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level 12
「行動して『形』にしないとだれにも伝わりません」
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MODEL SIDE
level 12
『変わりたい。違う自分になりたい』
それが、わたしがコスプレをはじめたきっかけだった。
世の中には、ふた通りの人がいると思う。
行動する人。
行動しない人。
どんなに素晴らしいこと、凄いことを思いついても、実際に行動して『形』にしないと、だれにも伝わらない。
そして、アクションを起こすには、エネルギーと勇気がいる。
行動をはじめるのは面倒臭いし、失敗は怖い。
それを乗り越えるモチベーションとパワーがないと、動けない。
『『変身妄想』のコスプレイベントに参加する』
このたったひとつのアクションが、わたしをはるばる山口にまで導いてくれた気がする。
コスプレの仲間に出会え、ヨシキさんという素敵な恋人ができたのは、わたしが思い切って行動したからだ。
なにもしないで後悔するより、挑戦して後悔した方が、納得もいく。
そして今、わたしたちは新たな場面に進もうとしていた。
ヨシキさんの行動は速かった。
新学期がはじまって早々、『急で悪いけど、次の日曜日ならスタジオ空いてる。凛子ちゃんの予定はどう?』とメールが入ったのだ。
次の日曜日は予定はないけど、その次の連休には、桃李さんたちと『リア恋plus』合わせ撮影会を計画していたので、二週続けての撮影になる。
『リア恋plus』合わせ撮影会のカメラマンは、結局、ヨシキさんにお願いした。
話を持ちかけるとヨシキさんもやる気充分だったし、わたしをはじめとするレイヤーさん全員、カメラマンはヨシキさん以外は考えられないと言っている。
やっぱり、ヨシキさんの実力と信頼度は抜群だ。
そんな彼が、『モデルにならないか』と、誘ってくれて、こうして行動してくれている。
モデルになる、ならないはともかく、その期待に、できるなら応えたい。
「着いたよ。ここがオレの勤めてるスタジオだよ」
そう言いながらバッグからキーホルダーを取り出し、ヨシキさんはドアノブに鍵を差し込んだ。
小田急沿いに新宿から30分ほど走った郊外に、『KYStudio』と看板が出ている、そのスタジオはあった。
倉庫くらいの大きさの陸屋根の建物で、トラックも入れるほど大きな正面の入口は、ガレージのようにシャッターが下りている。
シャッター横の通用口みたいな小さなドアを開け、ヨシキさんは灯りのスイッチを入れる。
おそるおそる、わたしもドアをくぐった。
夏の暑さの残る野外から室内は隔てられ、ひんやりとした空気が流れている。
撮影スタジオってどんな所だろう?
好奇心から、わたしはあたりを見渡した。
入ってすぐは、学校の教室くらいもあるような、無彩色の広い空間。
正面の奥には、真っ白な漆喰の壁と床。
ここはメインスタジオだと、ヨシキさんが教えてくれた。
そこにはバカンスのときに見たような、三本脚のスタンドが何本も置いてあり、ストロボやアンブレラ、黒いテントみたいな撮影機材(バンクというらしい)が整然と並べてあって、床には黒々とした太いコード類が這っている。
それにしても、天井が高い。
おそらく6メートルくらいはあるだろうか。
天井には鉄パイプが縦横に張り巡らされ、所々にライトがぶら下がっている。
床から4メートルくらいの高さには、キャットウォークがスタジオの壁を囲むように走っていて、隅の螺旋階段からそこに上がれるようになっている。無骨だけどなかなかお洒落な作りだ。
メインスタジオのとなりは事務所らしく、10畳ほどの広さの部屋には、大きなパソコンとモニターが乗った机が並んでいる。
パーテーションで区切られた部屋の隅には、ソファとテーブルが備えられていて、壁際の食器棚にはコーヒーメーカーやマグカップ。テーブルにはおかしやマンガ本、空のペットボトルなんかが雑多に置かれていて、その空間だけ妙に生活感があった。
