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「もっと大胆なポーズを求めてほしいです」
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大きなレンズ越しに、ヨシキさんがわたしを見つめる。
熱い視線を感じる。
暑く照りつけるまぶしい太陽の下で、胸や腰やお尻からつま先まで、全部さらけ出したはだかのわたしを、じっと見つめられる。
最初のうちは恥ずかしくて、緊張してしまったけど、それが次第に開放感へと変わっていく。
見られるのって、気持ちいい。
わたし、ヨシキさんに見られるのが、好き。
もっと見てほしい。
わたしのすべてを。
思いっきり手足を伸ばし、からだをひねり、ヨシキさんの求めるままに、わたしはポーズをとった。
シャッター音が機関銃のように唸り、その度にわたしはヨシキさんの視線に貫かれる。
どんな要求にも応えたい。
もっと大胆なポーズを求めてほしい。
もっと淫らにしてほしい。
夏の海は、女の子に大胆な魔法をかける。
でもこの魔法は、ヨシキさんだけが使える特別なものかもしれない。
夕陽が、海へと沈んでいく。
火照ったからだが鎮まるように、茜色の空が次第に濃い群青色に変わり、あたりは宵闇に包まれていった。
日没の海が見渡せるホテルレストランのテーブルについて、わたしたちはそんな光景を眺めていた。
「なにか飲む?」
「お任せします」
「じゃあ、シャンパンにしようか」
そう言ってヨシキさんは、ドリンクメニューを手にしたソムリエが薦めてくれた、ロゼのシャンパンを頼む。
ソムリエが行ったあと、ヨシキさんはお茶目な微笑みを浮かべて、こっそりと言った。
「凛子ちゃんはまだ高校生だから、お酒はヤバかったかな?」
「大丈夫です。きっと」
「いける口?」
「強いですよ。父や兄の晩酌に、つきあったりしていますから」
「へえ~。さすが薩摩おごじょ。鹿児島の人は酒が強いイメージあるよな。じゃあ、遠慮なく飲ませるか」
「気をつけてくださいね。ヨシキさんの方が先に潰れるかもしれませんから」
「お。言ってくれるな」
ヨシキさんは愉快そうに笑う。
細長いシャンパングラスに、淡いピンク色の液体が注がれ、小さな気泡がグラスのなかでゆらゆらと立ち上がり、はじけて消える。
「じゃあ。はじめての旅行の記念に」
そう言ってヨシキさんは、グラスを掲げる。
わたしも目の高さにグラスを掲げ、ヨシキさんの方に軽く傾けると、シャンパンにくちづけた。
フルーティな香りが鼻腔をくすぐり、芳醇な果実の実りが、舌の上で花開く。
シャンパンも美味しいけど、なにより、こんな素敵なリゾートホテルのレストランで、ヨシキさんと豪華な食事をしているという場面が、わたしを酔わせた。
テーブルの上には美味しいフランス料理が、次々と運ばれてきた。
伊勢エビのスープや、生ウニをクリームにからめたもの。
鯛のポアレは皮がサクサクしていて、身は引き締まって美味しいし、メインディッシュの牛ロースのソテーも、お肉の旨味が濃厚でやわらかく、焼き具合も絶妙。
はじめて連れていってもらったスペインレストランも美味しかったけど、このホテルの料理も、どれも新鮮であざやかで、とっても素晴らしい。
ヨシキさんは流暢に、フォークとナイフを使って食べている。
前から思っていたけど、食事をするときにもヨシキさんは、ピンと背筋を伸ばして食べる。そういう姿も品があって、いいなって思う。
「場慣れしているんですね。わたし、フレンチのフルコースとかあまり食べたことがないから、ちょっと緊張します」
「そう? それにしては優雅にナイフとフォーク使ってるけど。やっぱり島津のお姫様の、生まれながらの気品かな?」
「もうっ。そのネタで茶化さないで下さい」
「ははは」
シャンパングラスを掲げながら、ヨシキさんはわたしをやさしく見つめる。
