蟻喜多利奈のありきたりな日常2

あさまる

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蟻喜多利奈争奪戦に対する防衛準備(上)

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「……あぁ……どうしよう……本当にどうしよう……。」
ぶつぶつ……ぶつぶつ……。
麦わら帽子を被り、炎天下の中授業前の朝早くに校庭の一角にある畑の植物に水をやっている美佳絵。

今年の春、彼女が園芸部の部員達と育て始めたそれらは、すくすくと育って立派なものになっていた。
本来なら、誇らしいし、嬉しくなる。
しかし、それらを見ても彼女の心が晴れることはない。


意識が沈む。
ドロリ……ドロリ……。
まるで泥沼のように不快なそれは、美佳絵を侵食する。

このままでは駄目だ。
それは、まさにその時に起きたことであった。

ピトッ。
美佳絵の頬に、水滴の含んだ冷たい刺激。

「……ひゃっ!?」
驚きのあまり、その場で飛び上がる。

油断。
そのせいで、いつもは上手く隠せていたものもそれに合わせて飛び出してしまった。

翼だ。
この世界に存在しているとは思えないほど美しい白さを持つそれは、見る者を魅了するだろう。

天使の翼。
本来それはおいそれと見せて良いものではない。
だからこそ、隠していたのだ。

「……何ボーッとしてたの、熱中症?」
その可愛らしい悪戯をした主が彼女へ声をかける。

「違うよ。」
そんなわけがない。
なぜ彼女はこれほど能天気でいられるのだろう。
少しの苛立ちを含んだ声。

「……あっそ。別にどっちでも良いけど……。でも、あんたが倒れたら皆心配するし、これでも飲みなよ。」

「……ありがとう、佐多江。」
そうか。
彼女は心配してくれたのだ。
それなのに、苛立ちをぶつけてしまった。
声の主改め、佐多江へ礼を言った。

「……っ!?うるさい!もう行くからっ!」
一瞬の間。
そして、その言葉を理解した彼女は慌てた。
まさか素直に感謝を示されるとは思っていなかったのだ。

「え?あ、ちょっと!?」
佐多江へ向けた美佳絵の声は、彼女に届かなかった。

段々小さくなっていく彼女の背中。
しかし、美佳絵にはそれがやけに大きく頼れる姿に見えた気がした。


「……とは言ったものの……私もどうすれば良いか分かんないんだよなぁ……。姐さんにもう一回聞きに行かなきゃなぁ……。」
ボリボリ……。
後頭部を掻きながら出た佐多江の一人言。
それは、先ほどまでの明るい様子からは想像出来ないような暗いものであった。


昨日。
放課後、あずさに呼ばれた美佳絵と佐多江。
生徒会室へ入り、その空気を察した。
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