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4th stage
ロリータ服の戦闘力は半端ない
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「いらっしゃいませぇ~」
『どうせ買わないんでしょ』
とでも言いたげな雰囲気を醸した、全身ロリータを纏ったマヌカンが、面倒くさそうに寄ってきた。
なんだか緊張。
ぼくのドキドキはピークに達する。
「こっ、これなんてどう?」
店に入ったときから目をつけてた、ひときわゴージャスで、白のレースとフリルの織りなすグラデーションが美しいワンピースを、ぼくは手にとって、栞里ちゃんに見せる。
というより、『冷やかしじゃないんだぞ』と店員にアピってる。
小心者の自分、、、orz
「かわいい♪」
ぼくの差し出した服に栞里ちゃんは反応し、笑顔を見せた。
渡した服をからだに当てて鏡を覗き込む彼女は、まさに真夏のアリス。
「試着されますかぁ?」
間の抜けた感じで、店員が訊いてくる。栞里ちゃんはチラとぼくの方を見た。
「お、お願いします」
思わず、代わりに答えてしまう。
マヌカンはちょっと失笑したが、『こちらです』と、栞里ちゃんを試着室に案内した。
「え~っ。超かわいい~っ!」
試着室から出てきた栞里ちゃんを見たマヌカンの発した言葉は、まさに真実の雄叫び(雌叫び?)だった。
真っ白なロリータ服姿で現れた栞里ちゃんは、純白の妖精とでもいうか、、、
ぼくの貧弱なボキャブラリーでは現せないほど、可愛くて清楚で、可憐の極み。
着慣れない豪華な衣装に戸惑う様に、栞里ちゃんはスカートの裾を気にして、恥ずかしそうにうつむく。そんな恥じらいが、またいいんだな~w
「パニエとかはくと、もっと裾が広がって可愛くなりますよ~。靴も似合うのありますよ♪」
浮かれた声で言いながら、マヌカンはいろんなアイテムを持ってくる。
ロリータ服は、まさに戦闘服だと実感。
アイテムをひとつ装備する度に、攻撃力(ロリータ度)が上がっていき、栞里ちゃんの戦闘力(魅力)も増していく。
結局、試着したロリータ服の他に、ボリュームたっぷりのパニエ、ヘッドドレス、チョーカー、いちご柄のバッグ、ニーハイソックス、厚底の靴と、装備一式買う事になった。
しめて101,960円。ちーん。
「こんなに買ってもらって。ほんとにいいんですか?」
ほくほく顔でぼくたちを見送るマヌカンを背に、栞里ちゃんは珍しく敬語で訊いてきた。
今日の予算は10諭吉だったが、このロリ服一式だけで予算オーバー。それは痛いが、嬉しそうに試着する彼女や、自分の憧れロリータ服を着た姿が見れるんだったら、そのくらい許せてしまう。
「大丈夫大丈夫」
「ありがとう… お兄ちゃん」
「い、いや、、、」
嬉しさを抑えた恥ずかしげな顔で『お兄ちゃん』とか言われると、やっぱり萌えてしまう。
「今度の日曜のイベントは、このカッコで行こうかな」
「えっ? ほんとにイベント来るの?」
「? そのために、服買いに来たんじゃないの?」
「あ。ああ…」
「ダメ?」
ぼくの顔をのぞき込み、不安そうに栞里ちゃんは訊いた。
そんな事ない!
むしろウエルカムだ!
「い、いや。いいよいいよ。すっ、すっごい楽しみだよ」
そう答えたぼくは、顔の崩れを抑える事ができなかった。
まさか、このぼくが女の子、、、
それも、とびきり美少女な14歳ロリータファッションの子を連れて、同人誌即売イベントに行く事になるとは。
ぼくのサークルスペースに座ってる栞里ちゃんを見たら、常連客も顔見知りのエロ絵師も、きっとビックリして腰抜かすに違いない。
一躍ぼくは、エロサークル島《しま》の勇者。
だれひとりとして手に入れられない伝説の女神様を、ぼくの守護神にしてしまってるんだから。
これぞリア充!
ビバ! 原宿!
