友達のはずなのに

真城詩

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友達のはずなのに

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親友の家に入ってから数時間、異変は起こっていた。出されたジュースを飲んだとたん、体に力が入らなくなったばかりか、快感を求めるように熱くなってきていたのである。そのジュースを出した当の親友はトイレに行くと言ったきり、戻ってこない。高校生である彼は、今すぐに己の性器を扱き上げたい衝動に駆られていた。しかし、体に力は入らない。すでに倒れてしまっている状況である。
人の家で性器を触るなんて言語道断、だが彼はそんなことはどうでもいいくらいに快感への欲望を抑えられなくなっていた。少しだけでもと手を動かそうとしても、それはどうしても動いてくれず、躰は熱くなっていくばかりである。とうとう彼は耐えられなくなって、親友を呼ぶ。幸いにして、口及び声帯は通常通りに動いた。
「なあ……分かってるんだろ、早く来いよぉっ、こんなことして、何がしたいんだよっ」
しかしながら彼の声は部屋に空しく響くだけであり、だれも部屋に来る気配はなかった。それもそのはず、彼の親友はモニターで彼の様子を見ていた。全ては周到に準備された事態だったのである。

親友は彼に昔いじめられていた子供であり、偶然高校が一緒になったのを、そして彼が己をいじめた事実を全く覚えていないのをいいことに、復讐を図っていたのであった。親友の目的は彼を屈辱の底に叩き落すこと、そして彼のプライドをへし折り、男としての尊厳を奪いつくすことである。そのための第一段階がこれだった。助けを呼ばせること、しかも性的なことで、だ。それはもう少しで達成されそうだった。

「なあっ、おねがいだからぁ、きてくれよお、もっもう、おれ、がまんできないぃ」
助けを呼んでも、だれも来ない。もう彼は限界だった。
「おねがいですぅ、ちっちんぽ、もうげんかいだから、さわってくださいぃ、あたま、おかしくなりそぉ……」
快楽への衝動がどんどん彼の思考を奪ってゆく。ここがどこか、自分が助けを求めている相手は誰なのか、すべてがわからなくなってくる。彼の男性器はもう張りつめていて、それでもズボンから出してやることすらできない。
「はっはやくっ、ちんぽっだれかぁ、さわってぇ……ちんぽ、おかしくなるぅぅ」
いくら呼んでも誰も来ない。

モニターを見ている男はかつてのいじめっ子の無様な痴態を見て笑った。今の彼は圧倒的に自分より下だ。見下せる。その喜びで頭が沸騰しそうだ。部屋にいる彼が助けを求めるたび、その助けを求める声が艶っぽくなり、言葉が淫らになっていくたびに彼の親友であった男は笑っていた。
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