甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「す、すみません!今お時間ありますか!?」

若者が集まるような雑貨店が並ぶ通り。
その中で、一際視線を集めていた翔子。
そんな彼女は、すぐに声をかけられた。

「え、あの……。」
しどろもどろ。
肯定も否定も出来ずにいる翔子。

「私、レモンプロダクションの者ですが、芸能界に興味ありませんか?」
スーツ姿の男性。

芸能界に疎い真優。
そんな彼女でも聞いたことのある事務所だ。
ずいぶん有名なところのスカウトが声かけをしているのだな。
呑気にそんなことを思う真優であった。

「い、いえ……その……。」

「なら名刺だけでも!」

「は、はい……。」


今日だけで、何度も見た光景であった。
ついため息が溢れる真優。

今みたいなスカウト。
そして、ナンパの類。
それら全てを数えれば、真優の両手だけでなく、両足の指を使っても数えきれないだろう。

もっと強く断れば良いものを……。
翔子を見て、そう思うのであった。

彼女の見た目なら、あのようなことは日常茶飯だろう。
何度も経験しているのならば、それなりに対応策があるはずだ。
それなのに、慣れている様子もなく、対応策があるようにも見えない。

もしかして……。
一つの可能性。
それが真優の頭に浮かんだ。

「……まさか、人見知り……?」
ぽつりと呟いた。

よく見ると、彼女はどことなく弱々しい雰囲気であった。
そして、キョロキョロと辺りを見渡して邪魔にならないように隅の方を歩いていたのだ。

更に調べる必要がある。
再び歩を進める真優であった。

とぼとぼ……。
キョロキョロ……。
依然として不安げな翔子。

そんな彼女の前に、立ちはだかる人物達。
背の高い翔子。
俯き加減の彼女と同じくらいの背丈の彼ら。

「……知り合い……ってことはなさそうだけど……。」
少し離れた場所から見ている真優。

自身の身長。
そして、周りにいる人達に遮られ、あまりよく見えない。

何かを話している。
この喧騒と距離。
真優には彼らが何を話しているのか分からない。

「……。」
しかし、今の彼女にも、一つ分かることがあった。

彼らが翔子へ一方的に話をしている。
そして、彼女は俯き、何も話していない。
少なくとも真優にはその様子が嫌がっているようにしか見えなかった。

これはまずいかもしれない。
ゆっくりと進む。
あと少しで翔子に追い付く。
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