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「相手がだれなのか、カノジョとして気になります」
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「凛子ちゃん。電話くれた?」
ヨシキさんからコールバックがあったのは、日付が変わってからだった。
「ええ、、、 でももう、いいんです」
「え? なんなの? 言ってよ」
「…」
しばしの沈黙のあと、わたしは切り出した。
「ブログで見ました。ヨシキさん。今日、初詣に行ったんですね」
「ああ。桃李ちゃんがヒマだっていうから、誘って明治神宮に行ったんだよ。
すっげー人が多くてさ、もうヘトヘトになっちゃって。
あんなにたくさんの参拝客がいると、神様もいちいち願い事聞いてられないよな」
「そうですか、、、」
ヨシキさんはあっさり、桃李さんと行ったことを白状した。
まったく悪びれもしていないところをみると、やましいことはないのかもしれない。
わたしの考え過ぎだったかな。
だけど、、、
「桃李さんとは、初詣だけですか?」
「いや。せっかく着物着てきてくれたからさ、ちょっと写真も撮ったよ。そのあと軽く食事して…」
そこまで言って、ヨシキさんは口を噤んだ。
「オレっていまだに、凛子ちゃんに疑われてるんだな」
「え?」
「だって、ちょっとSNSに『初詣に行った』って書いただけで、『だれと行ったか?』とか『初詣だけか?』とか、根掘り葉掘り詮索されて」
「詮索だなんて、大袈裟です」
「だってそうじゃん。いつもいつもこんな話題でケンカになる。もういい加減、うんざりなんだよ」
「うんざりだなんて、ひどいです!」
「ごめんな。でも、オレは束縛されるのがイヤなんだ。何度も言ったけど」
「わたしだって、別に束縛したいわけじゃないです。
でも、彼氏が自分以外の人と初詣に行ってたら、相手がだれなのか気になるのは、彼女として当たり前じゃないですか?
ヨシキさんの場合、男同士で初詣に行くなんて、まずありえませんから」
「凛子ちゃんだって、今日初詣に行っただろ。振袖着て。オレでさえ、凛子ちゃんの晴れ着姿は見てないのに」
「いっしょに行きませんかって、誘ったじゃないですか。今日の初詣は」
「みっこさんと行くんだろ? …だいいち、桃李ちゃんと約束してたし」
「そんなに、桃李さんとの約束が大事ですか?」
「向こうの方が先約だったし、当然だろ」
「でも、、、」
「オレは凛子ちゃんのことが一番好きなんだから、信用してろよ」
「、、わかりました。今回だけは見逃します。でも次から、わたし以外の女の人と出かけるときは、ちゃんと報告してください。別に『ダメ』とか言ったりしませんから」
「見逃す? えらく上から目線だな。
報告だなんて、そんな猫の首に鈴をつけられるような真似はされたくないんだよ。うっとおしい」
「うっとおしいってなんですか?!
わたしの気持ちも少しくらい考えてくれたらどうですか! もうすぐセンター試験で、今はセンシティブな時期なんですから、ヨシキさんももっと気を遣って下さい!」
「ああ、悪かったね」
「そんなの、謝ったうちに入らないです!!」
「ごめんな!」
「桃李さんが羨ましいです。振袖姿をヨシキさんに見てもらえて、ふたりっきりで初詣に行けて、写真まで撮ってもらえて…」
「今度、凛子ちゃんとも行こうな」
「なんか、、、 付け足しみたいで、やだ」
「…」
「わたしもいっしょに初詣行きたかったです。わたしとは家の近くの小さな神社だったのに、桃李さんは明治神宮で。どうして桃李さんと初詣なんかに行ったんですか?!」
「だから彼女、ヒマそうだったし」
「そんなに桃李さんがいいんですか?! わたしより」
「ああ。桃李ちゃんといると癒されるんだよ。センシティブなだれかさんと違って」
「それって、嫌みですか?!」
「そうだよ」
こうして今夜もふたり、ケンカモードに突入。
ふだんは仲がいいのに、最近はちょっとしたことで、すぐに険悪なムードになる。
お互い意地っ張りで負けず嫌いで、引くことを知らない者同士だから、いつまでたっても平行線で、口論が続く。
この夜も遅くまで電話口で罵り合い、ようやく矛を収めて電話を切っても、気分がむしゃくしゃして、そのあと勉強する気になんかなれない。
おかげで、予定していた勉強の計画は台無し。
焦る。
こんなことが続くようじゃ、大学合格なんておぼつかない。
なんとかしなきゃ!
