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エラル・デュオニス公爵夫人編
六話
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午前中の講義がひと段落し、生徒達が一斉に教室から吐き出されるように廊下へ溢れ出す。
談笑と足音、昼食の話題が混ざり合い、心地よい喧騒が一帯を満たしていた。
(……さて)
私はそっと立ち上がり、鞄を肩に掛ける。
今朝、アリドアから得た“デュオニス公爵夫人の情報”。
──エラル・デュオニスが1-Aに在籍しているという事実は、思っていた以上に気になっていた。
入学式の時に把握した事だが、何故か1-Aには他国の者も含めた王族が集まっている。彼女が平民から一転して貴族席に座った、その異例さ。
そして何より──朝のデュオニス公爵の妙な軽さが、どこか引っかかった。
私は廊下の大理石を踏みしめながら、1-Aへ続く回廊へと足を向ける。
コンバシオ学園のクラス区画は、AとBでさほど変わりはない。だが、1-Aの前だけは廊下の空気がわずかに弛んでいるように感じた。
そこかしこに聞こえる声の質が違う。浮ついた噂話ではなく、貴族家同士の探り合い、情報交換、政治の匂い。
(……ここで平民上がりの彼女がどう立ち回るのか)
学園生活という名の社交場は、残酷なほどその者の器を示す。
私は教室の前で一度足を止め、扉の隙間から中を覗いてみることにした。
「──えっへへー! マジで見てよ、この新しい髪飾り~!
やばくない? ローグからのプレゼントなんだよね~!」
明るい栗色の髪を高い位置でまとめ、両手をぶんぶん振りながら話す少女。
まるで光そのものを振りまくような陽気な存在感。
服装の所々に貴族らしい質の良さがあるものの──その言動の砕け方は完全に平民のそれ。
これが、デュオニス公爵夫人──エラル・デュオニス。他国を含めた王侯貴族を相手にこの態度。
(……相変わらず、賑やかな子ね)
隣では、見目麗しい金髪の少年──第一王子と思しき美丈夫が、あからさまに頭を抱えていた。
「……エラル嬢。言葉遣いをしっかりと……いや、ほんの少しだけ改めて貰えると、僕の心臓に優しくて助かるんだけど」
「えーっ? これがアタシの魅力なんだしさ~! だいじょーぶだいじょーぶ、レオりんも慣れればいけるいける! ほら、エラるんって言ってみ?」
背中をぱしぱし叩かれて、王子が泣きそうな顔をしているのが少しだけ滑稽だった。
周囲の女子達は遠巻きに見つめ、戸惑いと呆れを隠そうともしていない。
(……思っていた以上に彼女は馴染んでいるわね)
明るく見えるその場に、ふと陰が差す。
「……あの人が、公爵夫人? 信じられない……」
「一体どうやって結婚できたの?」
「まさか、なにか弱みでも……?」
小声のささやきが、私の耳に届く。
(……それはそうよね。平民のままでは到底立てない場所だもの)
しかしその囁きの裏に、嫌な予感のようなものが胸を刺した。
彼女に害意はない。
けれど──“無自覚な軽率さ”は、加害にもなる。
(……彼女の何気ない一言が、謀略の火種にならなければ良いけど)
そう考えていた時──。
「……ぁ。あれ? リアりんじゃん!」
こちらへと視線を移したエラル夫人が、ぱあっと顔を輝かせた。
両手を振りながら、教室の入口前まで全力で駆けてくる。瞬間、私は冷や汗を滲ませる。
早急にその場から立ち去るため、扉を閉めて1-B方面へと向かうが──
「──久しぶりーっ! 元気してた?」
