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「別れたあとでも友達でいられるのかもしれません」
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ええっ?!
それはヨシキさんだった。
白いレンズのついた大きな一眼レフを、肩から二台ぶらさげている。
「わぁ。来てくださってありがとう。今日はよろしくお願いします♪」
ヨシキさんの方を笑顔で振り向いた優花さんは、ペロリと舌を出した。
「あは。サプライズだった? 凛子ちゃんには」
「えっ、ええ」
「ゴメンね黙ってて。
結局ヨシキさんにカメラマン頼んじゃったのよ。やっぱ一世一代の晴れ舞台の写真を残すには、最高のカメラマンでなくっちゃと思って」
「おっ。光栄だな。オレの全身全霊でソリン、、 いや、優花さんのウエディングフォト撮り尽くしてやるぜ。期待してろよ」
「ヨシキさんよろしくね。あたしたちも可愛く撮ってね」
「あ、あの、、 ヨシキさん。わたしもよろしく、お願いします、です((((*´・ω・。)」
「…」
挨拶を交わす恋子さんと桃李さんだったが、突然のことにわたしはびっくりして、言葉が出ない。
まさか、こんなところで、ヨシキさんと再会するなんて。。。
「ふたりともよろしくな。
お! 凛子ちゃん、その白のドレスも可愛いじゃない。いつもよりいっそう清楚に見えるぜ。よろしくな」
動揺していたわたしに、ヨシキさんはつきあってたことなんてすっかり忘れたみたいに、ふつうに接してきた。
そんなところはちょっと口惜しかったけど、そういうヨシキさんの性格だから、他の元カノたちとも、別れたあとでも友達でいられるのかもしれない。
ヨシキさんの登場には戸惑ったものの、桃李さんや恋子さんといっしょに、優花さんの花嫁支度を手伝うのは、受験の気分転換にもなって、楽しかった。
なにより、一時はぎくしゃくしたみんなとの関係が、ひとつの目的に向かって、多くの困難を乗り越えながら、お互いに協力することで、修復されていく気がする。
まるで、コスプレをやっていた頃の、合わせの企画撮影みたい。
キャラの分担をしたり、ロケ場所を決めたり、撮影に合わせて衣装や小物を準備したり。
あの頃の、みんなでワイワイ騒ぎながら、なにかを作り上げようとしていた日々が、こうして優花さんの式の手伝いをしていると、自然とオーバーラップしてくる。
やっぱりいいな。
こういうのって。
優花さんの前撮りは3着。
真っ白なウェディングドレスとお色直しのカラードレス。
あと、本番では着ないけど、白無垢姿も写真で残しておくことになったらしい。
『結婚は家と家の結びつき』というが、うちは庶家とはいえ、島津家のはしくれ。
うちの両親は神前結婚式を強く望んでいたらしく、すったもんだの挙句、和装も着ることになったらしい。
兄の着る、丸に十文字の紋付羽織袴は、我が家に代々伝わるものらしい。ふだんは意識してないけど、『家』の重みは、こういうときに思い知らされる。
「優花さん、白無垢姿もすっごく似合ってますよ」
日本髪に角隠しをかぶり、鶴の刺繍をあつらえて金の扇子を持った白無垢姿の優花さんの艶姿に、わたしは感動して言った。
「そうでしょ。あんまり乗り気じゃなかったんだけど、和装も着るとテンション上がってきてさ。
やっぱ日本人の血かなぁ」
「そうですそうです (/д\*))((*/Д\)キャッ
なんてったって、島津家と大友家っていう、九州で覇を競ってきた、由緒ある名家同士の結びつきですよ °˖✧◝(・∀・)◜✧˖
昔年の怨讐を乗り越えて、今ここに、戦国時代から果たせなかった両家の和合が成し遂げられたのではないでしょうか!