つづく
ヨシキさんからコールバックがあったのは、日付が変わってからだった。
「ええ、、、 でももう、いいんです」
「え? なんなの? 言ってよ」
「…」
しばしの沈黙のあと、わたしは切り出した。
「ブログで見ました。ヨシキさん。今日、初詣に行ったんですね」
「ああ。桃李ちゃんがヒマだっていうから、誘って明治神宮に行ったんだよ。
すっげー人が多くてさ、もうヘトヘトになっちゃって。
あんなにたくさんの参拝客がいると、神様もいちいち願い事聞いてられないよな」
「そうですか、、、」
ヨシキさんはあっさり、桃李さんと行ったことを白状した。
まったく悪びれもしていないところをみると、やましいことはないのかもしれない。
わたしの考え過ぎだったかな。
だけど、、、
「桃李さんとは、初詣だけですか?」
「いや。せっかく着物着てきてくれたからさ、ちょっと写真も撮ったよ。そのあと軽く食事して…」
そこまで言って、ヨシキさんは口を噤んだ。
「オレっていまだに、凛子ちゃんに疑われてるんだな」
「え?」
「だって、ちょっとSNSに『初詣に行った』って書いただけで、『だれと行ったか?』とか『初詣だけか?』とか、根掘り葉掘り詮索されて」
「詮索だなんて、大袈裟です」
「だってそうじゃん。いつもいつもこんな話題でケンカになる。もういい加減、うんざりなんだよ」
「うんざりだなんて、ひどいです!」
「ごめんな。でも、オレは束縛されるのがイヤなんだ。何度も言ったけど」
「わたしだって、別に束縛したいわけじゃないです。
でも、彼氏が自分以外の人と初詣に行ってたら、相手がだれなのか気になるのは、彼女として当たり前じゃないですか?
ヨシキさんの場合、男同士で初詣に行くなんて、まずありえませんから」
「凛子ちゃんだって、今日初詣に行っただろ。振袖着て。オレでさえ、凛子ちゃんの晴れ着姿は見てないのに」
「いっしょに行きませんかって、誘ったじゃないですか。今日の初詣は」
「みっこさんと行くんだろ? …だいいち、桃李ちゃんと約束してたし」
「そんなに、桃李さんとの約束が大事ですか?」
「向こうの方が先約だったし、当然だろ」
「でも、、、」
「オレは凛子ちゃんのことが一番好きなんだから、信用してろよ」
「、、わかりました。今回だけは見逃します。でも次から、わたし以外の女の人と出かけるときは、ちゃんと報告してください。別に『ダメ』とか言ったりしませんから」
「見逃す? えらく上から目線だな。
報告だなんて、そんな猫の首に鈴をつけられるような真似はされたくないんだよ。うっとおしい」
「うっとおしいってなんですか?!
わたしの気持ちも少しくらい考えてくれたらどうですか! もうすぐセンター試験で、今はセンシティブな時期なんですから、ヨシキさんももっと気を遣って下さい!」
「ああ、悪かったね」
「そんなの、謝ったうちに入らないです!!」
「ごめんな!」
「桃李さんが羨ましいです。振袖姿をヨシキさんに見てもらえて、ふたりっきりで初詣に行けて、写真まで撮ってもらえて…」
「今度、凛子ちゃんとも行こうな」
「なんか、、、 付け足しみたいで、やだ」
「…」
「わたしもいっしょに初詣行きたかったです。わたしとは家の近くの小さな神社だったのに、桃李さんは明治神宮で。どうして桃李さんと初詣なんかに行ったんですか?!」
「だから彼女、ヒマそうだったし」
「そんなに桃李さんがいいんですか?! わたしより」
「ああ。桃李ちゃんといると癒されるんだよ。センシティブなだれかさんと違って」
「それって、嫌みですか?!」
「そうだよ」
こうして今夜もふたり、ケンカモードに突入。
ふだんは仲がいいのに、最近はちょっとしたことで、すぐに険悪なムードになる。
お互い意地っ張りで負けず嫌いで、引くことを知らない者同士だから、いつまでたっても平行線で、口論が続く。
この夜も遅くまで電話口で罵り合い、ようやく矛を収めて電話を切っても、気分がむしゃくしゃして、そのあと勉強する気になんかなれない。
おかげで、予定していた勉強の計画は台無し。
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こんなことが続くようじゃ、大学合格なんておぼつかない。
なんとかしなきゃ!
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