75 / 77
precious stage
フレンド切ることなんてできない
しおりを挟むprecious stage
“ピン”
長かったブログを読み終え、ベンチで仮眠をとってたぼくは、着信音で目が醒めた。
それは、栞里ちゃんのブログの更新を知らせる音だった。
反射的にスマホをタップする。
その記事はやっぱりフレンド限定だったけど、ぼくに向けてのものだった。
2012-08-21 05:35
☆おはよう
ブログ、読んだ?
ごめんね。
あたし、お兄ちゃんのイラストみたいな、
理想の女の子じゃなくて。
ドン引きだったでしょ。
嫌われて当たり前のことしかしてないよね。
怒った?
幻滅した?
でも、もし、
こんなあたしでもいいって言ってくれるなら、
これ以上嬉しい、幸せなことはないよ。
もし、これからも会ってもらえるなら、
いいね、押して。
別れるなら、フレンド切って。
ほんとはすっごい勇気いったんだ。
フレンド認証するの。
こんなあたしを見せるの、ほんとはイヤだった。
投げやりで、ビッチになった姿、
お兄ちゃんにだけは見せたくなかった。
でも、
これもやっぱり、あたしのしでかした事。
一生、後悔して背負っていく十字架。
あたしはもう、逃げない。
お兄ちゃんに、十字架背負わせるつもりもない。
例え、お兄ちゃんといっしょにいられなくなっても、
あたしはちゃんと生きてくから、
大丈夫だよ。
そうか、、、、、、
ぼくが逃げずに真正面から向かった様に、栞里ちゃんも逃げずに、この日記を公開してくれたんだ。
その気持ちが、嬉しい。
こんなヘタレでキモオタなぼくに、栞里ちゃんはまっすぐ向き合って、全部さらけだして、信じてくれる。
ベンチで不自然なカッコで寝てたせいで、体が痛い。
立ち上がって背伸びをして、ぼくは外に出た。
爽やかな朝の空気が、澱んだ頭をすっきりさせる。
ぼくは不意に、はじめて栞里ちゃんと迎えた、朝のベッドを思い出した。
陽に透けてキラキラと反射する、茶色の瞳。
まだ、なにか夢を見てるかの様に、目覚めたばかりの栞里ちゃんは、焦点の定まらない視線をこちらに向け、かすかに微笑んだ。
天使?
マジであのとき、そう感じた。
純粋で無垢な笑顔を、ぼくはその時、確かに彼女の中に見たのだ。
あの一瞬、垣間見せた微笑みこそ、栞里ちゃんの本当の素顔だと、ぼくは信じてる。
茜色の残る朝の空を見上げながら、ぼくは迷わず、『いいね』ボタンを押した。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる