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「その脅しは、わたしを轟沈させるのに充分でした」
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「いったいどれだけの人に、あなたは迷惑をかけたと思っているの?」
「迷惑、、、」
「事務所の方も、モデルの件をわたしたちがなにも聞いていなかったと知って、驚いていたわ。
なによりあなたがお世話になっているという、森田美湖さん。
その人のことを、あなたはどう思っているの?」
「、、、尊敬しています。とても」
「その、尊敬している人のメンツを、あなたは潰してしまったのよ」
「みっこさんの?!」
「だってそうでしょ? あなたは森田さんをも騙していたんだから」
「…ぅ」
「森田さんは言っていたわ。モデルをやることについて、ご両親にちゃんと許可をもらっているか訊いたとき、『両親も賛成してくれています』って、あなた答えたそうじゃない」
「…」
「未成年者がモデルをするのには、保護者の承諾がいることもちゃんと説明して、あなたからは『大丈夫です』と言われていたので、心配していなかったとおっしゃっていたわ」
「…」
「言っておきますけど、こんなビジネスの契約に関わる重大なこと、あなたの口約束だけでは済ませられないのよ。
あなたの返事次第では、わたしたちはそのモデル事務所や森田さんを、法的に訴えることにもなるんですからね」
「そんな、横暴な!」
「横暴でもなんでもないわ」
「いいえ、勝手すぎるわよ! そんなことする権利、お母さまにないわよ!」
「権利ならあります!
「労働基準法の未成年者の扱いについて、親権者は雇用契約が本人に不利であると認め、その契約を解除することが未成年者の保護のために必要であると判断した場合は、本人の意思に反したとしても当該雇用契約を解除できる権利があるのです」
「…」
さすが、社会科の高校教諭。
反撃を試みたものの、法律を盾に、有無を言わさぬ口調で理論整然と話す母に、たちまち沈黙させられてしまう。
わたしが黙ったのに調子づいた母は、ダメ押しするように続けた。
「『恩を仇で返す』というのは、まさにあなたのことだわ。わたしが森田さんなら、こんな騙し方をしたあなたを許さないわね。絶対に。
彼女はトップモデルで一流女優。その世界への影響力も大きいというじゃない。
森田さんから嫌われたら、あなたみたいなひよっこはもう、モデルの世界では生きていけないでしょうね。一巻の終わりね」
「…」
その脅しは、わたしを轟沈させるに充分だった。
がっくりと肩を落とし、頭の中でわたしは母の言葉を反芻した。
『森田さんから嫌われたら、もう、モデルの世界では生きていけない』
自分の夢が断たれることも辛いけど、なによりみっこさんに申し訳ない。
みっこさんに迷惑かけた、、、
あんなにわたしによくして下さった彼女を、自分の莫迦さのせいで、わたしは窮地に追いやってしまったのだ。
あんなにわたしに期待して、よくして下さっていたのに、こんな形で裏切ることになるなんて、、、
自分のしでかしたことを、わたしは激しく後悔した。
しかし、とどめを刺すかのように、母の無慈悲な攻撃は続く。
「壬生芳貴さんとのおつきあいも、断って頂きます」
「えっ?」
壬生、、 ヨシキさんとのつきあいを断るって、、、?!
まさか、、、
つづく
「迷惑、、、」
「事務所の方も、モデルの件をわたしたちがなにも聞いていなかったと知って、驚いていたわ。
なによりあなたがお世話になっているという、森田美湖さん。
その人のことを、あなたはどう思っているの?」
「、、、尊敬しています。とても」
「その、尊敬している人のメンツを、あなたは潰してしまったのよ」
「みっこさんの?!」
「だってそうでしょ? あなたは森田さんをも騙していたんだから」
「…ぅ」
「森田さんは言っていたわ。モデルをやることについて、ご両親にちゃんと許可をもらっているか訊いたとき、『両親も賛成してくれています』って、あなた答えたそうじゃない」
「…」
「未成年者がモデルをするのには、保護者の承諾がいることもちゃんと説明して、あなたからは『大丈夫です』と言われていたので、心配していなかったとおっしゃっていたわ」
「…」
「言っておきますけど、こんなビジネスの契約に関わる重大なこと、あなたの口約束だけでは済ませられないのよ。
あなたの返事次第では、わたしたちはそのモデル事務所や森田さんを、法的に訴えることにもなるんですからね」
「そんな、横暴な!」
「横暴でもなんでもないわ」
「いいえ、勝手すぎるわよ! そんなことする権利、お母さまにないわよ!」
「権利ならあります!
「労働基準法の未成年者の扱いについて、親権者は雇用契約が本人に不利であると認め、その契約を解除することが未成年者の保護のために必要であると判断した場合は、本人の意思に反したとしても当該雇用契約を解除できる権利があるのです」
「…」
さすが、社会科の高校教諭。
反撃を試みたものの、法律を盾に、有無を言わさぬ口調で理論整然と話す母に、たちまち沈黙させられてしまう。
わたしが黙ったのに調子づいた母は、ダメ押しするように続けた。
「『恩を仇で返す』というのは、まさにあなたのことだわ。わたしが森田さんなら、こんな騙し方をしたあなたを許さないわね。絶対に。
彼女はトップモデルで一流女優。その世界への影響力も大きいというじゃない。
森田さんから嫌われたら、あなたみたいなひよっこはもう、モデルの世界では生きていけないでしょうね。一巻の終わりね」
「…」
その脅しは、わたしを轟沈させるに充分だった。
がっくりと肩を落とし、頭の中でわたしは母の言葉を反芻した。
『森田さんから嫌われたら、もう、モデルの世界では生きていけない』
自分の夢が断たれることも辛いけど、なによりみっこさんに申し訳ない。
みっこさんに迷惑かけた、、、
あんなにわたしによくして下さった彼女を、自分の莫迦さのせいで、わたしは窮地に追いやってしまったのだ。
あんなにわたしに期待して、よくして下さっていたのに、こんな形で裏切ることになるなんて、、、
自分のしでかしたことを、わたしは激しく後悔した。
しかし、とどめを刺すかのように、母の無慈悲な攻撃は続く。
「壬生芳貴さんとのおつきあいも、断って頂きます」
「えっ?」
壬生、、 ヨシキさんとのつきあいを断るって、、、?!
まさか、、、
つづく
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