか?」
「……ん」
ようやく泣きやんだ俺に、真山くんがほっとしたような表情を浮かべる。
「もしかしてオレ、お前の恋人だった奴に似てたとか?」
「うん……」
似ているっていうか……。
恋人だった相手が、記憶喪失になって目の前にいるって感じだ。
「そりゃつらいな。失恋の痛手を癒すには、新しい恋が一番だぞ」
ああ……また、この流れなんだ。
「彼女なら、いらないから。ハッピーエンドは必要ない」
「まあまあ、そう言うな。しかしまいったな。オレも画面から出てしまうのは想定外だ。とりあえず……」
「いいよ、親友になろうか?」
俺はそう言って手を差し出した。
真山くんは少し驚いた表情で、俺の手を握り返す。
「お、おう。なんか話が早いな……。さっきのも、オレが出てきて驚いたって感じじゃなかったし」
「まあね。それで、どうする? 俺はこのゲームをクリアするつもりなんてない。彼女候補なら、義理の妹、バイト先のマネージャー、ツンデレな幼なじみ、合コンで知り合った健気な美少女とよりどりみどりだけど」
「なっ……お前、結構充実した生活送ってんのな。おかしいな……じゃあオレ、なんで出てきたんだろう。なんか別に……オレ必要なさそうだし」
頭に、カッと血が上った。
「必要に……決まってるだろ!」
「冬夜?」
「俺には、何より君が必要なんだ。俺のこと……思い出してよ、頼むから」
「思い出すって、何をだ?」
「……君の記憶なら、そこにあるノートPCに入ってる」
俺は、ノートPCを立ち上げた。
けど……そこに、インストールしたはずのゲームデータは入っていなかった。
「なんの変哲もないパソコンに見えるけどな」
俺がCDを取り出したことで、データが消去された?
俺と真山くんを繋ぐ、唯一のデータが……。
目の前にいる彼は、彼じゃない。
自分で招いた結果なのに、真山くんを返してくれとなじってしまいそうだった。
おかしな話だよ。目の前にいるのだって、同じ真山くんなのに。
「オレには過去の記憶なんて存在しないぜ。書き込めないCDに、保存ができると思うのか?」
「そ、それは……」
プログラムの話が真山くんという存在に対して通用するかはわからない。けど、普通に考えれば……一度書き込まれたゲームCDに上書き保存をすることはできない。
俺は、自分の手で……真山くんとの唯一の記憶まで、失ってしまった。
また、涙がぼろぼろと溢れてきた。
「おい、泣くなよ……。オレがいるだろ。オレじゃ、お前の親友として不服か?」
ゆっくりと、首を横に振る。
「オレがいれば、すぐにお前を癒してくれる彼女もできるから、安心しろよ。そうしたら、寂しさなんて薄れるさ」
「そう……思うのか? 俺の好感度が、見えてるくせに」
「……なんで、それを……」
「君が借りていたマンションがある。俺と同じ大学へ行こうと思えば、君を知っている人がたくさんいる。君がどんなに否定しようと、君は確かに……この世界に存在したんだよ」
真山くんが黙り込んだ。そのままじっと何か考え込んで、ゆっくりと息を吐いた。
「嘘をついてるって感じじゃねえな」
「事実だよ。君のことならなんでも知ってる。この世界に傷を残せないこと。俺がハッピーエンドを迎えたら、俺を裏切って消えてしまうこと」
「……そこまで、わかってるのか」
「残酷だよ。親友だなんて、心の中に土足で入り込んできて、俺が……君のことを好きで好きで仕方なくなったら、何も言わずに、消えるなんて」
「冬夜……」
記憶のない彼に言っても仕方ないなんてわかってる。
でも……真山くんは、俺をぎゅっと抱きしめた。
「ごめんな。でも……オレにはどうすることもできない。今、こうしていても、そのうちまた消えちまう。そうしたらお前はまた、オレをインストールして……お前を知らないオレを創り出すのかな?」
つらいのは、俺だけじゃない。真山くんだって、きっと……悲しかったはずだ。
たとえ彼に記憶がないとしても、真山くんが目の前にいる事実がとても嬉しくて、だけど……とても寂しい。
このまま、再び一緒に過ごしたら、君はまた俺を好きになる? そして俺も、記憶のない彼を……好きに、なるのかな。
そうして……好きになったら、また消える。その繰り返し。
「君は、真山くんじゃない……」
「オレは、真山千里だ。それは間違いない事実だ」
「俺は、君にハッピーエンドは見せられない。でも、君とハッピーエンドを迎えるつもりもない。だから、消えるその時まで……俺の、親友でいてください」
真山くんは静かに、だけどしっかりと頷いた。
「わかった。オレは消えるその時まで、お前の親友でいるよ」
そして再び、親友のいる生活が幕を開けた。
「……ん」
ようやく泣きやんだ俺に、真山くんがほっとしたような表情を浮かべる。
