はりぼてスケバン弐

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「うん、そうそう……あはは……はぁ……。」

感情が激しく揺り動く状態は終わった。
今なら秋姫と落ち着いて話すことが出来る。

ぎこちない。
しかし、確かに話をすることが出来た。

少しの間であった。
しかし、離れ離れになっていた期間があったからだろうか。
お互いに冷静かどうかは置いておき、本音で話し合うことが出来た。


「……本当にごめんね。」
再度の謝罪をする秋姫。

「大丈夫だって！ちゃんと謝ってくれたんだもん。もう良いよ！」

「ありがとう……。」

「うん！」

「……その……武蔵野三花って子……クラスメイトにいるよね？」

「う、うん。最近学校に来てないけど……クラスメイトだよ。」

そう。
あくまで華子にとってはただのクラスメイトだ。
友人などでは決してない。
彼女の名前が出てくるということは、きっとろくなことではないだろう。

「その子、気をつけてね。……近々華子のこと、襲うって言ってた。」

「……え？」

予想外というわけではない。
そういった可能性も十分に考えられた。
しかし、いざ実際に聞かされると戸惑ってしまう。

彼女と三花に接点はないはずだ。
しかし、こうして名前が上がった。
流れから察するに、今回の黒龍高校と白辰高校の襲撃に彼女も関係しているのだろう。

「私が言える立場じゃないけど……その……華子、気をつけてね。」

「うん、ありがとう。でも……大丈夫だよ。」
そう。
大丈夫だ。
華子には取って置きがある。

「で、でも……。」

「大丈夫。……大丈夫だから。」

「……は、華子……。」
危害を加える意思。
明確なそれを持つ者がいる。
しかし、彼女は余裕そうでいる。
その意味が分からない秋姫。

怪我を負わされるかもしれない。
もしかしたら、それよりも酷い目に合うかもしれない。

「秋姫が元気になったら良かったよ。私、帰るね。」

「……うん。」


玄関の扉を開ける華子。
そんな彼女の背中を見つめる秋姫。

言わなきゃならないことがある。
今言わなければ後悔してしまう。

「あっ、あのっ！華子っ！」
もう迷わない。
意を決する秋姫。

「……うん？」

「その……図々しいことだってことは百も承知だけど……。」

「……？」

「こ、これからも……。」

「これからもよろしくね、秋姫。じゃあ、私行くから。」
ニカッと笑う華子。
そこには一切の濁りはなかった。