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「これが女子のヒエラルキーというものですか」
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イベント会場から歩いていける距離にあるファミレスに、ヨシキさん一行はゾロゾロと入っていった。
応対に出てきたウエイトレスは、わたしたちを見て驚いたように目を見張る。
それはそうだろう。
明らかに、一般の人とは違う個性的で奇抜な格好の、それも美女ばかり(ひとり男がいるが)10数人もが、大きなキャリーバッグを転がして入ってきたのだから。
「11人で。空いてる?」
ヨシキさんが告げると、『すっ、すぐにお席をお作りいたします』とウエイトレスさんは慌てた様子で言って、奥のテーブルをふたつみっつ急いでくっつけて、わたしたちを案内してくた。
夕方の4時を少し回ったばかりでお客はまばらだったが、姦しい女性の団体が入ってきたおかげで、店内は随分賑やかになった。
近くのテーブルの家族連れが、興味深そうにわたしたちを眺めている。
はす向かいに座っている大学生風の男性グループは、あからさまに好奇の目線でジロジロとこちらを見ている。
これだけ派手な美人ぞろいだと、いやでも人目を集めてしまう。
気後れしたわたしは、遠慮がちにいちばん端の席に座り、アイスティを注文した。
ヨシキさんに誘われて喜んでついてきた桃李さんも、わたしのとなりで居心地が悪そうに、パフェを食べている。
アイスティを飲みながら、わたしは三つとなりの席のヨシキさんを、チラリと見た。
女の子同士で盛り上がっている所もあったが、会話の中心にはだいたいヨシキさんがいて、ほとんどの女の子の視線は彼の方を向いていた。
「ヨシキさんのサイトの『weekly gallery』見ましたよ! 今回もすっごいよかったです!」
「コスプレサイトも新作CGアップしてましたね。バックの凝り方とか世界観がすごくって、モデルさんが羨ましいです」
「廃墟にはやっぱり白ワンピが似合いますね~。あれはどこですか? あたしも行ってみたいです!」
「8月は恒例の水着まつりですね。今回モデルの百合花さん、すっごいスタイルよくて、感動しました!」
「え~? そんなことないですよぉ。わたしなんて…
前回の魔夢さんのギャラリーの方が大胆でエロ可愛くて、わたしもう、見とれてしまいましたもの」
「ううん。やっぱりヨシキさんの腕がいいからだよ~。ただのデブなあたしを、あんなに綺麗に撮ってもらえて」
「百合花さんはポージングもすごいですよね。さすが、コスプレ歴が長いだけのことはありますね。わたしじゃとても、あんな大胆なポーズはできません」
「あなたの場合、清楚系だから、セクシーじゃなくていいと思いますよ」
ん~…
なんだか、微妙。
こうやってみんなが褒め合い、なごやかに話しているように見えて、実はお互いが牽制しあっているように、わたしには聞こえてしまう。
褒め言葉の中に、さりげなく自己主張が込められているというか…
会話の裏に、女の戦いが透けて見える気がする。
わたしの受け取り方がひねくれているだけかなぁ?
