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その頃、宮廷の一角では。
エリザが書斎で古い羊皮紙を広げていた。
ランプの明かりの下、家系図が複雑な線で結ばれている。
黄ばんだ紙の端は、すでにほつれかけていた。
「ロゼウス家......古代治癒師ルシエラの末裔」
指先で、セシリアの名前をなぞる。爪が紙を引っ掻く音がした。
「あの娘が、もし力に目覚めたら」
エリザの顔に、歪んだ笑みが浮かんだ。口角が不自然に吊り上がり、目が細くなる。
「でも大丈夫。封印の薬は完璧。あの娘が真の力を使うことは、永遠にない」
羊皮紙を引き出しにしまい、鍵をかける。金属が擦れる音が、静かな部屋に響いた。
部屋を出ると、廊下で男性が待っていた。影の中に立つ姿は、彫像のように動かない。
「グスタフ様」
「どうだ、例の娘は」
財務大臣グスタフ・フォン・バルトハイムが、低い声で尋ねた。太った体躯を黒いマントで包んでいる。
「問題ありません。完全に封じられています」
エリザは恭しく頭を下げた。
「よろしい。計画は順調に進んでいる。もうすぐ、この国は我々のものだ」
グスタフは満足げに頷き、脂ぎった顔に笑みを浮かべた。
「第二王子殿下を、王座に」
「そうだ。そのためには、第一王子を失脚させなければならない。そして......」
グスタフは窓の外、王都の夜景を見下ろした。無数の灯りが、暗闇の中で瞬いている。
「アレはすぐ始まる」
それから二週間後。
王都で、奇妙な病が流行し始めた。
最初は下町の住民が数人、高熱と咳で倒れた。すぐに治ると思われていたが、患者は増え続けた。貴族街にも広がり、宮廷内でも感染者が出始めた。
「原因不明の疫病だ!」
「薬師たちは何をしている!」
民衆は混乱し、宮廷は対応に追われた。
薬師棟は不眠不休の戦場と化した。
エリザが書斎で古い羊皮紙を広げていた。
ランプの明かりの下、家系図が複雑な線で結ばれている。
黄ばんだ紙の端は、すでにほつれかけていた。
「ロゼウス家......古代治癒師ルシエラの末裔」
指先で、セシリアの名前をなぞる。爪が紙を引っ掻く音がした。
「あの娘が、もし力に目覚めたら」
エリザの顔に、歪んだ笑みが浮かんだ。口角が不自然に吊り上がり、目が細くなる。
「でも大丈夫。封印の薬は完璧。あの娘が真の力を使うことは、永遠にない」
羊皮紙を引き出しにしまい、鍵をかける。金属が擦れる音が、静かな部屋に響いた。
部屋を出ると、廊下で男性が待っていた。影の中に立つ姿は、彫像のように動かない。
「グスタフ様」
「どうだ、例の娘は」
財務大臣グスタフ・フォン・バルトハイムが、低い声で尋ねた。太った体躯を黒いマントで包んでいる。
「問題ありません。完全に封じられています」
エリザは恭しく頭を下げた。
「よろしい。計画は順調に進んでいる。もうすぐ、この国は我々のものだ」
グスタフは満足げに頷き、脂ぎった顔に笑みを浮かべた。
「第二王子殿下を、王座に」
「そうだ。そのためには、第一王子を失脚させなければならない。そして......」
グスタフは窓の外、王都の夜景を見下ろした。無数の灯りが、暗闇の中で瞬いている。
「アレはすぐ始まる」
それから二週間後。
王都で、奇妙な病が流行し始めた。
最初は下町の住民が数人、高熱と咳で倒れた。すぐに治ると思われていたが、患者は増え続けた。貴族街にも広がり、宮廷内でも感染者が出始めた。
「原因不明の疫病だ!」
「薬師たちは何をしている!」
民衆は混乱し、宮廷は対応に追われた。
薬師棟は不眠不休の戦場と化した。
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