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6th stage
もう二度と会えないかもしれない
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「昨日はゴメンね~、急におなか痛くなっちゃって、、、 電話も出れずにゴメン。病院行ってたから」
相変わらず、巨乳を強調する様なコスチュームだ。
襟ぐりが大きく開いて、ぴったりからだに貼りついたメイド風衣装を身に着けた美咲麗奈は、両手をテーブルについて少し前屈みになって話す。おかげで、胸の谷間がぼくの目の前にドンと迫ってくる。
思わず手が伸びて触りたくなる、真っ白なプルンプルンの盛り上がり。
呼吸のたびに、スライムの様にふるふると揺れるさまが、悩ましい。
こっ、これも、麗奈ちゃんの計算のうちなのか?
さっ、さすが、黒い!
「そ、そうだったんだ。ま、まあ、仕方ないよ、、、」
「え? 許してくれるの? ミノルくん優しい~。大好き♪」
、、、責められない。
罠だとわかっていても、この巨乳の前では、なにも言えなくなる。
あんな仕打ちをされたっていうのに、こうやって麗奈ちゃんと向き合うと、彼女の事、罵ったりできなくなってしまう。
お人好し過ぎる自分、、、
「なんだおまえら。すっかり仲いいな」
ヨシキがわざとらしく、横から口を出してきた。
「まあね。どこかの誰かさんと違って、ミノルくんって頼りがいあるし、優しいし。やっぱり女の子って、優しい男に弱いのよね」
「そうか~。でもミノルって、筋金入りのオタクだぞ。二次元にしか恋愛できないぞ」
「あたしだってオタクだもん。そんなの気にならないよ」
「童貞だぞ?」
「いろんな女と遊び散らかしてる男より、よっぽどいいよ」
「そっか~。ミノルがライバルか~。親友に寝取られるなんて、意外と萌えシチュエーションだよな」
「無理して余裕ぶらなくていいのに。どうせもう、手遅れだし」
「は、ははははは。。。。。」
、、、乾いた笑いしか出てこない。
昨夜の掲示板の麗奈ちゃんのカキコを知ってると、あまりの白々しい会話に、ドン引き。
しかしヨシキも、性格悪い。
昨夜の顛末を全部知ってるくせに、こうやってとぼけたフリしてるんだから。
いや。
これがヨシキの言う、『防御』なのかもしれない。
美咲麗奈からぼくを『防御』してくれてるのかも。
麗奈ちゃんの表の顔と裏の顔をぼくに見せる事で、彼女に対する気持ちを、醒めさせようとしてるのかもしれない。
これ以上麗奈ちゃんを想ってみても、振り回されて傷つけられるだけだと、自分でもわかる。
わかってるんだけど、『ミノルくん優しい~。大好きよ♪』と言う彼女の言葉を、ぼくは心のどこかで信じてて、昨日の続きを夢見てる。
あの巨乳にもう一度顔を埋め、昨日の続きをしてもらえる日が来るんじゃないかと、未練持ってる。
それもこれも、栞里ちゃんと別れて弱ってる自分の心に、麗奈ちゃんがタイミングよく潜り込んできたから。
ヨシキはそれを、断ち切ってやろうとしてるのかもしれない。
その時、視界の片隅の雑踏の中から、じっとこちらを見つめてる人影に気がついた。
何気なくそちらを見て、今度こそ、ぼくの心臓は止まった。
しっ、栞里ちゃん!?
ぼくは目を凝らす。
間違いない!
栞里ちゃんがそこにいて、こちらをじっと見つめてるのだ!
「しっ、栞里ちゃんっ!」
我を忘れて、ぼくは椅子から立ち上がり、大きな声で彼女を呼んだ。
ヨシキも麗奈ちゃんも、思わずぼくの視線の先を追う。
栞里ちゃんは一瞬戸惑った様だったが、目を逸らしてクルリと背を向けると、人ごみの中に紛れていった。
「追いかけろよ!」
呆然とその場に立ちすくんでたぼくは、ヨシキの一喝で我に返った。
そうだ。
これが最後のチャンスかもしれない!