そうやって、しばらくみんなの会話に耳を傾けているうちに、わたしはおもしろいというか、ちょっとした法則を発見してしまった。
つまり、綺麗な人ほど、ヨシキさんの近くに座っているのだ。
ヨシキさんの両隣に陣取っている百合花さんと魔夢さんは、今いる女の子たちのなかでもひときわ垢抜けて美しく、ゴシックロリータの服を纏ったフェロモン漂う百合花さんと、ロックっぽい格好をしたマニッシュっぽい魔夢さんは、雰囲気も対照的。
ふたりともヨシキさんとのつきあいも長そうで、かなり親しそうに話している。
会話のイニシアティブはほぼこのふたりが握っていて、ヨシキさんから遠くの女の子ほど、発言力が弱いみたい。
これが『女子社会のヒエラルキー』というものかも。
こうしてたくさんの女子が集まれば、自然と力関係や序列が発生して、席順が決まってしまうような雰囲気だから、新参者のわたしがいきなりヨシキさんの近くの席に座るなんて、できるわけがない。
つづく
応対に出てきたウエイトレスは、わたしたちを見て驚いたように目を見張る。
それはそうだろう。
明らかに、一般の人とは違う個性的で奇抜な格好の、それも美女ばかり(ひとり男がいるが)10数人もが、大きなキャリーバッグを転がして入ってきたのだから。
「11人で。空いてる?」
ヨシキさんが告げると、『すっ、すぐにお席をお作りいたします』とウエイトレスさんは慌てた様子で言って、奥のテーブルをふたつみっつ急いでくっつけて、わたしたちを案内してくた。
夕方の4時を少し回ったばかりでお客はまばらだったが、姦しい女性の団体が入ってきたおかげで、店内は随分賑やかになった。
近くのテーブルの家族連れが、興味深そうにわたしたちを眺めている。
はす向かいに座っている大学生風の男性グループは、あからさまに好奇の目線でジロジロとこちらを見ている。
これだけ派手な美人ぞろいだと、いやでも人目を集めてしまう。
気後れしたわたしは、遠慮がちにいちばん端の席に座り、アイスティを注文した。
ヨシキさんに誘われて喜んでついてきた桃李さんも、わたしのとなりで居心地が悪そうに、パフェを食べている。
アイスティを飲みながら、わたしは三つとなりの席のヨシキさんを、チラリと見た。
女の子同士で盛り上がっている所もあったが、会話の中心にはだいたいヨシキさんがいて、ほとんどの女の子の視線は彼の方を向いていた。
「ヨシキさんのサイトの『weekly gallery』見ましたよ! 今回もすっごいよかったです!」
「コスプレサイトも新作CGアップしてましたね。バックの凝り方とか世界観がすごくって、モデルさんが羨ましいです」
「廃墟にはやっぱり白ワンピが似合いますね~。あれはどこですか? あたしも行ってみたいです!」
「8月は恒例の水着まつりですね。今回モデルの百合花さん、すっごいスタイルよくて、感動しました!」
「え~? そんなことないですよぉ。わたしなんて…
前回の魔夢さんのギャラリーの方が大胆でエロ可愛くて、わたしもう、見とれてしまいましたもの」
「ううん。やっぱりヨシキさんの腕がいいからだよ~。ただのデブなあたしを、あんなに綺麗に撮ってもらえて」
「百合花さんはポージングもすごいですよね。さすが、コスプレ歴が長いだけのことはありますね。わたしじゃとても、あんな大胆なポーズはできません」
「あなたの場合、清楚系だから、セクシーじゃなくていいと思いますよ」
ん~…
なんだか、微妙。
こうやってみんなが褒め合い、なごやかに話しているように見えて、実はお互いが牽制しあっているように、わたしには聞こえてしまう。
褒め言葉の中に、さりげなく自己主張が込められているというか…
会話の裏に、女の戦いが透けて見える気がする。
わたしの受け取り方がひねくれているだけかなぁ?
そうやって、しばらくみんなの会話に耳を傾けているうちに、わたしはおもしろいというか、ちょっとした法則を発見してしまった。
つまり、綺麗な人ほど、ヨシキさんの近くに座っているのだ。
ヨシキさんの両隣に陣取っている百合花さんと魔夢さんは、今いる女の子たちのなかでもひときわ垢抜けて美しく、ゴシックロリータの服を纏ったフェロモン漂う百合花さんと、ロックっぽい格好をしたマニッシュっぽい魔夢さんは、雰囲気も対照的。
ふたりともヨシキさんとのつきあいも長そうで、かなり親しそうに話している。
会話のイニシアティブはほぼこのふたりが握っていて、ヨシキさんから遠くの女の子ほど、発言力が弱いみたい。
これが『女子社会のヒエラルキー』というものかも。
こうしてたくさんの女子が集まれば、自然と力関係や序列が発生して、席順が決まってしまうような雰囲気だから、新参者のわたしがいきなりヨシキさんの近くの席に座るなんて、できるわけがない。
つづく
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