はりぼてスケバン

あさまる

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「……この子……。」

「……蝶華、どうした?」
彼女の呟きに、辰美が反応する。

「いえ、その……以前うちの生徒が勝手に黒高に手を出した時に会いまして……。」
蝶華が少し言い辛そうに言葉を続ける。

彼女の言葉に更なる動揺をする。
そして、口々にその時のことを聞き出そうとしている。

一睨み。
辰美のそれに、皆が静まった。

「それで?……お前の目から見て、どうだった?」
皆が聞きたいであろうことを、彼が言った。

「……不意打ちされなければ私でも余裕です。むしろ、我が校の生徒なら、誰でも勝てます。」
断言。
それほどに彼女が弱いことが蝶華の中ではっきりと分かっていたことであったのだ。

「……。」

絶句。
大口を叩くことなどない。
どちらかと言えば謙虚な蝶華。
そんな彼女がこれほどのことを言うのだ。
何を言って言いか分からなかったのだ。


「……何か、あるんだろうな……。黒高には鯉崎も入学しているはずだ。あいつが何も行動を起こさないということは、その鼬原に何かあるんだろう。」
辰美が華子を侮るなという意味で低く呟く。

「……承知しました。」
蝶華の返答に、皆が続く。

彼のそれは考え過ぎなものであった。
しかし、そんなことはこの場にいる誰にも分かるはずがなかった。
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