千秋万歳! おめでたい限りですぅ☆(。・ω・。)ィェィ♪」
「あははは。確かに凛子ちゃん家は名家の流れを汲んでるけど、うちは違うから。桃李さん妄想しすぎ」
「てへっ。歴女の性ですぅ(*`・ωW)b」
いつもの桃李さん節も戻ってきて、前撮りは順調に進んでいった。
両家の両親を目の前にしても、ヨシキさんは臆するところもなく、テキパキと並び方やポーズの指示をして、着物の裾も整えていく。やっぱりこの人、写真を撮っているときがいちばんカッコいいかもしれない。
つづく
それはヨシキさんだった。
白いレンズのついた大きな一眼レフを、肩から二台ぶらさげている。
「わぁ。来てくださってありがとう。今日はよろしくお願いします♪」
ヨシキさんの方を笑顔で振り向いた優花さんは、ペロリと舌を出した。
「あは。サプライズだった? 凛子ちゃんには」
「えっ、ええ」
「ゴメンね黙ってて。
結局ヨシキさんにカメラマン頼んじゃったのよ。やっぱ一世一代の晴れ舞台の写真を残すには、最高のカメラマンでなくっちゃと思って」
「おっ。光栄だな。オレの全身全霊でソリン、、 いや、優花さんのウエディングフォト撮り尽くしてやるぜ。期待してろよ」
「ヨシキさんよろしくね。あたしたちも可愛く撮ってね」
「あ、あの、、 ヨシキさん。わたしもよろしく、お願いします、です((((*´・ω・。)」
「…」
挨拶を交わす恋子さんと桃李さんだったが、突然のことにわたしはびっくりして、言葉が出ない。
まさか、こんなところで、ヨシキさんと再会するなんて。。。
「ふたりともよろしくな。
お! 凛子ちゃん、その白のドレスも可愛いじゃない。いつもよりいっそう清楚に見えるぜ。よろしくな」
動揺していたわたしに、ヨシキさんはつきあってたことなんてすっかり忘れたみたいに、ふつうに接してきた。
そんなところはちょっと口惜しかったけど、そういうヨシキさんの性格だから、他の元カノたちとも、別れたあとでも友達でいられるのかもしれない。
ヨシキさんの登場には戸惑ったものの、桃李さんや恋子さんといっしょに、優花さんの花嫁支度を手伝うのは、受験の気分転換にもなって、楽しかった。
なにより、一時はぎくしゃくしたみんなとの関係が、ひとつの目的に向かって、多くの困難を乗り越えながら、お互いに協力することで、修復されていく気がする。
まるで、コスプレをやっていた頃の、合わせの企画撮影みたい。
キャラの分担をしたり、ロケ場所を決めたり、撮影に合わせて衣装や小物を準備したり。
あの頃の、みんなでワイワイ騒ぎながら、なにかを作り上げようとしていた日々が、こうして優花さんの式の手伝いをしていると、自然とオーバーラップしてくる。
やっぱりいいな。
こういうのって。
優花さんの前撮りは3着。
真っ白なウェディングドレスとお色直しのカラードレス。
あと、本番では着ないけど、白無垢姿も写真で残しておくことになったらしい。
『結婚は家と家の結びつき』というが、うちは庶家とはいえ、島津家のはしくれ。
うちの両親は神前結婚式を強く望んでいたらしく、すったもんだの挙句、和装も着ることになったらしい。
兄の着る、丸に十文字の紋付羽織袴は、我が家に代々伝わるものらしい。ふだんは意識してないけど、『家』の重みは、こういうときに思い知らされる。
「優花さん、白無垢姿もすっごく似合ってますよ」
日本髪に角隠しをかぶり、鶴の刺繍をあつらえて金の扇子を持った白無垢姿の優花さんの艶姿に、わたしは感動して言った。
「そうでしょ。あんまり乗り気じゃなかったんだけど、和装も着るとテンション上がってきてさ。
やっぱ日本人の血かなぁ」
「そうですそうです (/д\*))((*/Д\)キャッ
なんてったって、島津家と大友家っていう、九州で覇を競ってきた、由緒ある名家同士の結びつきですよ °˖✧◝(・∀・)◜✧˖
昔年の怨讐を乗り越えて、今ここに、戦国時代から果たせなかった両家の和合が成し遂げられたのではないでしょうか!
千秋万歳! おめでたい限りですぅ☆(。・ω・。)ィェィ♪」
「あははは。確かに凛子ちゃん家は名家の流れを汲んでるけど、うちは違うから。桃李さん妄想しすぎ」
「てへっ。歴女の性ですぅ(*`・ωW)b」
いつもの桃李さん節も戻ってきて、前撮りは順調に進んでいった。
両家の両親を目の前にしても、ヨシキさんは臆するところもなく、テキパキと並び方やポーズの指示をして、着物の裾も整えていく。やっぱりこの人、写真を撮っているときがいちばんカッコいいかもしれない。
つづく
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