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第24話 古代の罪、地底に沈んだ真実
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聖都王城の会議室、その重厚な円卓に大司教が一点の資料を広げました。それは一見、手垢にまみれ変色した古ぼけた羊皮紙に見えましたが、ディオンたちの目には、その表面に施された微かな魔力の揺らぎが見て取れました。
「……ご覧いただきたい。これは『魔導コーティング』によって、二千年の時を超えて保存されてきた地図と文献です。そこに記されているのは、現代の我々が使うものとは似て非なる……今は伝承が途切れて久しい『古代魔導エルフ文字』です」
大司教の言葉が終わるか否か、仲間の視線は一斉にアルベローゼへと注がれました。
彼女はいつもの冗談を飲み込み、食い入るようにその文字を追っています。
大司教が地図の一点を指し示しました。
「ここが『マギ・アイン・ツェントラール』(魔導エネルギー集中供給センター)。ここから、我々の魔法理論とは根本から異なる異質なエネルギーが、世界中に向けて発信されているのです。各地に蔓延る魔物たちは、この供給を元に活動していると推測されます。魔物に連れ去られた人々が何に使われているのか、その謎もこの『供給源』に隠されているはずですが……残念ながら、地図の先の記述は解読が進んでおりません」
「……私、読めるよ」
静かですが、確信に満ちた声が会議室に響きました。
アルベローゼです。
「私が小さい時にね」
「ヴィルヘル(魔物)に連れ去られた私のお父さん……古代魔導エルフ文字の研究者だったんだよね。叩き込まれたからわかる」
彼女は震える指先で、魔導コーティングされた紙面をなぞりました。
「封印の門から、『エイグ・ミド・ヴェグ』(中央道)を抜けて300ライン(300km )北北東、『ノルド・オスト・リヒト』。そこが魔導エネルギー供給センター。……そして、そこから北西に180ライン(180km )、『ヴォル・ヴィア・ラボラトール』……魔導生物兵器開発研究所があるね」
そこでアルベローゼの言葉が止まり、顔から血の気が引いていきました。
彼女は絞り出すように呟きました。
「ねぇ……。これって、魔王を作ったのも、もしかしてここじゃない……?」
その一言が、静まり返っていた会議場に雷鳴のような衝撃をもたらしました。
「魔王を……人間が作ったというのか!」
「馬鹿な、そんな禁忌を!」
大臣たちの罵声と恐怖が入り混じる中、ディオンとエリカは自分の胸に手を当てました。
体内に封印された「魔王」の力を解決する方法が、ここにあるかもしれない――。
希望と戦慄が同時に彼らを襲います。
しかし、一人の老臣が声を荒らげました。
「アルベローゼ殿の解読は素晴らしい。だが、扉を開く『条件』を忘れるな! 汚れを知らぬ乙女三名の命を触媒にするなど……!」
「……国民から犠牲を出すわけにはいきません」
その喧騒を、女王の凛とした声が遮りました。 「志願した王族に連なる者三名が、既にあります。……伝承の途切れた解錠魔法『ヴィン・リィ・オ・フルン』は、解析に三週間。女王である私の習得に一週間。計四週間あれば、再現できる見通しです」
「四週間だと! その間に魔王の侵食が進めばどうする!」
「少女を犠牲にするなど、我々騎士団が認めるとお思いか!」
会議場が紛糾する中、アルベローゼは無言で地図と文献を読み込み続けていました。
やがて彼女は顔を上げ、きっぱりと言い放ちました。
「女の子たちを犠牲にするなんてあり得ない。
私が、『次元干渉魔法』で封印の門をすり抜けるよ。この文献に習得方法も書いてあるしさ。ちょっと習得に二ヶ月欲しいかな。……これ、借りていいよね?」
その提案に、女王は即座に反応しました。
「アルベローゼ殿、感謝します。なれば、その遠征には我が国の誇る近衛騎士団と、魔導師団を帯同させましょう。万全の布陣で……」
「ごめんなさい、女王様」
アルベローゼは困ったように眉を下げました。「私、ちょっと次元魔法ニガテでさ……。私たちの仲間を転移させるだけで、きっと全魔力の八割を使っちゃうんだ。大軍なんてとても連れて行けないよ」
「馬鹿な! 世界の滅亡がかかる戦いで、このような少人数に任せるなど、到底認められん!」
「全滅すればどうするのだ!」
会議は再び荒れ狂う怒号の渦となりました。
しかし、そのすべてを断ち切るように、女王が立ち上がり、卓を叩いて全ての議論を制しました。
「静粛に! ……方針は決まりました。人身御供の魔法は、あくまで最終手段として裏で準備を進めます。その間に、アルベローゼ殿には次元干渉魔法の習得を。遠征は、彼女の魔力の限界を鑑み、ディオン殿たち英雄パーティーのみに託します。……これは女王としての決定です。異論は認めません!」
その毅然とした宣言に、広間は一瞬で静まり返りました。
ディオンたちは女王の重い決断を受け止め、二ヶ月という限られた時間の中で、地獄の底へと挑む覚悟を固めるのでした。
「……ご覧いただきたい。これは『魔導コーティング』によって、二千年の時を超えて保存されてきた地図と文献です。そこに記されているのは、現代の我々が使うものとは似て非なる……今は伝承が途切れて久しい『古代魔導エルフ文字』です」
大司教の言葉が終わるか否か、仲間の視線は一斉にアルベローゼへと注がれました。
彼女はいつもの冗談を飲み込み、食い入るようにその文字を追っています。
大司教が地図の一点を指し示しました。
「ここが『マギ・アイン・ツェントラール』(魔導エネルギー集中供給センター)。ここから、我々の魔法理論とは根本から異なる異質なエネルギーが、世界中に向けて発信されているのです。各地に蔓延る魔物たちは、この供給を元に活動していると推測されます。魔物に連れ去られた人々が何に使われているのか、その謎もこの『供給源』に隠されているはずですが……残念ながら、地図の先の記述は解読が進んでおりません」
「……私、読めるよ」
静かですが、確信に満ちた声が会議室に響きました。
アルベローゼです。
「私が小さい時にね」
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そこでアルベローゼの言葉が止まり、顔から血の気が引いていきました。
彼女は絞り出すように呟きました。
「ねぇ……。これって、魔王を作ったのも、もしかしてここじゃない……?」
その一言が、静まり返っていた会議場に雷鳴のような衝撃をもたらしました。
「魔王を……人間が作ったというのか!」
「馬鹿な、そんな禁忌を!」
大臣たちの罵声と恐怖が入り混じる中、ディオンとエリカは自分の胸に手を当てました。
体内に封印された「魔王」の力を解決する方法が、ここにあるかもしれない――。
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しかし、一人の老臣が声を荒らげました。
「アルベローゼ殿の解読は素晴らしい。だが、扉を開く『条件』を忘れるな! 汚れを知らぬ乙女三名の命を触媒にするなど……!」
「……国民から犠牲を出すわけにはいきません」
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やがて彼女は顔を上げ、きっぱりと言い放ちました。
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その提案に、女王は即座に反応しました。
「アルベローゼ殿、感謝します。なれば、その遠征には我が国の誇る近衛騎士団と、魔導師団を帯同させましょう。万全の布陣で……」
「ごめんなさい、女王様」
アルベローゼは困ったように眉を下げました。「私、ちょっと次元魔法ニガテでさ……。私たちの仲間を転移させるだけで、きっと全魔力の八割を使っちゃうんだ。大軍なんてとても連れて行けないよ」
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