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エクストラステージ
エイプリル
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※エイプリルフールネタ
※真山くん視点
エイプリルフール午前中。
「実はオレ、画面の中へ帰らなきゃいけなくなったんだ」
冬夜にそう言ってみた。もちろんシャレにならない冗談だってわかってるから、何か反応を返される前に、何かを考える隙がないくらい早く、なんちゃって、とつけて。
けど、冬夜は……無言で、オレを後ろのベッドへ押し倒して喉元に噛みついた。
「千里。君はその嘘だけは言っちゃダメだ」
「だ、だから嘘、だって……」
「それでも、言葉に出したら……ダメだから、絶対」
眼鏡の奥の瞳が滲むのが見える。舐めとってやりたくて眼鏡を外そうとした手を、頭の上でベッドへ縫い留められた。
「冬夜?」
「どこかへ行く隙がないほど、串刺しにしてあげる」
げっ……。目が据わってやがる。今の一瞬の泣きそうな瞳はどこへいった。
「や、待てよ、冬夜。こんなことしなくたって、オレ拒まないし」
ベルトで腕を縛り上げられて、みっともなく足を抱え上げられる。そのままずるずると、ズボンとパンツを脱がされた。
明るい部屋の中、下半身だけさらけ出されて奥まで見えるようなポーズを取らされるのは、想像以上にショックだった。
オレのほうが、泣きそう。
「見られてるだけで、ここ……反応してきた」
「っ……冬夜。や、やめ……」
指先だけでなぞられる。背筋をゾクゾクと快感がかけた。
見たくもないのに目に入るそれは、みっともなく勃ち上がりかけている。
「一瞬言われただけで、血の気が引く。君は俺がその言葉をどれだけ恐れているか、知らないんだ」
冬夜はそれから、オレに触れてこない。ただ、じっと見てる。少しずつ、少しずつ身体が反応をしていくのがわかる。
……っ。視線だけでイキそうとか、嘘だろ……。
「ごめん。ごめん……冬夜」
オレ、冬夜がどれだけ傷ついたか知っているはずなのに、どうしてこんな残酷な嘘がつけたんだろう。いくらエイプリルフールといったって。
嘘だってわかっていても、冬夜はオレからこの言葉を聞きたくなかったに違いないのに。
「反省した?」
「……ん」
「そんなふうにさ、ボロボロ泣くのも卑怯だ。可愛くって怒りが持続しないだろ」
軽い口調に戻った冬夜にホッとして、その背を抱こうとしたけどベルトで遮られていてできない。
「冬夜。反省したから、これ……外してくれよ。抱きしめたい」
「だめ。今日は俺だけ、君がここにいるってことをたっぷり確認するんだ」
冬夜の体温がオレの上に落ちてくる。
拘束をとかない本当の理由が、わかってしまった。
……いつもと同じ様子に見えるのに、冬夜の身体は震えてたから。
本当に失言だった。本当に……。
「来年は幸せな嘘にする」
「だから……別にエイプリルフールだからって、嘘をつかなくたって」
「再来年も、その次も、ずっとだ」
「……うん。そうだな。毎年……ずっと、幸せな嘘だけ、ついててくれよ」
オレはずっと、お前の傍にいるよ、冬夜。
残酷な嘘は、もうオシマイ。
だから早く眼鏡を外して、オレに深いキスをしろ。いつものように、愛してるって言葉つきで。
「冬夜……愛してる」
※真山くん視点
エイプリルフール午前中。
「実はオレ、画面の中へ帰らなきゃいけなくなったんだ」
冬夜にそう言ってみた。もちろんシャレにならない冗談だってわかってるから、何か反応を返される前に、何かを考える隙がないくらい早く、なんちゃって、とつけて。
けど、冬夜は……無言で、オレを後ろのベッドへ押し倒して喉元に噛みついた。
「千里。君はその嘘だけは言っちゃダメだ」
「だ、だから嘘、だって……」
「それでも、言葉に出したら……ダメだから、絶対」
眼鏡の奥の瞳が滲むのが見える。舐めとってやりたくて眼鏡を外そうとした手を、頭の上でベッドへ縫い留められた。
「冬夜?」
「どこかへ行く隙がないほど、串刺しにしてあげる」
げっ……。目が据わってやがる。今の一瞬の泣きそうな瞳はどこへいった。
「や、待てよ、冬夜。こんなことしなくたって、オレ拒まないし」
ベルトで腕を縛り上げられて、みっともなく足を抱え上げられる。そのままずるずると、ズボンとパンツを脱がされた。
明るい部屋の中、下半身だけさらけ出されて奥まで見えるようなポーズを取らされるのは、想像以上にショックだった。
オレのほうが、泣きそう。
「見られてるだけで、ここ……反応してきた」
「っ……冬夜。や、やめ……」
指先だけでなぞられる。背筋をゾクゾクと快感がかけた。
見たくもないのに目に入るそれは、みっともなく勃ち上がりかけている。
「一瞬言われただけで、血の気が引く。君は俺がその言葉をどれだけ恐れているか、知らないんだ」
冬夜はそれから、オレに触れてこない。ただ、じっと見てる。少しずつ、少しずつ身体が反応をしていくのがわかる。
……っ。視線だけでイキそうとか、嘘だろ……。
「ごめん。ごめん……冬夜」
オレ、冬夜がどれだけ傷ついたか知っているはずなのに、どうしてこんな残酷な嘘がつけたんだろう。いくらエイプリルフールといったって。
嘘だってわかっていても、冬夜はオレからこの言葉を聞きたくなかったに違いないのに。
「反省した?」
「……ん」
「そんなふうにさ、ボロボロ泣くのも卑怯だ。可愛くって怒りが持続しないだろ」
軽い口調に戻った冬夜にホッとして、その背を抱こうとしたけどベルトで遮られていてできない。
「冬夜。反省したから、これ……外してくれよ。抱きしめたい」
「だめ。今日は俺だけ、君がここにいるってことをたっぷり確認するんだ」
冬夜の体温がオレの上に落ちてくる。
拘束をとかない本当の理由が、わかってしまった。
……いつもと同じ様子に見えるのに、冬夜の身体は震えてたから。
本当に失言だった。本当に……。
「来年は幸せな嘘にする」
「だから……別にエイプリルフールだからって、嘘をつかなくたって」
「再来年も、その次も、ずっとだ」
「……うん。そうだな。毎年……ずっと、幸せな嘘だけ、ついててくれよ」
オレはずっと、お前の傍にいるよ、冬夜。
残酷な嘘は、もうオシマイ。
だから早く眼鏡を外して、オレに深いキスをしろ。いつものように、愛してるって言葉つきで。
「冬夜……愛してる」
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