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蟻喜多利奈争奪戦に対する防衛準備(上)
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少なくとも良い話ではない。
願わくば、何も聞かなかったことにならないだろうか。
佐多江は、蜜柑の表情を見てそんなことを考えていた。
「ごめんね、二人とも、急に呼び出しちゃって……。」
蜜柑の申し訳なさげな声と表情。
眉が垂れ下がっている。
「い、いえ……。」
「大丈夫……です……。」
美佳絵と佐多江が彼女の言葉に答える。
そして、彼女らは、蜜柑の次の言葉を待った。
「……有鞠の者達がここに来る。」
「……え?」
「う、嘘……。」
目に見える動揺が、二人に見えた。
それほどに、 蜜柑の言ったことの意味は重いものであったのだ。
有鞠。
つまり、天菜のことだ。
「だから、これからは今までのようにはいかないと思う。」
「海部照一族と有鞠一族の因縁は二人とも知ってるよな?」
あずさが割り込んだ。
彼女の発言の意味は、美佳絵と佐多江には分かっていた。
彼女の言葉に頷いたのだ。
「ごめんね、私達のゴタゴタに巻き込んでしまって……。」
あはは。
苦笑いで蜜柑が言う。
「いや……それは大丈夫ですけど……。」
「私もです!微力ながらお手伝いさせて下さい!」
「それと……話は変わるんだけど……。」
蜜柑が二人の返事を聞いて、再度口を開いた。
「はい。」
美佳絵が応える。
「アイドルの子、最近どうかな?」
蜜柑の質問。
アイドルの子。
それは、彼女らの同級生であり、今や知らない人などいないほどのスーパースターである流奈のことだ。
「え?あ、藍堂さんのこと……ですか?」
キョトンとする美佳絵。
彼女のそんな反応も無理はない。
アイドルである流奈。
そして、遥か遠くにいる天菜。
二人には共通点などないのだ。
その為、今話すような人物ではないはずだ。
「うん。彼女、おかしな行動してない?」
「……特には……彼女が如何しましたか?」
おかしな行動。
具体的には一体どのようなものなのか分からない。
「……主神様、ルナルーがどうしたんですか?」
美佳絵と同じ疑問を、佐多江も口にした。
主神様。
蜜柑のことだ。
「うーん……そうだなぁ……。」
言い辛そうに目を背け、ポリポリと頬を掻く蜜柑。
「……ごめん、今は詳しくは言えないんだけど、二人には彼女にも気をつけておいてほしい。」
またあずさが割り込む。
「わ、分かりました、姐さん。」
佐多江が返事をする。
願わくば、何も聞かなかったことにならないだろうか。
佐多江は、蜜柑の表情を見てそんなことを考えていた。
「ごめんね、二人とも、急に呼び出しちゃって……。」
蜜柑の申し訳なさげな声と表情。
眉が垂れ下がっている。
「い、いえ……。」
「大丈夫……です……。」
美佳絵と佐多江が彼女の言葉に答える。
そして、彼女らは、蜜柑の次の言葉を待った。
「……有鞠の者達がここに来る。」
「……え?」
「う、嘘……。」
目に見える動揺が、二人に見えた。
それほどに、 蜜柑の言ったことの意味は重いものであったのだ。
有鞠。
つまり、天菜のことだ。
「だから、これからは今までのようにはいかないと思う。」
「海部照一族と有鞠一族の因縁は二人とも知ってるよな?」
あずさが割り込んだ。
彼女の発言の意味は、美佳絵と佐多江には分かっていた。
彼女の言葉に頷いたのだ。
「ごめんね、私達のゴタゴタに巻き込んでしまって……。」
あはは。
苦笑いで蜜柑が言う。
「いや……それは大丈夫ですけど……。」
「私もです!微力ながらお手伝いさせて下さい!」
「それと……話は変わるんだけど……。」
蜜柑が二人の返事を聞いて、再度口を開いた。
「はい。」
美佳絵が応える。
「アイドルの子、最近どうかな?」
蜜柑の質問。
アイドルの子。
それは、彼女らの同級生であり、今や知らない人などいないほどのスーパースターである流奈のことだ。
「え?あ、藍堂さんのこと……ですか?」
キョトンとする美佳絵。
彼女のそんな反応も無理はない。
アイドルである流奈。
そして、遥か遠くにいる天菜。
二人には共通点などないのだ。
その為、今話すような人物ではないはずだ。
「うん。彼女、おかしな行動してない?」
「……特には……彼女が如何しましたか?」
おかしな行動。
具体的には一体どのようなものなのか分からない。
「……主神様、ルナルーがどうしたんですか?」
美佳絵と同じ疑問を、佐多江も口にした。
主神様。
蜜柑のことだ。
「うーん……そうだなぁ……。」
言い辛そうに目を背け、ポリポリと頬を掻く蜜柑。
「……ごめん、今は詳しくは言えないんだけど、二人には彼女にも気をつけておいてほしい。」
またあずさが割り込む。
「わ、分かりました、姐さん。」
佐多江が返事をする。
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