つづく
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『変わりたい。違う自分になりたい』
それが、わたしがコスプレをはじめたきっかけだった。
世の中には、ふた通りの人がいると思う。
行動する人。
行動しない人。
どんなに素晴らしいこと、凄いことを思いついても、実際に行動して『形』にしないと、だれにも伝わらない。
そして、アクションを起こすには、エネルギーと勇気がいる。
行動をはじめるのは面倒臭いし、失敗は怖い。
それを乗り越えるモチベーションとパワーがないと、動けない。
『『変身妄想』のコスプレイベントに参加する』
このたったひとつのアクションが、わたしをはるばる山口にまで導いてくれた気がする。
コスプレの仲間に出会え、ヨシキさんという素敵な恋人ができたのは、わたしが思い切って行動したからだ。
なにもしないで後悔するより、挑戦して後悔した方が、納得もいく。
そして今、わたしたちは新たな場面に進もうとしていた。
ヨシキさんの行動は速かった。
新学期がはじまって早々、『急で悪いけど、次の日曜日ならスタジオ空いてる。凛子ちゃんの予定はどう?』とメールが入ったのだ。
次の日曜日は予定はないけど、その次の連休には、桃李さんたちと『リア恋plus』合わせ撮影会を計画していたので、二週続けての撮影になる。
『リア恋plus』合わせ撮影会のカメラマンは、結局、ヨシキさんにお願いした。
話を持ちかけるとヨシキさんもやる気充分だったし、わたしをはじめとするレイヤーさん全員、カメラマンはヨシキさん以外は考えられないと言っている。
やっぱり、ヨシキさんの実力と信頼度は抜群だ。
そんな彼が、『モデルにならないか』と、誘ってくれて、こうして行動してくれている。
モデルになる、ならないはともかく、その期待に、できるなら応えたい。
「着いたよ。ここがオレの勤めてるスタジオだよ」
そう言いながらバッグからキーホルダーを取り出し、ヨシキさんはドアノブに鍵を差し込んだ。
小田急沿いに新宿から30分ほど走った郊外に、『KYStudio』と看板が出ている、そのスタジオはあった。
倉庫くらいの大きさの陸屋根の建物で、トラックも入れるほど大きな正面の入口は、ガレージのようにシャッターが下りている。
シャッター横の通用口みたいな小さなドアを開け、ヨシキさんは灯りのスイッチを入れる。
おそるおそる、わたしもドアをくぐった。
夏の暑さの残る野外から室内は隔てられ、ひんやりとした空気が流れている。
撮影スタジオってどんな所だろう?
好奇心から、わたしはあたりを見渡した。
入ってすぐは、学校の教室くらいもあるような、無彩色の広い空間。
正面の奥には、真っ白な漆喰の壁と床。
ここはメインスタジオだと、ヨシキさんが教えてくれた。
そこにはバカンスのときに見たような、三本脚のスタンドが何本も置いてあり、ストロボやアンブレラ、黒いテントみたいな撮影機材(バンクというらしい)が整然と並べてあって、床には黒々とした太いコード類が這っている。
それにしても、天井が高い。
おそらく6メートルくらいはあるだろうか。
天井には鉄パイプが縦横に張り巡らされ、所々にライトがぶら下がっている。
床から4メートルくらいの高さには、キャットウォークがスタジオの壁を囲むように走っていて、隅の螺旋階段からそこに上がれるようになっている。無骨だけどなかなかお洒落な作りだ。
メインスタジオのとなりは事務所らしく、10畳ほどの広さの部屋には、大きなパソコンとモニターが乗った机が並んでいる。
パーテーションで区切られた部屋の隅には、ソファとテーブルが備えられていて、壁際の食器棚にはコーヒーメーカーやマグカップ。テーブルにはおかしやマンガ本、空のペットボトルなんかが雑多に置かれていて、その空間だけ妙に生活感があった。
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