はりぼてスケバン

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扉が再度、乱暴に開かれる。
そして、ゾロゾロと店内に入って来る者達。
皆黒龍高校の制服を着ている。
しかし、それも辛うじて分かるようなものだ。

着崩し、改造され、原型がほとんど残っていないような奇抜なものばかり。
そして、髪色や髪型も派手なものばかりであった。

「シバマルー！居るんだろー！」
怒号。
文字通り、血眼になり、探しているようだ。

「出てこい！」
他の者も口々に声を荒らげる。
丸雄と呼ばれる者は、よほどのことをしたのだろう。


「ね、ねぇ、呼ばれてるシバマルってもしかして……。」
嫌な予感。
最早もう確信に近いものを感じる華子。
彼女が目の前で縮こまりながら座っている彼へ言う。

「しーっ、静かにっ！静かにして下さいっす！」

そうか。
彼が件のシバマルか。
おかしな名前だな。

本名だとは考えにくい。
ニックネームか何かなのだろうか？
苦笑いする華子。

「お前、こんなところにいたのかっ！」
華子達のやりとりを見て、入り口にいた者達が彼を見つけた。

「君が静かにしないからバレたじゃないっすか！？」
シバマルが慌てそう言う。

「違っ、違うよ！自分が騒がしくしたからでしょ！？」
華子が反論する。
彼女の言葉はまさに正論であり、丸雄はぐっと唸ると何も言えなくなっていた。

「武蔵野さんの妹泣かせて自分は他の女とデートとは良いご身分だなぁ！？」
シバマルの胸ぐらを両手で掴み、無理矢理立たせる柄の悪い男子生徒。

「いや、ちょ、止めっ……！」
苦しそうにシバマルがジタバタとする。
そんな彼に鋭い視線が集まる。

「先に謝れや！」

「誠意見せろや！」

再び口々に罵声を浴びせる。
先ほどまでの穏やかな雰囲気などこれっぽっちも残っていなかった。

「そ、そんな……！？」
シバマルが震えた声で言う。
流れ的に彼もこの不良達の仲間であることは華子にも分かったが、そんな彼にとってもこの状況は恐いようだ。

「……。」
駄目だ。
恐い。
目の前で繰り広げられる光景を見ることが出来ず、ただただ俯くことしか出来ない華子。

「姉ちゃんさぁ、こいつがどんな男か知ってるんか？」
ニヤニヤ。
腹立たしい笑みを浮かべ、不良の一人が華子に話しかけた。

「え、そ、その……私は……。」
言葉を続けることが出来ない。
恐くて口が動かない。

「地味な女だな。」

「シバマル、こんなんがタイプなのか？」