甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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午後からの授業。
それも悲惨なものであった。


「……雨枝さん、どうしたの?」
呆れた声。

「す、すみません……。」

放課後。
担任教諭に呼び出され、真優は職員室に来ていた。
どうやら今日の真優の授業態度についての話が彼女の耳にまで届いていたようであった。

「……何かあったの?」
いつも無表情で、何を考えているのか分からない。
そんな彼女が真優へ向け、眉を垂らし、心配そうな顔を見せる。

「……それは……。」

「いじめられてる?」

「違います。」
そんなわけがない。
真優が否定する。

「なら進路の心配?」

「い、いえ、それも違います。」
一年生のこの時期から悩むほど考えている者はいるのだろうか?
そんなことを思う真優であった。

「……ならどうしたの?五月病?」

「いえ、多分それも違います。」

「……お手上げだわ。」

それは言ってはいけないのではないだろうか?
「そ、そうですか……。」

「よく考えてみて?」

「は、はぁ……。」
考えてみても言われても、もう考えてみた。
それでも分からなかったから午後からも悲惨なものだったのだ。

「普段真面目なあなたが上の空で、同じく真面目で無遅刻無欠席の海部江さんが無断欠席……。今日は珍しい日ね……。」

「あ、海部江さん、無断欠席なんですか?」

「え?えぇ、そうだけど……。」

こんなことをしている場合ではない。
「先生、すみません!頭が腰痛でお腹が痛くなってしまったのでトイレに行って来ます!」

「え、え?え?ど、どういうこと!?大丈夫なの、それ?」

困惑する担任教諭を尻目に真優は職員室を後にした。
そして、そのまま廊下を全力疾走してその場から、たちまち見えなくなってしまった。


「結局、大丈夫なの……?……お、お大事に……ね?」
ぽつり。
その場に取り残された彼女が、今はもう姿の見えない真優に向かって呟いた。


無断欠席。
やはり、彼女の身に何かあったのだ。

途中、何人かの生徒にぶつかった。
それでも、なんとか立ち止まることなく校舎を出て駅へ向かうことが出来た真優。

電車が来るのを待つのがもどかしい。
肩で息をし、苦しい。
喉からは鉄の味がする。

早く会いたい。
無事なのを確かめたい。
それだけで良い。
それだけで良いのだ。


ようやく分かった。
今日、自身の様子がおかしかった原因はこれだ。
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