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「わたし、虐められるような玉じゃないですから」
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「昨日ファミレスで別れたあと、途中まで桃李さんと帰ったんだけど、彼女が言ってたの」
「なにをですか?」
「百合花さんと魔夢さんから、先々週のことをしつこく追求されたって」
「先々週?」
「大勢の取り巻きコスプレイヤーとアフターしたあと、凛子ちゃんと桃李さんと恋子さんとで、ヨシキさんとドライブしたんでしょ?」
「あ。はい」
「そのことを、ふたりが知ってたらしいのよ。
抜け駆けしたって、怒ってるらしいわ」
「別に、抜け駆けとかではなくて、偶然というか、成りゆきというか」
「どんないきさつでドライブすることになったのかって、ヨシキさんも問い詰められたって」
「…そんなこと、あのふたりには関係ないです」
「凛子ちゃんには関係ないだろうけど、あのふたりにとっちゃ、大きな関心ごとみたいよ。
百合花さんと魔夢さんって有名レイヤーで、結構人脈も発言力もあるらしいじゃない。凛子ちゃんが虐められるんじゃないかって、桃李さんが心配してて」
「大丈夫です。わたし、虐められるような玉じゃないですから」
「まあ、凛子ちゃんはそうだろうけど…」
「桃李さんにも、わたしが手を出させませんから」
きっぱり言い切ると、優花さんは少し口を噤み、躊躇うように切り出した。
「…それに、あまりこんなこと言いたくないんだけど… 凛子ちゃんはまだ高校生で未成年でしょ。男の人と外泊旅行なんて、ちょっとどうかと…」
「…」
「来年は大学受験だってあるんでしょ? あまり恋愛にばかり、かまけてない方がいいんじゃないの?」
「…優花さん。保護者みたいなこと、言うんですね」
「気に障ったらごめんね。でもあたしは、凛子ちゃんのためを思って言ってるのよ」
「心配して下さる気持ちは嬉しいです。だけど今はわたし、やりたいことをやりたいんです」
「ん~、、、 まあ、仕方ないか。恋する乙女にはなに言っても無駄だし、あたしも高校時代そうだったから、その気持ちはよくわかるしね。でも、無茶はしないでね」
「ありがとうございます。気をつけます」
携帯を切ったあと、わたしはベッドに横になって、天井を仰いだ。
「ふぅ、、、」
思わず、大きなため息が出る。
優花さんの心配もあたりまえだ。
言われるまでもなく、まだ高校生、未成年のわたしが、親に無断で男の人とふたりっきりで、リゾートホテルに泊まりに行くなんて、冷静になって考えると、あまりにも無茶過ぎる。
思えば昨日今日で、いろんなことがあり過ぎた。
百合花さんと魔夢さんかぁ…
そう言えば、昨日のイベントで挨拶したとき、ふたりともわたしのことを無視していた。
あのときはヨシキさんといっしょにいたけど、ドライブのことでなにか言いあっていたのかもしれない。
『オレの周りっていろいろウザい』
と、ヨシキさんも言っていたし。
昨日、ヨシキさんがイベント会場で話しかけてこなかったのも、これ以上わたしがゴタゴタに巻き込まれないよう、気を遣ってくれてのことかもしれない。
なんだか面倒臭い。
わたしは純粋にヨシキさんのことが好きなのに、それを邪魔する人たちがいる。
せっかく来週の旅行で気分が盛り上がっていたのに、水を差されたみたい。
…落ち込んでいても仕方ないか。
とりあえず宿題を終わらせて、旅行の準備をしなきゃ。
水着も買いに行かないといけないけど、また優花さんにつきあってもらうのも、なんだか気が引ける。
父と母にもなにか口実を作って、外泊の許可をもらわないといけないし。
「あ~。やらなきゃいけないこと、たくさんある!」
とりあえず手短なところから片づけよう。
