恋とかできるわけがない 〜ヲタクがJC拾ってもなにもできない件

茉莉 佳

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3rd stage

イケメンカリスマカメコは容赦ない

ぼくたちの会話に、ヨシキがいちいちチャチャを入れてきて、麗奈ちゃんはむくれっ面を向けた。
だけどそれは、ヨシキに対してほんとに、『怒ってる』って感じじゃなく、むしろ『かまってほしい』ってアピールしてる様にも見える。

そのあとも、ふたりのそういう光景は度々目にしたんだけど、麗奈ちゃんのヨシキに対する態度は、明らかにコミケの帰りに三人で呑んだ時と違ってた。
ヨシキの腕に軽く自分の手を絡ませ、『やだぁ』とか『うっそぉ~』とか、麗奈ちゃんはオーバーなリアクションを混ぜながら、ヤツに色っぽい視線を向けてる。
ヨシキの好みに合わせた服を着てきた事といい、こうやって『ぶりっこオーラ』を出す所といい、、、
女の子って、一度エッチしちゃうと、こんなにも態度がコロッと変わるものなのなんだなぁ。

アイドルみたいに可愛い麗奈ちゃんが、こんなにヨシキに媚びて、シッポ振ってるなんて…
やっぱり、ヨシキが羨ましいぞ!

なのに、ヨシキの方は麗奈ちゃんに対して、『自分の女』的なオーラを出す事もなく、エッチした事なんか忘れたみたいに、いつもと同じ様な態度で接してて、なんだか余裕さえ感じられる。
麗奈ちゃんみたいな素敵な女の子とエッチしても、コイツの『彼女作らない主義』は、変わらないのかなぁ。
ヨシキにとっては麗奈ちゃんも、ただの『セフレ』のひとりなんだろうか?

羨ましいのを通り越して、ヨシキには軽く殺意さえ感じてしまう。


 その日は合流後、速攻でカラオケ屋に入り、食事をしながらアニソンやボカロを中心にカラオケ三昧。
その合間に、ヨシキと麗奈ちゃんは、栞里ちゃんとぼくをおかずにして、盛り上がってた。
どうやらふたりの間では、栞里ちゃんは『家出少女』で、ぼくは単なる『宿主』、『泊め男』という設定ができあがったみたいだ。

「だけどミノル、気をつけた方がいいぞ。家出少女を泊めたのはいいけど、金目のものを盗られて逃げられたって話も、あるみたいだからな」
「あと、美人局つつもたせみたいなのもいるらしいよ」
「ミノルの住所はもう割れちゃってるから、逃げるに逃げられないしな」
「ヤバいよね~」
「そこまで悪質じゃないとしても、家族から捜索願とか出されてたら、未成年者略取で即タイーホだしな」
「逮捕~?! なんかすご~い! カッコいい~!」
「カッコよくなんかねえよ。ミノルの人生終了だよ」
「え~?! そのくらいで終了なんかしないわよ」
「だいたい未成年者とのエッチは、当事者同士の合意があっても、親がダメ出しすればアウトなんだよ。女の子の方に悪気がなくても、親から訴えられるって場合もあるし」
「じゃあ、悪質な親だったら、それをネタに脅されるかもしれないって事? 家出してまで逃げたくなる様な親でしょ? まともな人間じゃないわよ。絶対『モンペ』よ」
「ミノルって気が弱いから、いいカモにされるな」
「今だって『責任とってよ』なんて、中学生から脅されてるしね」

交互にそんな事を言い合って、不安を煽る。
二人とも、アドバイスしてるんだか脅してるんだかわからない。

なんだか、、、
モーレツに心配になってきた。

ご飯代とか置いてきたけど、栞里ちゃんはぼくの部屋で、おとなしくしてるだろうか?
それとも今頃は彼女の両親が、ぼくの帰りを待ち構えてるとか。
怖いお兄さんがいたりとか、、、
そんな事はないだろうと思いつつ、ふたりの言葉を聞いてると、その自信もぐらついてくる。

「とにかくその子には、早いとこ出てってもらった方がいいんじゃないか? あまり長く関わってると、ロクな事にならないぞ」

念を押す様に、ヨシキが言った。

「あ。ああ、、、 でも…」
「でも?」
「ヨシキの言う事はもっともだけど、ぼくには栞里ちゃんがそんなに悪い子には思えないんだよ。
そりゃ、ワガママで気まぐれな所はあるけど、昨日だって、ぼくのいない間に部屋を掻き回したりしてなかったし、コミケの売り上げも無事だったし、ぼくが渡したお金にさえ、手つけてないくらいだし」
「おお~。やっぱミノルは、女の見た目にコロっと騙されるもんだな」
「な、なんだと?」
「男を騙すときの手じゃん。しおらしく見せるのって。そうやって相手に『守ってあげたい』って惚れさせといて、喰らい尽くすんじゃん」
「ヨシキ、、、 おまえって女の子に対してめっちゃ偏見持ってるんだな。女好きのくせに」
「はは、、 童貞クンにはわからない、男女の機微ってやつよ」
「…」

くそう。
いちばん痛いとこ、突きやがって。


「まあ、そんなことはいいさ。
それで? 栞里ちゃんがもし、家でDVとか受けてて、それが辛くて家出したとしたら、おまえ、どうするんだ?」
「そんな悲惨な場所から逃げてきた女の子を、むざむざ帰せるわけないじゃないか」
「…じゃあミノル」

そう切り出して居住まいを正したヨシキは、珍しく真剣な眼差しで、まっすぐぼくを見つめて言った。

「おまえは栞里ちゃんの人生に、ほんとに責任とれるのか?」

つづく
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