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4th stage
ロリータファッションには目がない
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原宿駅で降りて竹下口を出れば、すぐに竹下通り。
一目その光景を見て、ぼくは足がすくんでしまった。
『ああ。異世界に転生したら、こんな感じなんだ、、、』
街行く若者はみなおしゃれで、ネルシャツをシャツインした男なんて、ひとりもいない。
中にはトンデモなく突飛な、切れたカッコしてる人もいたが、それも、原宿という異世界の雰囲気にはしっくりくる。
ここをいつものオタクファッションでうろつくのは、流行に疎いぼくでさえも、さすがに無理ゲーだ。
だけど、今日のぼくは違う。
ヨシキの的確なアドバイスで、栞里ちゃんにも『いいね』と言われたし、そんなにおしゃれなカッコではないとしても、竹下通りだってふつうに歩けるはず。
よし!
なんとかやれそうだ!
こんなぼくでもちょっぴり自信が出てきて、栞里ちゃんと店先に並んだ洋服を見るのも、だんだん楽しくなってきた。
「あっ。あれカワイイw」
『LIZ LISA』の店頭に飾られた服を指さして、栞里ちゃんは駆け寄った。
その様子がすっごく可愛い。
目をキラキラ輝かせ、フリルやレースのついた服を、嬉しそうに見つめる。
やっぱり女の子って、可愛い服を見るとテンションあがるんだな~。
出会ってからこっち、部屋の中でどんよりと暗~い栞里ちゃんの顔しか見た事なかったので、夏の日射しの様に明るい彼女の笑顔は、爽やかっていうか、、、
やっぱり魅力的で、心がなごむ。
そんな栞里ちゃんを見てると、ぼくも連られてウキウキした気持ちになってくるし、欲しがるものはみんな買ってあげたくなる。
彼女の好みは、女の子らしいデザインの明るい色の服。
フリルのついたピンクのスカートにカットソーや、夏っぽいキャミソールワンピ。
『今着てる服は汚れてるから、早く着替えたい』と栞里ちゃんが言うので、『LIZ LISA』で最初に気に入った服をすぐに買った。
「こんな感じだけど、似合ってる?」
試着室から出てきた栞里ちゃんは、自信なさげに訊いた。
ハイウエストで切り替えのある、ミニのフリルワンピース。
ピンク地にピクニックの模様がすごく似合ってて、可愛い!
「いいよ。すごくいい!」
「そ、そう?」
ぼくの言葉が、『信じられない』という風に、栞里ちゃんは頬をかすかに染める。
その姿がまた初々しくて可愛い。
女の子って、洋服ひとつで印象が変わるんだな。
結局、ヨシキの立てたプランはほとんど無視する事になったが、アドバイスどおりにぼくは、流れに任せていった。
いっしょにお店に入って、栞里ちゃんが気に入った服を、速攻で買ってあげる。
さすがに下着売り場には入れなかったけど、お昼ごはん前には栞里ちゃんは可愛いワンピース姿に変身していて、ぼくの腕には色とりどりのショッパーがぶら下がってた。
異世界にも慣れてきたところで、思い切って、一度は行ってみたいと思っていた有名ロリータショップ、『BABY,THE STARS SHINE BRIGHT』に行ってみる。
『ロリータファッション』というのを、一躍世に知らしめた某映画にも出てくるこの老舗のロリータブランドは、自分的に萌える服があったので、ぼくの方から『寄ってみよう』と提案したものだった。
「お兄ちゃん。こんなフリフリした服が好きなの?」
ショーウインドゥに飾られた中世のドレスみたいな豪華な服を見て、栞里ちゃんはちょっと戸惑う様に訊いた。
店内はまさに、フリルとレース、リボンの洪水!
異世界もここに極まれり!
心浮き立つパステルカラーのメルヘ~ンな装飾のなかに、これでもかと可愛いお洋服が溢れてて、奥から童話のプリンセスが出てきてもおかしくない感じだ。
戸惑いながらも、自分から行きたいと言った以上、ビビってるわけにはいかないぼくは、必死に強がってみた。
「あ、ああ。なかなか興味深いショップだろ。
栞里ちゃんに似合いそうだし、イラストの資料にもなるから、いいかなと思って」
「ふーん。でも、お兄ちゃん。こんなカッコした女の子といっしょに、外、歩ける?」
「う、うん、、、 多分、大丈夫だと、、、」
「やっぱりオタクの人って、ファッション感覚もどこか変わってるのかな~」
そう言いながらも、『不思議の国のアリス』が着てるドレスみたいな可愛い服に、栞里ちゃんもまんざらでもないらしく、嬉しそうに店内を見て回っていた。
ぼくも、トルソーにかかった裾の広がったスカートの端を、ちょっとだけ触ってみる。
思ったより滑らかで手に馴染む様な、いかにも高そうな生地の感触。
…なんて気持ちいいんだ。
美咲麗奈ちゃんが着ているようなロリータ服は、自分的に憧れだったけど、店に入ったり触ったりする機会も勇気もあるはずがなく、遠くから指をくわえて眺めてるだけだった。
なので、こうやって店内を見て回れる今の状況に、栞里ちゃん以上に舞い上がって、まるで羽が生えた様に、気持ちもフワフワしてる。
つづく
一目その光景を見て、ぼくは足がすくんでしまった。
『ああ。異世界に転生したら、こんな感じなんだ、、、』
街行く若者はみなおしゃれで、ネルシャツをシャツインした男なんて、ひとりもいない。
中にはトンデモなく突飛な、切れたカッコしてる人もいたが、それも、原宿という異世界の雰囲気にはしっくりくる。
ここをいつものオタクファッションでうろつくのは、流行に疎いぼくでさえも、さすがに無理ゲーだ。
だけど、今日のぼくは違う。
ヨシキの的確なアドバイスで、栞里ちゃんにも『いいね』と言われたし、そんなにおしゃれなカッコではないとしても、竹下通りだってふつうに歩けるはず。
よし!