こちらへ駆け寄ってくるエラル夫人の足音は、廊下のざわめきの中でも妙に弾んで聞こえた。軽やかで、悪意など一片も混じらない音。それは分かっているのに、私は反射的に半歩後ずさる。
「もしかしてさ、アタシのこと見に来てくれたの~?」
全力の笑顔で両手を広げられ私に周囲の生徒達が『え、誰?』『1-Bの……?』と視線を寄せてくる。私は背筋を正し、できる限りの冷静さを装って一礼した。
「お久しぶりです、公爵夫人。1-Bにいるデュオニス様のお傍にお見掛けしなかったもので、人伝てに聞いたことを頼りに少しだけ顔を……」
そう言った途端、エラル夫人はまるで叱られた子供のように肩を落とした。さっきまであれほど太陽のように明るかったのに、急に曇るのだから調子が狂う。
「──エラルさん呼んでくれてたのに公爵夫人て……うわ~ん、前より距離が空いてる~! ここは間を取って~……エラルちゃんって呼んで貰おうかな?」
潤んだ瞳をこちらに向ける様は、妙に演技がかった仕草のくせにどこか本気だ。周囲の生徒がひそひそと『あれが例の……?』と私を見る視線が痛い。
(本っ当に……夫婦揃って呼称に無頓着なのはどうにかならないのかしら)
私は小さく溜息をつき、眉を寄せた。
「……他生徒の目があるところで、そのように気安く呼べる訳がないでしょう」
すると、エラル夫人の顔がぱっと輝き、胸の前で指先を合わせて小さく跳ねた。
「えへっ、私は皆の気になる存在ってこと~? 公爵夫人になったからかな?」
彼女のその明るさは、太陽というより、突然燃え上がる焚き火のように周囲を巻き込む。私は視線をそらし、慎重に言葉を続けた。
「それもありますが……私と親しい仲だと知られては、公爵夫人に迷惑が掛かるかもしれないので」
言った瞬間、エラルがきょとんと瞬きをした。栗色の睫毛がふるりと揺れる。
「……どうして?」
「どうやらこの学園でも私は……三ヶ月前の失態による悪い噂が浸透しているようで」
廊下のどこかから、誰かの笑い声が聞こえた気がした。胸がじくりと痛む。そんな私を見て、エラル夫人は不意に表情を曇らせる。
「そう、なんだ──悪いのはリアりんじゃないのに」
その声音は、先ほどまでの軽さとは違い、深い底の方から出てきたような重さを帯びていた。私は思わず息を飲む。
──どうしてそんな確信めいた言い方を?
「ねぇ、その噂って……別にセントラル王国内の生徒しか知らないモノでしょ?」
彼女は周囲を少し見回し、肩をすくめて軽く笑った。その笑みには、不思議と冷静な観察が潜んでいた。
「そんなの、他国の生徒達の頭からはすぐに抜けるよ。だったら、リアりんがアタシと仲良くしてたって……何ら問題ないんじゃないかな」
「……ですが」
慎重に返す私の言葉を遮るように、エラル夫人は両手を腰に当て、ぐいっと胸を張った。
「それに、校風にもあるじゃん? 『階級の隔たりをなくした学園生活を送れる』って!」
その声は廊下にも響き、振り向く生徒がさらに増えた。私は思わずエラル夫人の袖を軽く引いて音量を落とさせる。
だが当の本人は気にする様子もなく、目を細めて続けた。
「目立つ位置だからこそ、アタシたちが率先して隔たりをなくしていかなきゃだよ! だから──エラルって呼んでよ……」
最後は小さく、少し拗ねたような声音。その瞳は吸い込まれそうなほど真っ直ぐで、拒むのが難しい。
(……本当にこの奔放さ、無敵ね)
私は観念し、肩を落とした。
「はぁ……分かりました。──エラル」
「やった~! リアり~ん!」
次の瞬間、エラルが勢いよく抱きついてきた。柔らかな香りと体温が一気に押し寄せて、私はぐらりと体勢を崩しそうになる。
背後からは『あの距離感……?』『まさか仲良し? この国にはあんな文化が……」とざわめきが起こる。