『えいっ』っと気合いを入れてベッドから起き上がり、わたしは机に向かうと、やりかけの宿題を広げた。
つづく
「なにをですか?」
「百合花さんと魔夢さんから、先々週のことをしつこく追求されたって」
「先々週?」
「大勢の取り巻きコスプレイヤーとアフターしたあと、凛子ちゃんと桃李さんと恋子さんとで、ヨシキさんとドライブしたんでしょ?」
「あ。はい」
「そのことを、ふたりが知ってたらしいのよ。
抜け駆けしたって、怒ってるらしいわ」
「別に、抜け駆けとかではなくて、偶然というか、成りゆきというか」
「どんないきさつでドライブすることになったのかって、ヨシキさんも問い詰められたって」
「…そんなこと、あのふたりには関係ないです」
「凛子ちゃんには関係ないだろうけど、あのふたりにとっちゃ、大きな関心ごとみたいよ。
百合花さんと魔夢さんって有名レイヤーで、結構人脈も発言力もあるらしいじゃない。凛子ちゃんが虐められるんじゃないかって、桃李さんが心配してて」
「大丈夫です。わたし、虐められるような玉じゃないですから」
「まあ、凛子ちゃんはそうだろうけど…」
「桃李さんにも、わたしが手を出させませんから」
きっぱり言い切ると、優花さんは少し口を噤み、躊躇うように切り出した。
「…それに、あまりこんなこと言いたくないんだけど… 凛子ちゃんはまだ高校生で未成年でしょ。男の人と外泊旅行なんて、ちょっとどうかと…」
「…」
「来年は大学受験だってあるんでしょ? あまり恋愛にばかり、かまけてない方がいいんじゃないの?」
「…優花さん。保護者みたいなこと、言うんですね」
「気に障ったらごめんね。でもあたしは、凛子ちゃんのためを思って言ってるのよ」
「心配して下さる気持ちは嬉しいです。だけど今はわたし、やりたいことをやりたいんです」
「ん~、、、 まあ、仕方ないか。恋する乙女にはなに言っても無駄だし、あたしも高校時代そうだったから、その気持ちはよくわかるしね。でも、無茶はしないでね」
「ありがとうございます。気をつけます」
携帯を切ったあと、わたしはベッドに横になって、天井を仰いだ。
「ふぅ、、、」
思わず、大きなため息が出る。
優花さんの心配もあたりまえだ。
言われるまでもなく、まだ高校生、未成年のわたしが、親に無断で男の人とふたりっきりで、リゾートホテルに泊まりに行くなんて、冷静になって考えると、あまりにも無茶過ぎる。
思えば昨日今日で、いろんなことがあり過ぎた。
百合花さんと魔夢さんかぁ…
そう言えば、昨日のイベントで挨拶したとき、ふたりともわたしのことを無視していた。
あのときはヨシキさんといっしょにいたけど、ドライブのことでなにか言いあっていたのかもしれない。
『オレの周りっていろいろウザい』
と、ヨシキさんも言っていたし。
昨日、ヨシキさんがイベント会場で話しかけてこなかったのも、これ以上わたしがゴタゴタに巻き込まれないよう、気を遣ってくれてのことかもしれない。
なんだか面倒臭い。
わたしは純粋にヨシキさんのことが好きなのに、それを邪魔する人たちがいる。
せっかく来週の旅行で気分が盛り上がっていたのに、水を差されたみたい。
…落ち込んでいても仕方ないか。
とりあえず宿題を終わらせて、旅行の準備をしなきゃ。
水着も買いに行かないといけないけど、また優花さんにつきあってもらうのも、なんだか気が引ける。
父と母にもなにか口実を作って、外泊の許可をもらわないといけないし。
「あ~。やらなきゃいけないこと、たくさんある!」
とりあえず手短なところから片づけよう。
『えいっ』っと気合いを入れてベッドから起き上がり、わたしは机に向かうと、やりかけの宿題を広げた。
つづく
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