なんとかやれそうだ!
こんなぼくでもちょっぴり自信が出てきて、栞里ちゃんと店先に並んだ洋服を見るのも、だんだん楽しくなってきた。
「あっ。あれカワイイw」
『LIZ LISA』の店頭に飾られた服を指さして、栞里ちゃんは駆け寄った。
その様子がすっごく可愛い。
目をキラキラ輝かせ、フリルやレースのついた服を、嬉しそうに見つめる。
やっぱり女の子って、可愛い服を見るとテンションあがるんだな~。
出会ってからこっち、部屋の中でどんよりと暗~い栞里ちゃんの顔しか見た事なかったので、夏の日射しの様に明るい彼女の笑顔は、爽やかっていうか、、、
やっぱり魅力的で、心がなごむ。
そんな栞里ちゃんを見てると、ぼくも連られてウキウキした気持ちになってくるし、欲しがるものはみんな買ってあげたくなる。
彼女の好みは、女の子らしいデザインの明るい色の服。
フリルのついたピンクのスカートにカットソーや、夏っぽいキャミソールワンピ。
『今着てる服は汚れてるから、早く着替えたい』と栞里ちゃんが言うので、『LIZ LISA』で最初に気に入った服をすぐに買った。
「こんな感じだけど、似合ってる?」
試着室から出てきた栞里ちゃんは、自信なさげに訊いた。
ハイウエストで切り替えのある、ミニのフリルワンピース。
ピンク地にピクニックの模様がすごく似合ってて、可愛い!
「いいよ。すごくいい!」
「そ、そう?」
ぼくの言葉が、『信じられない』という風に、栞里ちゃんは頬をかすかに染める。
その姿がまた初々しくて可愛い。
女の子って、洋服ひとつで印象が変わるんだな。
結局、ヨシキの立てたプランはほとんど無視する事になったが、アドバイスどおりにぼくは、流れに任せていった。
いっしょにお店に入って、栞里ちゃんが気に入った服を、速攻で買ってあげる。
さすがに下着売り場には入れなかったけど、お昼ごはん前には栞里ちゃんは可愛いワンピース姿に変身していて、ぼくの腕には色とりどりのショッパーがぶら下がってた。
異世界にも慣れてきたところで、思い切って、一度は行ってみたいと思っていた有名ロリータショップ、『BABY,THE STARS SHINE BRIGHT』に行ってみる。
『ロリータファッション』というのを、一躍世に知らしめた某映画にも出てくるこの老舗のロリータブランドは、自分的に萌える服があったので、ぼくの方から『寄ってみよう』と提案したものだった。
「お兄ちゃん。こんなフリフリした服が好きなの?」
ショーウインドゥに飾られた中世のドレスみたいな豪華な服を見て、栞里ちゃんはちょっと戸惑う様に訊いた。
店内はまさに、フリルとレース、リボンの洪水!
異世界もここに極まれり!
心浮き立つパステルカラーのメルヘ~ンな装飾のなかに、これでもかと可愛いお洋服が溢れてて、奥から童話のプリンセスが出てきてもおかしくない感じだ。
戸惑いながらも、自分から行きたいと言った以上、ビビってるわけにはいかないぼくは、必死に強がってみた。
「あ、ああ。なかなか興味深いショップだろ。
栞里ちゃんに似合いそうだし、イラストの資料にもなるから、いいかなと思って」
「ふーん。でも、お兄ちゃん。こんなカッコした女の子といっしょに、外、歩ける?」
「う、うん、、、 多分、大丈夫だと、、、」
「やっぱりオタクの人って、ファッション感覚もどこか変わってるのかな~」
そう言いながらも、『不思議の国のアリス』が着てるドレスみたいな可愛い服に、栞里ちゃんもまんざらでもないらしく、嬉しそうに店内を見て回っていた。
ぼくも、トルソーにかかった裾の広がったスカートの端を、ちょっとだけ触ってみる。
思ったより滑らかで手に馴染む様な、いかにも高そうな生地の感触。
…なんて気持ちいいんだ。
美咲麗奈ちゃんが着ているようなロリータ服は、自分的に憧れだったけど、店に入ったり触ったりする機会も勇気もあるはずがなく、遠くから指をくわえて眺めてるだけだった。
なので、こうやって店内を見て回れる今の状況に、栞里ちゃん以上に舞い上がって、まるで羽が生えた様に、気持ちもフワフワしてる。
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