私は死んだ魚のような目でエラルの肩越しに視線を向けた。
──そして、そこに。
1-Bの方から、ゆったりと歩み寄って来るデュオニス公爵の姿が見えた。
談笑と足音、昼食の話題が混ざり合い、心地よい喧騒が一帯を満たしていた。
(……さて)
私はそっと立ち上がり、鞄を肩に掛ける。
今朝、アリドアから得た“デュオニス公爵夫人の情報”。
──エラル・デュオニスが1-Aに在籍しているという事実は、思っていた以上に気になっていた。
入学式の時に把握した事だが、何故か1-Aには他国の者も含めた王族が集まっている。彼女が平民から一転して貴族席に座った、その異例さ。
そして何より──朝のデュオニス公爵の妙な軽さが、どこか引っかかった。
私は廊下の大理石を踏みしめながら、1-Aへ続く回廊へと足を向ける。
コンバシオ学園のクラス区画は、AとBでさほど変わりはない。だが、1-Aの前だけは廊下の空気がわずかに弛んでいるように感じた。
そこかしこに聞こえる声の質が違う。浮ついた噂話ではなく、貴族家同士の探り合い、情報交換、政治の匂い。
(……ここで平民上がりの彼女がどう立ち回るのか)
学園生活という名の社交場は、残酷なほどその者の器を示す。
私は教室の前で一度足を止め、扉の隙間から中を覗いてみることにした。
「──えっへへー! マジで見てよ、この新しい髪飾り~!
やばくない? ローグからのプレゼントなんだよね~!」
明るい栗色の髪を高い位置でまとめ、両手をぶんぶん振りながら話す少女。
まるで光そのものを振りまくような陽気な存在感。
服装の所々に貴族らしい質の良さがあるものの──その言動の砕け方は完全に平民のそれ。
これが、デュオニス公爵夫人──エラル・デュオニス。他国を含めた王侯貴族を相手にこの態度。
(……相変わらず、賑やかな子ね)
隣では、見目麗しい金髪の少年──第一王子と思しき美丈夫が、あからさまに頭を抱えていた。
「……エラル嬢。言葉遣いをしっかりと……いや、ほんの少しだけ改めて貰えると、僕の心臓に優しくて助かるんだけど」
「えーっ? これがアタシの魅力なんだしさ~! だいじょーぶだいじょーぶ、レオりんも慣れればいけるいける! ほら、エラるんって言ってみ?」
背中をぱしぱし叩かれて、王子が泣きそうな顔をしているのが少しだけ滑稽だった。
周囲の女子達は遠巻きに見つめ、戸惑いと呆れを隠そうともしていない。
(……思っていた以上に彼女は馴染んでいるわね)
明るく見えるその場に、ふと陰が差す。
「……あの人が、公爵夫人? 信じられない……」
「一体どうやって結婚できたの?」
「まさか、なにか弱みでも……?」
小声のささやきが、私の耳に届く。
(……それはそうよね。平民のままでは到底立てない場所だもの)
しかしその囁きの裏に、嫌な予感のようなものが胸を刺した。
彼女に害意はない。
けれど──“無自覚な軽率さ”は、加害にもなる。
(……彼女の何気ない一言が、謀略の火種にならなければ良いけど)
そう考えていた時──。
「……ぁ。あれ? リアりんじゃん!」
こちらへと視線を移したエラル夫人が、ぱあっと顔を輝かせた。
両手を振りながら、教室の入口前まで全力で駆けてくる。瞬間、私は冷や汗を滲ませる。
早急にその場から立ち去るため、扉を閉めて1-B方面へと向かうが──
「──久しぶりーっ! 元気してた?」
こちらへ駆け寄ってくるエラル夫人の足音は、廊下のざわめきの中でも妙に弾んで聞こえた。軽やかで、悪意など一片も混じらない音。それは分かっているのに、私は反射的に半歩後ずさる。
「もしかしてさ、アタシのこと見に来てくれたの~?」