前半の買い物に時間をとられ、手近なファミレスに昼食に入ったのは、もう2時になろうとしてる頃だった。
可愛い少女と、持ちきれないほどの買物袋を下げたオタク男子。
なんだか、シンデレラストーリーの映画みたいなシーン。
いや。今のぼくのカッコは、もうオタクじゃない。
ふつーにオサレ男子なのだ。
食事がファミレスってのがデートっぽくなくて残念だけど、フランス料理のレストランとかじゃ、ぼくもどう振る舞っていいかわからないし、まだ敷居は高すぎる。
それを予見してヨシキも、『ファミレスでいい』ってアドバイスくれたんだろうし、今日のところはこれでよしとしよう。(予算もオーバーしてるし)
栞里ちゃんとの会話にもだんだん慣れてきて、少しくらいの冗談なら言える様になってきたぼく。
憧れロリータ服も一式ゲットできたし、原宿の街にもだいぶ馴染んできて、テンションマックス絶好調。
その時だった。
ぼくのiPhoneから、着信音が流れてきた。
表示された着信元を見たぼくは、あまりのショックに、背筋に冷たい戦慄が走った。
つづく
『どうせ買わないんでしょ』
とでも言いたげな雰囲気を醸した、全身ロリータを纏ったマヌカンが、面倒くさそうに寄ってきた。
なんだか緊張。
ぼくのドキドキはピークに達する。
「こっ、これなんてどう?」
店に入ったときから目をつけてた、ひときわゴージャスで、白のレースとフリルの織りなすグラデーションが美しいワンピースを、ぼくは手にとって、栞里ちゃんに見せる。
というより、『冷やかしじゃないんだぞ』と店員にアピってる。
小心者の自分、、、orz
「かわいい♪」
ぼくの差し出した服に栞里ちゃんは反応し、笑顔を見せた。
渡した服をからだに当てて鏡を覗き込む彼女は、まさに真夏のアリス。
「試着されますかぁ?」
間の抜けた感じで、店員が訊いてくる。栞里ちゃんはチラとぼくの方を見た。
「お、お願いします」
思わず、代わりに答えてしまう。
マヌカンはちょっと失笑したが、『こちらです』と、栞里ちゃんを試着室に案内した。
「え~っ。超かわいい~っ!」
試着室から出てきた栞里ちゃんを見たマヌカンの発した言葉は、まさに真実の雄叫び(雌叫び?)だった。
真っ白なロリータ服姿で現れた栞里ちゃんは、純白の妖精とでもいうか、、、
ぼくの貧弱なボキャブラリーでは現せないほど、可愛くて清楚で、可憐の極み。
着慣れない豪華な衣装に戸惑う様に、栞里ちゃんはスカートの裾を気にして、恥ずかしそうにうつむく。そんな恥じらいが、またいいんだな~w
「パニエとかはくと、もっと裾が広がって可愛くなりますよ~。靴も似合うのありますよ♪」
浮かれた声で言いながら、マヌカンはいろんなアイテムを持ってくる。
ロリータ服は、まさに戦闘服だと実感。
アイテムをひとつ装備する度に、攻撃力(ロリータ度)が上がっていき、栞里ちゃんの戦闘力(魅力)も増していく。
結局、試着したロリータ服の他に、ボリュームたっぷりのパニエ、ヘッドドレス、チョーカー、いちご柄のバッグ、ニーハイソックス、厚底の靴と、装備一式買う事になった。
しめて101,960円。ちーん。
「こんなに買ってもらって。ほんとにいいんですか?」
ほくほく顔でぼくたちを見送るマヌカンを背に、栞里ちゃんは珍しく敬語で訊いてきた。
今日の予算は10諭吉だったが、このロリ服一式だけで予算オーバー。それは痛いが、嬉しそうに試着する彼女や、自分の憧れロリータ服を着た姿が見れるんだったら、そのくらい許せてしまう。
「大丈夫大丈夫」
「ありがとう… お兄ちゃん」
「い、いや、、、」
嬉しさを抑えた恥ずかしげな顔で『お兄ちゃん』とか言われると、やっぱり萌えてしまう。
「今度の日曜のイベントは、このカッコで行こうかな」
「えっ? ほんとにイベント来るの?」
「? そのために、服買いに来たんじゃないの?」
「あ。ああ…」
「ダメ?」
ぼくの顔をのぞき込み、不安そうに栞里ちゃんは訊いた。
そんな事ない!
むしろウエルカムだ!
「い、いや。いいよいいよ。すっ、すっごい楽しみだよ」
そう答えたぼくは、顔の崩れを抑える事ができなかった。
まさか、このぼくが女の子、、、
それも、とびきり美少女な14歳ロリータファッションの子を連れて、同人誌即売イベントに行く事になるとは。
ぼくのサークルスペースに座ってる栞里ちゃんを見たら、常連客も顔見知りのエロ絵師も、きっとビックリして腰抜かすに違いない。
一躍ぼくは、エロサークル島《しま》の勇者。
だれひとりとして手に入れられない伝説の女神様を、ぼくの守護神にしてしまってるんだから。
これぞリア充!
ビバ! 原宿!
前半の買い物に時間をとられ、手近なファミレスに昼食に入ったのは、もう2時になろうとしてる頃だった。
可愛い少女と、持ちきれないほどの買物袋を下げたオタク男子。
なんだか、シンデレラストーリーの映画みたいなシーン。
いや。今のぼくのカッコは、もうオタクじゃない。
ふつーにオサレ男子なのだ。
食事がファミレスってのがデートっぽくなくて残念だけど、フランス料理のレストランとかじゃ、ぼくもどう振る舞っていいかわからないし、まだ敷居は高すぎる。
それを予見してヨシキも、『ファミレスでいい』ってアドバイスくれたんだろうし、今日のところはこれでよしとしよう。(予算もオーバーしてるし)
栞里ちゃんとの会話にもだんだん慣れてきて、少しくらいの冗談なら言える様になってきたぼく。
憧れロリータ服も一式ゲットできたし、原宿の街にもだいぶ馴染んできて、テンションマックス絶好調。
その時だった。
ぼくのiPhoneから、着信音が流れてきた。
表示された着信元を見たぼくは、あまりのショックに、背筋に冷たい戦慄が走った。
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