「もしかしてオレ、お前の恋人だった奴に似てたとか?」
「うん……」
似ているっていうか……。
恋人だった相手が、記憶喪失になって目の前にいるって感じだ。
「そりゃつらいな。失恋の痛手を癒すには、新しい恋が一番だぞ」
ああ……また、この流れなんだ。
「彼女なら、いらないから。ハッピーエンドは必要ない」
「まあまあ、そう言うな。しかしまいったな。オレも画面から出てしまうのは想定外だ。とりあえず……」
「いいよ、親友になろうか?」
俺はそう言って手を差し出した。
真山くんは少し驚いた表情で、俺の手を握り返す。
「お、おう。なんか話が早いな……。さっきのも、オレが出てきて驚いたって感じじゃなかったし」
「まあね。それで、どうする? 俺はこのゲームをクリアするつもりなんてない。彼女候補なら、義理の妹、バイト先のマネージャー、ツンデレな幼なじみ、合コンで知り合った健気な美少女とよりどりみどりだけど」
「なっ……お前、結構充実した生活送ってんのな。おかしいな……じゃあオレ、なんで出てきたんだろう。なんか別に……オレ必要なさそうだし」
頭に、カッと血が上った。
「必要に……決まってるだろ!」
「冬夜?」
「俺には、何より君が必要なんだ。俺のこと……思い出してよ、頼むから」
「思い出すって、何をだ?」
「……君の記憶なら、そこにあるノートPCに入ってる」
俺は、ノートPCを立ち上げた。
けど……そこに、インストールしたはずのゲームデータは入っていなかった。
「なんの変哲もないパソコンに見えるけどな」
俺がCDを取り出したことで、データが消去された?
俺と真山くんを繋ぐ、唯一のデータが……。
目の前にいる彼は、彼じゃない。
自分で招いた結果なのに、真山くんを返してくれとなじってしまいそうだった。
おかしな話だよ。目の前にいるのだって、同じ真山くんなのに。
「オレには過去の記憶なんて存在しないぜ。書き込めないCDに、保存ができると思うのか?」
「そ、それは……」
プログラムの話が真山くんという存在に対して通用するかはわからない。けど、普通に考えれば……一度書き込まれたゲームCDに上書き保存をすることはできない。
俺は、自分の手で……真山くんとの唯一の記憶まで、失ってしまった。
また、涙がぼろぼろと溢れてきた。
「おい、泣くなよ……。オレがいるだろ。オレじゃ、お前の親友として不服か?」
ゆっくりと、首を横に振る。
「オレがいれば、すぐにお前を癒してくれる彼女もできるから、安心しろよ。そうしたら、寂しさなんて薄れるさ」
「そう……思うのか? 俺の好感度が、見えてるくせに」
「……なんで、それを……」
「君が借りていたマンションがある。俺と同じ大学へ行こうと思えば、君を知っている人がたくさんいる。君がどんなに否定しようと、君は確かに……この世界に存在したんだよ」
真山くんが黙り込んだ。そのままじっと何か考え込んで、ゆっくりと息を吐いた。
「嘘をついてるって感じじゃねえな」
「事実だよ。君のことならなんでも知ってる。この世界に傷を残せないこと。俺がハッピーエンドを迎えたら、俺を裏切って消えてしまうこと」
「……そこまで、わかってるのか」
「残酷だよ。親友だなんて、心の中に土足で入り込んできて、俺が……君のことを好きで好きで仕方なくなったら、何も言わずに、消えるなんて」
「冬夜……」
記憶のない彼に言っても仕方ないなんてわかってる。
でも……真山くんは、俺をぎゅっと抱きしめた。
「ごめんな。でも……オレにはどうすることもできない。今、こうしていても、そのうちまた消えちまう。そうしたらお前はまた、オレをインストールして……お前を知らないオレを創り出すのかな?」
つらいのは、俺だけじゃない。真山くんだって、きっと……悲しかったはずだ。
たとえ彼に記憶がないとしても、真山くんが目の前にいる事実がとても嬉しくて、だけど……とても寂しい。
このまま、再び一緒に過ごしたら、君はまた俺を好きになる? そして俺も、記憶のない彼を……好きに、なるのかな。
そうして……好きになったら、また消える。その繰り返し。
「君は、真山くんじゃない……」
「オレは、真山千里だ。それは間違いない事実だ」
「俺は、君にハッピーエンドは見せられない。でも、君とハッピーエンドを迎えるつもりもない。だから、消えるその時まで……俺の、親友でいてください」
真山くんは静かに、だけどしっかりと頷いた。
「わかった。オレは消えるその時まで、お前の親友でいるよ」
そして再び、親友のいる生活が幕を開けた。
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