全力の笑顔で両手を広げられ私に周囲の生徒達が『え、誰?』『1-Bの……?』と視線を寄せてくる。私は背筋を正し、できる限りの冷静さを装って一礼した。
「お久しぶりです、公爵夫人。1-Bにいるデュオニス様のお傍にお見掛けしなかったもので、人伝てに聞いたことを頼りに少しだけ顔を……」
そう言った途端、エラル夫人はまるで叱られた子供のように肩を落とした。さっきまであれほど太陽のように明るかったのに、急に曇るのだから調子が狂う。
「──エラルさん呼んでくれてたのに公爵夫人て……うわ~ん、前より距離が空いてる~! ここは間を取って~……エラルちゃんって呼んで貰おうかな?」
潤んだ瞳をこちらに向ける様は、妙に演技がかった仕草のくせにどこか本気だ。周囲の生徒がひそひそと『あれが例の……?』と私を見る視線が痛い。
(本っ当に……夫婦揃って呼称に無頓着なのはどうにかならないのかしら)
私は小さく溜息をつき、眉を寄せた。
「……他生徒の目があるところで、そのように気安く呼べる訳がないでしょう」
すると、エラル夫人の顔がぱっと輝き、胸の前で指先を合わせて小さく跳ねた。
「えへっ、私は皆の気になる存在ってこと~? 公爵夫人になったからかな?」
彼女のその明るさは、太陽というより、突然燃え上がる焚き火のように周囲を巻き込む。私は視線をそらし、慎重に言葉を続けた。
「それもありますが……私と親しい仲だと知られては、公爵夫人に迷惑が掛かるかもしれないので」
言った瞬間、エラルがきょとんと瞬きをした。栗色の睫毛がふるりと揺れる。
「……どうして?」
「どうやらこの学園でも私は……三ヶ月前の失態による悪い噂が浸透しているようで」
廊下のどこかから、誰かの笑い声が聞こえた気がした。胸がじくりと痛む。そんな私を見て、エラル夫人は不意に表情を曇らせる。
「そう、なんだ──悪いのはリアりんじゃないのに」
その声音は、先ほどまでの軽さとは違い、深い底の方から出てきたような重さを帯びていた。私は思わず息を飲む。
──どうしてそんな確信めいた言い方を?
「ねぇ、その噂って……別にセントラル王国内の生徒しか知らないモノでしょ?」
彼女は周囲を少し見回し、肩をすくめて軽く笑った。その笑みには、不思議と冷静な観察が潜んでいた。
「そんなの、他国の生徒達の頭からはすぐに抜けるよ。だったら、リアりんがアタシと仲良くしてたって……何ら問題ないんじゃないかな」
「……ですが」
慎重に返す私の言葉を遮るように、エラル夫人は両手を腰に当て、ぐいっと胸を張った。
「それに、校風にもあるじゃん? 『階級の隔たりをなくした学園生活を送れる』って!」
その声は廊下にも響き、振り向く生徒がさらに増えた。私は思わずエラル夫人の袖を軽く引いて音量を落とさせる。
だが当の本人は気にする様子もなく、目を細めて続けた。
「目立つ位置だからこそ、アタシたちが率先して隔たりをなくしていかなきゃだよ! だから──エラルって呼んでよ……」
最後は小さく、少し拗ねたような声音。その瞳は吸い込まれそうなほど真っ直ぐで、拒むのが難しい。
(……本当にこの奔放さ、無敵ね)
私は観念し、肩を落とした。
「はぁ……分かりました。──エラル」
「やった~! リアり~ん!」
次の瞬間、エラルが勢いよく抱きついてきた。柔らかな香りと体温が一気に押し寄せて、私はぐらりと体勢を崩しそうになる。
背後からは『あの距離感……?』『まさか仲良し? この国にはあんな文化が……」とざわめきが起こる。
私は死んだ魚のような目でエラルの肩越しに視線を向けた。
──そして、そこに。
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