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「はじめて経験する大人っぽいデートです」
その日はまず、都心の小さな遊園地に出かけた。
アトラクションで遊んではしゃぐというより、園内を散歩したリ、ホットドッグやアイスクリームを買ってふたりで食べたり。
この遊園地は幼い時から何度も遊びに来たことがあるけど、そのときはジェットコースターやメリーゴーランドみたいな遊具で遊ぶことが楽しかった。
だけど今、ただ賑やかな園内にヨシキさんといるだけで、ワクワクしてくる。
手をつないで歩いたり、ベンチに座って同じひとつのポップコーンを食べたり、そういうのが楽しい。
はじめて経験する、ちょっぴりおとなっぽいデート。
「そういえば、これが初めてのデートですね」
「そうだな。撮影の時はまだ、カレカノじゃなかったしな」
「なんだか、順番が違う気もします。ふつうはデートを何回かして、ああいうことになるんじゃないかと」
「あはは。ゴメンな、オレがせっかちなばかりに、乙女の夢を崩してしまって」
「いえ… わたしも。合意の上ですし」
「あ。そうだ」
なにか閃いたようにヨシキさんはわたしの手をとり、ショップに入る。
「恋人になった記念に、なにかプレゼントするよ。ペアのものがいいよな」
そう言いながら、ヨシキさんはリングなどを見て回る。
そのサプライズに、ドキドキしてしまう。
こういうところに、『恋人同士になったんだな』という実感が湧いてくる。
午後からは、ぐるりと首都高速で湾岸を半周したあと、東京湾アクアラインの真ん中にある『海ほたる』に寄り、そこで早めの夕食をとった。
四方を海に囲まれた小さな人工島から見る都会の景色は、また格別。
時間も忘れて、わたしたちはいろんなことを話した。
「凛子ちゃんはもう、夏休みの宿題は終わった?」
食後のアイスを食べながら、ヨシキさんは訊いてきた。
「だいたい終わりましたけど?」
「大学の夏休みは9月いっぱいまであるけど、凛子ちゃんの夏休みが終わる前に、ふたりでどこかバカンスにでも行けないかな?」
「えっ? 行きたいです♪」
「夏だし、海とかいいよな~。凛子ちゃん、泳ぐのは」
「好きです。これでも運動はけっこう得意です」
「そうか。じゃあ、海に決定な。行き先は考えとくから」
「バカンスなら、人の少ない綺麗な海に行きたいですね~。沖縄とかは無理ですか?」
「沖縄かぁ… さすがに遠いよな」
ヨシキさんは考えを巡らせているようだったが、思いついたように訊いてきた。
「凛子ちゃんはお泊まりできる?」
「お泊まり?」
「お薦めの綺麗な海があるんだ。ほら…」
そう言いながらスマホを取り出し、ヨシキさんはわたしに画像を見せる。
それは、綺麗に透きとおった海に、どこまでもまっすぐに伸びる橋がかかった、素敵な風景の画像だった。
まるで南の海のようなコバルトブルーが、とっても印象的。
「すごい! 綺麗です! これどこですか?」
「山口県」
「山口? まるで沖縄か、南の島みたいな海です!」
「そうだろ」
そう言いながらヨシキさんはiPhoneの画像をめくっていった。
真っ白な砂浜や海の画像が次々に現れる度に、わたしはため息をついた。
「うちのスタジオの社長が福岡出身で、ここはお気に入りの場所らしいんだ。
クルマのCM撮影の時にオレも連れて行ってもらったんだけど、こんなに綺麗なのに人も少なくて、穴場的ないい場所なんだよ。
近くのリゾートホテルは南欧っぽい作りでお洒落だし、お泊まりさえできるんだったら、ここに連れていってあげたいんだけどな」
つづく
アトラクションで遊んではしゃぐというより、園内を散歩したリ、ホットドッグやアイスクリームを買ってふたりで食べたり。
この遊園地は幼い時から何度も遊びに来たことがあるけど、そのときはジェットコースターやメリーゴーランドみたいな遊具で遊ぶことが楽しかった。
だけど今、ただ賑やかな園内にヨシキさんといるだけで、ワクワクしてくる。
手をつないで歩いたり、ベンチに座って同じひとつのポップコーンを食べたり、そういうのが楽しい。
はじめて経験する、ちょっぴりおとなっぽいデート。
「そういえば、これが初めてのデートですね」
「そうだな。撮影の時はまだ、カレカノじゃなかったしな」
「なんだか、順番が違う気もします。ふつうはデートを何回かして、ああいうことになるんじゃないかと」
「あはは。ゴメンな、オレがせっかちなばかりに、乙女の夢を崩してしまって」
「いえ… わたしも。合意の上ですし」
「あ。そうだ」
なにか閃いたようにヨシキさんはわたしの手をとり、ショップに入る。
「恋人になった記念に、なにかプレゼントするよ。ペアのものがいいよな」
そう言いながら、ヨシキさんはリングなどを見て回る。
そのサプライズに、ドキドキしてしまう。
こういうところに、『恋人同士になったんだな』という実感が湧いてくる。
午後からは、ぐるりと首都高速で湾岸を半周したあと、東京湾アクアラインの真ん中にある『海ほたる』に寄り、そこで早めの夕食をとった。
四方を海に囲まれた小さな人工島から見る都会の景色は、また格別。
時間も忘れて、わたしたちはいろんなことを話した。
「凛子ちゃんはもう、夏休みの宿題は終わった?」
食後のアイスを食べながら、ヨシキさんは訊いてきた。
「だいたい終わりましたけど?」
「大学の夏休みは9月いっぱいまであるけど、凛子ちゃんの夏休みが終わる前に、ふたりでどこかバカンスにでも行けないかな?」
「えっ? 行きたいです♪」
「夏だし、海とかいいよな~。凛子ちゃん、泳ぐのは」
「好きです。これでも運動はけっこう得意です」
「そうか。じゃあ、海に決定な。行き先は考えとくから」
「バカンスなら、人の少ない綺麗な海に行きたいですね~。沖縄とかは無理ですか?」
「沖縄かぁ… さすがに遠いよな」
ヨシキさんは考えを巡らせているようだったが、思いついたように訊いてきた。
「凛子ちゃんはお泊まりできる?」
「お泊まり?」
「お薦めの綺麗な海があるんだ。ほら…」
そう言いながらスマホを取り出し、ヨシキさんはわたしに画像を見せる。
それは、綺麗に透きとおった海に、どこまでもまっすぐに伸びる橋がかかった、素敵な風景の画像だった。
まるで南の海のようなコバルトブルーが、とっても印象的。
「すごい! 綺麗です! これどこですか?」
「山口県」
「山口? まるで沖縄か、南の島みたいな海です!」
「そうだろ」
そう言いながらヨシキさんはiPhoneの画像をめくっていった。
真っ白な砂浜や海の画像が次々に現れる度に、わたしはため息をついた。
「うちのスタジオの社長が福岡出身で、ここはお気に入りの場所らしいんだ。
クルマのCM撮影の時にオレも連れて行ってもらったんだけど、こんなに綺麗なのに人も少なくて、穴場的ないい場所なんだよ。
近くのリゾートホテルは南欧っぽい作りでお洒落だし、お泊まりさえできるんだったら、ここに連れていってあげたいんだけどな」
つづく
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