どんなときにも余裕があって、なんでもこなせるヨシキさんは、やっぱり尊敬できるし、素敵。
つづく
熱い視線を感じる。
暑く照りつけるまぶしい太陽の下で、胸や腰やお尻からつま先まで、全部さらけ出したはだかのわたしを、じっと見つめられる。
最初のうちは恥ずかしくて、緊張してしまったけど、それが次第に開放感へと変わっていく。
見られるのって、気持ちいい。
わたし、ヨシキさんに見られるのが、好き。
もっと見てほしい。
わたしのすべてを。
思いっきり手足を伸ばし、からだをひねり、ヨシキさんの求めるままに、わたしはポーズをとった。
シャッター音が機関銃のように唸り、その度にわたしはヨシキさんの視線に貫かれる。
どんな要求にも応えたい。
もっと大胆なポーズを求めてほしい。
もっと淫らにしてほしい。
夏の海は、女の子に大胆な魔法をかける。
でもこの魔法は、ヨシキさんだけが使える特別なものかもしれない。
夕陽が、海へと沈んでいく。
火照ったからだが鎮まるように、茜色の空が次第に濃い群青色に変わり、あたりは宵闇に包まれていった。
日没の海が見渡せるホテルレストランのテーブルについて、わたしたちはそんな光景を眺めていた。
「なにか飲む?」
「お任せします」
「じゃあ、シャンパンにしようか」
そう言ってヨシキさんは、ドリンクメニューを手にしたソムリエが薦めてくれた、ロゼのシャンパンを頼む。
ソムリエが行ったあと、ヨシキさんはお茶目な微笑みを浮かべて、こっそりと言った。
「凛子ちゃんはまだ高校生だから、お酒はヤバかったかな?」
「大丈夫です。きっと」
「いける口?」
「強いですよ。父や兄の晩酌に、つきあったりしていますから」
「へえ~。さすが薩摩おごじょ。鹿児島の人は酒が強いイメージあるよな。じゃあ、遠慮なく飲ませるか」
「気をつけてくださいね。ヨシキさんの方が先に潰れるかもしれませんから」
「お。言ってくれるな」
ヨシキさんは愉快そうに笑う。
細長いシャンパングラスに、淡いピンク色の液体が注がれ、小さな気泡がグラスのなかでゆらゆらと立ち上がり、はじけて消える。
「じゃあ。はじめての旅行の記念に」
そう言ってヨシキさんは、グラスを掲げる。
わたしも目の高さにグラスを掲げ、ヨシキさんの方に軽く傾けると、シャンパンにくちづけた。
フルーティな香りが鼻腔をくすぐり、芳醇な果実の実りが、舌の上で花開く。
シャンパンも美味しいけど、なにより、こんな素敵なリゾートホテルのレストランで、ヨシキさんと豪華な食事をしているという場面が、わたしを酔わせた。
テーブルの上には美味しいフランス料理が、次々と運ばれてきた。
伊勢エビのスープや、生ウニをクリームにからめたもの。
鯛のポアレは皮がサクサクしていて、身は引き締まって美味しいし、メインディッシュの牛ロースのソテーも、お肉の旨味が濃厚でやわらかく、焼き具合も絶妙。
はじめて連れていってもらったスペインレストランも美味しかったけど、このホテルの料理も、どれも新鮮であざやかで、とっても素晴らしい。
ヨシキさんは流暢に、フォークとナイフを使って食べている。
前から思っていたけど、食事をするときにもヨシキさんは、ピンと背筋を伸ばして食べる。そういう姿も品があって、いいなって思う。
「場慣れしているんですね。わたし、フレンチのフルコースとかあまり食べたことがないから、ちょっと緊張します」
「そう? それにしては優雅にナイフとフォーク使ってるけど。やっぱり島津のお姫様の、生まれながらの気品かな?」
「もうっ。そのネタで茶化さないで下さい」
「ははは」
シャンパングラスを掲げながら、ヨシキさんはわたしをやさしく見つめる。
どんなときにも余裕があって、なんでもこなせるヨシキさんは、やっぱり尊敬できるし、素敵。
つづく
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