イケメンと五月病

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その後の話

正月のリバ事情

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 泊まりがあれば、とりあえずは大体ヤッてる。俺から手を出したり、支倉から出してきたり、特に決まってる訳じゃない。
 なのになんだか気恥ずかしいのは今日が一年の初めで、その境目をこいつと一緒に過ごしているからだろうか。
 姫はじめ、ヤらないはずなんてないしな。
 
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
 
 支倉が俺の部屋、フローリングに正座で深々と挨拶。
 
「お前、割りときちっとしてるのな」
「付き合い始めて初めての正月だからな。まあ一応……」
「じゃ、俺も」
 
 俺も倣って同じことをした。真面目で、だけど空々しい、でも笑うこともできない、妙な雰囲気。
 
「えと、する……よな?」
 
 思わず訊くと、支倉がかあっと頬を染めた。
 
「改めて聞かれると妙な感じがする。いつもはするぞって襲い掛かってくるのに」
「お前こそ」
 
 膝を突き合わせたまま、二人して黙りこくってしまった。
 何今更恥ずかしがってんだ。いつものように手を出せばいいだけだろ。
 脱がせて足開かせて突っ込んで……。
 ああ、正月くらい、抱かせてやるべきか?
 むしろやりながら年越ししなかったのが意外すぎる。さっさと襲っておけば今こんな雰囲気にならなくて済んだものを。
 お互い何か気を張っていておかしな感じだった。
 
「あー、お前さ、抱く?」
 
 支倉を指してから、自分に指先を向けて尋ねる。
 なんだよ、お前、その……化け物でも見たような感じの顔はよ。
 
「正月なのに?」
「だからこそだろ。一年の初めくらい選ばせてやってもいいかなと思ってだな」
「今日以外は選ばせないような言い方をするなよ」
 
 身体は素直なのに、支倉が抱かれたいと自ら言い出すことはない。俺が抱きたいって言うから仕方なく抱かれてやるみたいなスタンスでいる。
 ここは、こう……支倉のほうから抱かれたいって言わせてやりたくなってきたぞ。
 
「で、どうするよ。抱きたい? 抱かれたい?」
「隆弘はどっちがいいんだ」
 
 せこい! 俺が言ったら、その通りにするつもりだな。
 だからって抱かれたいとかは、言えない。
 さっきは一瞬抱かれてやってもいいかって気にはなったが、もうお前の抱かれたいオーラにあてられて、すっかり抱きたいって気になってんだよ。
 言葉に出さずとも、お互いわかってる。
 俺は抱きたい。支倉は抱かれたい。そして相手にそれを言わせたい。
 抱かれたいと俺が言って意表をついてやりたい気もするが、それでその気になられても困る。
 
「質問に質問で返すな」
 
 支倉がつまる。一歩も引けない。
 俺たちは睨み合って、気付けばキスをして、そのまま何も言わずなだれこんでしまった。
 
 
 
 
 俺はいつも抱きたいって言って押し倒すんだから、たまには支倉も、抱かれたいって言ってくれてもいいのになあ。
 まあ、そこには譲れない男の矜持ってやつがあるのかもしんねーけど。
 年が明けて、結局抱いたのは俺のほう。言ってもらえなかったから、負けたって気がしなくもない。
 
「決めた。今年一年、全部俺が抱く側な。選ばせてやったのに答えないお前が悪い」
 
 支倉は抱かれるほうが好き。本人は認めないがこれは事実。
 でも、たまに俺を抱きたくなる時もあるらしい。これもまた、事実。
 だから意地悪で言ってやった、一年お前がネコ宣言。
 狡いって拗ねて唇を尖らせるか、慌てるか……。
 いろんな予想を裏切って、支倉はにっこり微笑んだ。
 
「お前がそれを望むなら、それで構わない。来年は抱かせてくれるんだろう?」
 
 俺は裸の支倉をぎゅっと抱きしめた。
 残念ながら今日のところは、俺の完敗。 
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