あいつに惚れるわけがない

茉莉 佳

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level 9

「あれってお互いの『愛の確認』だと思います」

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「なんだか… こんなことをしている自分が、信じられないというか…
今でもからだがムズムズしてしまって。ヨシキさんからも、『凛子ちゃんって大胆だね』なんて言われてしまって」
「そうか~。大胆なのか~、凛子ちゃんって。意外っていうか、やっぱりっていうか」
「あの… 変なこと訊いていいですか?」
「なに?」
「一晩に3回するのって、おかしいんでしょうか?」
「え~!! 処女なのにいきなり3回もっ?!」
「今日もドライブしたあとで、帰ってくる前にしてしまったし…」
「嘘でしょ~!」
「や、やっぱり変ですか?」
「変じゃないけど、すごいよね。ふたりともただ者じゃないわ」
「もしかしてわたしって、変態なんでしょうか?」
「そんなことないわよ。恋した女はみんな淫乱になるものよ」
「なんか、やだ」
「あのヨシキさんだったら、いろんなすごいこと、凛子ちゃんに仕込みそう」
「そっ、そんなにすごいことがあるんですか?」
「まぁね。最初のうちは毎回新鮮で、驚きの連続だから。楽しみにしててね♪」
「なんだかそれって、すごく不純な気がするんですけど。あの行為って、お互いの愛の確認だと思うんですけど…」
「うわ~。純愛ねぇ~。いいわ~」
「えっ? 違うんですか?」
「ふふ。だったら毎回、デートする度に、『愛の確認』すればいいじゃない」
「え~? それじゃあ優花さんと同じになるんですか?」
「な、なに言ってんのよ。あたしは…」
「いいんですよ、遠慮しなくても。いつでもうちに来て、兄の部屋で思いっきり声出してエッチして下さい。わたしはもう、ショック受けたりしませんから」
「んむむむ。凛子ちゃん、経験したとたん、強くなったみたい」
「そうなんですよ。わたしもなんだか、世界が変わったみたいで。恋って偉大ですね」
「そっか~」
「それで、あの… 実はまた、お願いがあるんですけど…」
「え? またアリバイ協力?」
「え。ええ…」
「まいったな、もう~。凛子ちゃんやり過ぎ」
「すみません」
「まあいいわ。で? 今度はどうするの?」
「来週一泊二日で、山口の海に行くんです」
「山口ぃ~?! そんな遠くまで行くの?」
「綺麗な海がいいって、わたしがリクエストしたから」
「そんなの、伊豆とか房総とかでいいじゃない」
「ええ。でも、ヨシキさんになにか、こだわりがあるみたいで」
「どんなこだわり?」
「わたしにもよくわからないんですけど…」

優花さんには迷惑をかけるのだから、きちんと説明しておかないといけない。
バカンスしようとヨシキさんが言い出したあとの、海ほたるでのなりゆきと、今日のうちに決まったことを、わたしは正直に話した。
『ふぅ』と、電話越しに、優花さんのため息が漏れてくる。

「なんか意外よね~。ヨシキさんってチャラくて軽くて、いろんな女の子と遊び倒してて。やることやっても責任持たないって感じだったんだけど」
「それはまあ、わたしも感じていましたけど… でも全然そんなことはないです。わたしに対しては」
「本気なのかもね。凛子ちゃんに」
「え?」
「凛子ちゃんって、幸せ者かもね。あのヨシキさんに、そこまでしてもらえるなんて」
「わたしもそう思います。幸せ過ぎて、逆になにか、落とし穴がないかって、不安になるんです」
「落とし穴かぁ。そう言えば、百合花と魔夢ってレイヤーには、気をつけた方がいいかもよ」
「え? 百合花さんと魔夢さん? どうしてですか?」

つづく
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