今を逃したら、もう二度と栞里ちゃんに会えないかもしれない。
「すまんっ。ヨシキちょっと頼むっ」
そう言い残して、ぼくはサークルスペースを飛び出し、栞里ちゃんが消えていった方へ走っていった。
つづく
相変わらず、巨乳を強調する様なコスチュームだ。
襟ぐりが大きく開いて、ぴったりからだに貼りついたメイド風衣装を身に着けた美咲麗奈は、両手をテーブルについて少し前屈みになって話す。おかげで、胸の谷間がぼくの目の前にドンと迫ってくる。
思わず手が伸びて触りたくなる、真っ白なプルンプルンの盛り上がり。
呼吸のたびに、スライムの様にふるふると揺れるさまが、悩ましい。
こっ、これも、麗奈ちゃんの計算のうちなのか?
さっ、さすが、黒い!
「そ、そうだったんだ。ま、まあ、仕方ないよ、、、」
「え? 許してくれるの? ミノルくん優しい~。大好き♪」
、、、責められない。
罠だとわかっていても、この巨乳の前では、なにも言えなくなる。
あんな仕打ちをされたっていうのに、こうやって麗奈ちゃんと向き合うと、彼女の事、罵ったりできなくなってしまう。
お人好し過ぎる自分、、、
「なんだおまえら。すっかり仲いいな」
ヨシキがわざとらしく、横から口を出してきた。
「まあね。どこかの誰かさんと違って、ミノルくんって頼りがいあるし、優しいし。やっぱり女の子って、優しい男に弱いのよね」
「そうか~。でもミノルって、筋金入りのオタクだぞ。二次元にしか恋愛できないぞ」
「あたしだってオタクだもん。そんなの気にならないよ」
「童貞だぞ?」
「いろんな女と遊び散らかしてる男より、よっぽどいいよ」
「そっか~。ミノルがライバルか~。親友に寝取られるなんて、意外と萌えシチュエーションだよな」
「無理して余裕ぶらなくていいのに。どうせもう、手遅れだし」
「は、ははははは。。。。。」
、、、乾いた笑いしか出てこない。
昨夜の掲示板の麗奈ちゃんのカキコを知ってると、あまりの白々しい会話に、ドン引き。
しかしヨシキも、性格悪い。
昨夜の顛末を全部知ってるくせに、こうやってとぼけたフリしてるんだから。
いや。
これがヨシキの言う、『防御』なのかもしれない。
美咲麗奈からぼくを『防御』してくれてるのかも。
麗奈ちゃんの表の顔と裏の顔をぼくに見せる事で、彼女に対する気持ちを、醒めさせようとしてるのかもしれない。
これ以上麗奈ちゃんを想ってみても、振り回されて傷つけられるだけだと、自分でもわかる。
わかってるんだけど、『ミノルくん優しい~。大好きよ♪』と言う彼女の言葉を、ぼくは心のどこかで信じてて、昨日の続きを夢見てる。
あの巨乳にもう一度顔を埋め、昨日の続きをしてもらえる日が来るんじゃないかと、未練持ってる。
それもこれも、栞里ちゃんと別れて弱ってる自分の心に、麗奈ちゃんがタイミングよく潜り込んできたから。
ヨシキはそれを、断ち切ってやろうとしてるのかもしれない。
その時、視界の片隅の雑踏の中から、じっとこちらを見つめてる人影に気がついた。
何気なくそちらを見て、今度こそ、ぼくの心臓は止まった。
しっ、栞里ちゃん!?
ぼくは目を凝らす。
間違いない!
栞里ちゃんがそこにいて、こちらをじっと見つめてるのだ!
「しっ、栞里ちゃんっ!」
我を忘れて、ぼくは椅子から立ち上がり、大きな声で彼女を呼んだ。
ヨシキも麗奈ちゃんも、思わずぼくの視線の先を追う。
栞里ちゃんは一瞬戸惑った様だったが、目を逸らしてクルリと背を向けると、人ごみの中に紛れていった。
「追いかけろよ!」
呆然とその場に立ちすくんでたぼくは、ヨシキの一喝で我に返った。
そうだ。
これが最後のチャンスかもしれない!
今を逃したら、もう二度と栞里ちゃんに会えないかもしれない。
「すまんっ。ヨシキちょっと頼むっ」
そう言い残して、ぼくはサークルスペースを飛び出し、栞里ちゃんが消えていった方へ走っていった。
つづく
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