あいつに惚れるわけがない

茉莉 佳

文字の大きさ
224 / 259
level 24

「カレシを寝取られた女子高生に見えるんですね」

しおりを挟む
「そんなの、桃李さんに関係ないでしょっ!」
「は、はいっ。出過ぎたことを申しましたっ。ごめんなさいっ (((( ;°Д°))))」
「心配なんか、してもらわなくていいです!」
「ずっ、ずびばぜんっっ (((≧▽≦)))」
図星すぎて、思わず声を荒げる。
怯えるように、桃李さんは肩をすくめて目をつぶった。

「もういいです。帰ります! わたし、勉強しないといけないから!
これ、払っといて下さい!!」

チョコパの代金を無造作にテーブルの上に放り投げ、わたしは席を立った。
今にも大泣きしそうな桃李さんの顔から、ぷいと視線を逸らし、わたしは振り向きもせずに大股で歩き出す。

「信じられる? あんなブスにカレシ寝取られてるのよ、あの女子高生」
「すっごい美人なのにね~。よっぽど性格悪いんじゃない?」

カフェの扉を開ける瞬間、そんな会話が風に乗って耳に入ってきた。
カウンターの方に目をやると、さっきのチョコパフェを持ってきたウエイトレスが、同僚と内緒話をするように顔を寄せ合い、わたしの方を見てニヤニヤと笑ってる。
睨み返してやると、ふたりは慌てて視線を外した。
もう、このカフェには来れないわ。



ったく、、、
ムカつく!!

桃李も、ヨシキも、 ウエイトレスも、、、
みんな大っ嫌い!
ヨシキなんて、、、

究極にして至高、最愛のカノジョ?
はぁ?!
バカバカしい!

あんなヤツにこのわたしが、惚れるわけない!!



“ガタンガタンガタンガタン…”

 電車のドアに背中をもたれて、わたしはレールの振動に身を任せていた。
じっとうつむいて、カバンを持つ手元を見つめる。
さっきの桃李さんの告白を、わたしは何度も何度も反芻はんすうしていた。

『桃李さんに負けた』

その屈辱感が、最初はわたしを突き動かしていた。
だけど、怒りの炎が鎮まってくると、今度は悲しみと後悔がこみ上げてくる。

あんな風に言うつもりはなかったのに、、、

このひと月ほど、桃李さんの態度はあきらかにおかしかった。
なにかに悩んでいる様子だった。
今振り返れば、きっと、わたしとヨシキさんとの板挟みになって、ひとりで悩み、苦しんでいたのだろう。
思いあまって告白してきた桃李さんに、わたし、ひどいことしちゃった。
彼女の気持ち、わたしは全然考えていなかった。
いつだって優しく、親切にしてくれた彼女なのに。
わたしに打ち明けたことで、もっと罪の意識にさいなまれ、桃李さんはさらに苦しむだろう。
だけど今のわたしには、彼女の気持ちを思いやってやる余裕なんて、ない。
わたしはわたしで、いろいろいっぱいいっぱい。

いろんな思いがグルグルまわって、収拾がつかなくなっている。
携帯を手にしたわたしは、無意識のうちに、ヨシキさんへメールしていた。

『会いたい。今すぐ』

たったひとこと送信し、わたしはため息つくと、後悔を持て余すように、ストラップをつまんで携帯をブラブラと揺らした。

ヨシキさんに会ったところで、おそらくまたケンカになって、余計にムカつくだけ。
わたしは桃李さんみたいに、癒しの存在にはなれない。
ヨシキさんに会ったところで、解決はできない。
むしろ、悪化させるのがオチ。
そんなことは、あらかじめ予測できる。
最悪の結果になるだろうと。
でも、他に方法は思いつかない。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...