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「他と……違う?」
丸雄はいつも通りだ。
その為、言及しなくとも良いだろう。
しかし、亥玄が言っていることはより詳細に聞くべきだろう。
「お前は良くも悪くも見ていて飽きない。いつも楽しませてくれるからな。」
「……?え、そ、それはどういう意味?」
「ほ、ほらほら、二人とも!無駄話してちゃ駄目っす!早く行くっすよ!」
ガシッ!
背後から華子の両肩を掴む丸雄。
そして、そのまま後ろから半ば強引に歩き、進行を促す。
「ね、ねぇ、鯉崎君、どういう意味?ねぇって!」
「……ほら、行くぞ。」
「行くっすよ!」
のそのそ。
気だるげに皆、体育館へ向かっていた。
その最後尾に、華子達はいた。
一歩。
また一歩。
体育館に近づいて行く。
ガヤガヤ……。
ザワザワ……。
館内にいる生徒達は好き勝手に話している。
中には心司を囲み、今回の行為について問いただそうとしている者もいた。
「おー、ようやく主役が来たー。」
相変わらず一見緊張感がない言い方だ。
視線と声。
心司のそれらが華子に向けられると、他の者達も彼女に注目する。
「え、あ、ど、どうも、主役らしいでーす……あはは……。」
緊張と混乱。
そのせいで、いつもならしない反応をしてしまう。
それほどに、今の彼女は正常ではなかった。
「……お前、これがどういうことか分かってるのか?」
何も分かっていない。
そんな亥玄が彼女へ問いかける。
「あ、あー……どうなんだろうね?」
曖昧な返答をする華子。
「……と、とうとうこの時が……ついに……ついにやって来たんっすね……!」
心司の態度。
そして、華子の様子。
それらから、これから起きることが分かった丸雄。
興奮を隠しきれずに呟いた。
「ほらほら、鼬原ちゃん、主役なんだからそんな隅にいない!こっちに来なよー。」
「え、え?あ、あの……。」
「ほら、早くー。」
まるで駄々を捏ねる子供のように心司が言う。
これではどちらが歳上か分からない。
「え、えっと……。」
「ほらー早くしなよー!ノリ悪いぞー?」
「す、すみません……。」
これも、正常な判断の出来ない弊害だろうか。
心司に促されるまま、皆の前に躍り出る華子。
「えーっと、皆双葉のこととか、ここのこととか……心配になってるよねー?」
決して大きくはない。
しかし、皆の耳に確かに聞こえるものであった。
丸雄はいつも通りだ。
その為、言及しなくとも良いだろう。
しかし、亥玄が言っていることはより詳細に聞くべきだろう。
「お前は良くも悪くも見ていて飽きない。いつも楽しませてくれるからな。」
「……?え、そ、それはどういう意味?」
「ほ、ほらほら、二人とも!無駄話してちゃ駄目っす!早く行くっすよ!」
ガシッ!
背後から華子の両肩を掴む丸雄。
そして、そのまま後ろから半ば強引に歩き、進行を促す。
「ね、ねぇ、鯉崎君、どういう意味?ねぇって!」
「……ほら、行くぞ。」
「行くっすよ!」
のそのそ。
気だるげに皆、体育館へ向かっていた。
その最後尾に、華子達はいた。
一歩。
また一歩。
体育館に近づいて行く。
ガヤガヤ……。
ザワザワ……。
館内にいる生徒達は好き勝手に話している。
中には心司を囲み、今回の行為について問いただそうとしている者もいた。
「おー、ようやく主役が来たー。」
相変わらず一見緊張感がない言い方だ。
視線と声。
心司のそれらが華子に向けられると、他の者達も彼女に注目する。
「え、あ、ど、どうも、主役らしいでーす……あはは……。」
緊張と混乱。
そのせいで、いつもならしない反応をしてしまう。
それほどに、今の彼女は正常ではなかった。
「……お前、これがどういうことか分かってるのか?」
何も分かっていない。
そんな亥玄が彼女へ問いかける。
「あ、あー……どうなんだろうね?」
曖昧な返答をする華子。
「……と、とうとうこの時が……ついに……ついにやって来たんっすね……!」
心司の態度。
そして、華子の様子。
それらから、これから起きることが分かった丸雄。
興奮を隠しきれずに呟いた。
「ほらほら、鼬原ちゃん、主役なんだからそんな隅にいない!こっちに来なよー。」
「え、え?あ、あの……。」
「ほら、早くー。」
まるで駄々を捏ねる子供のように心司が言う。
これではどちらが歳上か分からない。
「え、えっと……。」
「ほらー早くしなよー!ノリ悪いぞー?」
「す、すみません……。」
これも、正常な判断の出来ない弊害だろうか。
心司に促されるまま、皆の前に躍り出る華子。
「えーっと、皆双葉のこととか、ここのこととか……心配になってるよねー?」
決して大きくはない。
しかし、皆の耳に確かに聞こえるものであった。
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