【完結】追放令嬢は海賊生活を謳歌する

当麻リコ

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20.一週間が経過して

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翌朝は雨の音で目が覚めた。

本当に雨が降ったことに驚いて、改めて感心してしまう。
海で暮らす人ってすごいのね、とストレッチをしながら外の様子を眺める。

まだシトシト静かに降っているだけだが、荒れると言っていたからこれからその通りになるのだろう。
ウィルの言葉をすっかり信用していることに気付いて、警戒心ゼロの自分に呆れてしまう。

けれど悩むだけ無駄な気もして、気持ちを切り替え身支度を整え厨房に向かった。



朝昼晩の食事準備に加え、後片付けと掃除を都度行う生活が続いた。

一週間経つ頃にはアランの助手がなくなり、テオも髪だけやってくれたあとに自分の仕事に戻っていく。

けれど海に出て一週間ともなると荷の整理なども終わり、そんなに仕事もないようで、いろんな船員たちが入れ替わり立ち替わりでやってきて、私の仕事を手伝ってくれた。

気のいい船員たちは、率先して力仕事を引き受けてくれる。
それに申し訳なさを感じつつも、素直に感謝の言葉を伝えるとそれだけでとても喜んでくれた。

おかげで調理も掃除もペースが上がり、時間に余裕が出来た。

甲板に出る時間が増えると、日焼け止めなんかないからあっという間に肌が焼けていく。
真っ白だった肌は健康的な色になり、鏡を見たら少しそばかすが浮き始めていた。

だけどそんなことは気にもならない。
海での生活は楽しかった。

私が甲板に居るのを見つけると、ウィルがわざわざ寄ってきて私につばの広い帽子をかぶせていく。
やはり髪フェチなのだろう。
疑念が確信に変わる。
けれどまたぺちぺち叩かれたくなかったので、口にするのは耐えた。


椅子はずっと私の部屋に置きっぱなしになっていて、ウィルの訪問は日常となった。
いつも内容は特にどうということもなく、その日の感想や現状確認といったところだ。
たぶん新入りへの気遣いだろう。

それらの日常報告が終わると、今度は私の質問タイムが始まる。
船旅で必要な心得や、星の見方など。
知らない知識を得るのは面白かった。

それと合わせてこれまでの航海での出来事や、船員たちのおかしなエピソードを聞くのが毎夜の楽しみになった。

屈強で厳めしい男たちの、失敗談や意外な面を聞いていたおかげで、メンバーに馴染むのは早かった。
話せばみんな朗らかで、嫌な顔一つせずに私に付き合ってくれる。

私はこの船が大好きになった。

ただ、突然王宮を追い出されたように、いつ誰に手の平を返されるかわからない。
そういう心配は常にあった。
毎朝のストレッチに加え、身体がなまらないように筋トレ、剣技のイメトレは続けている。

時折ノックもなしに入ってくるウィルに何度か鍛錬を目撃されるが、戦えることを隠しておきたかったので、誤魔化すのに苦心した。
腕立ては気持ち悪くて床に臥せっていただけと説明し、剣のイメトレはダンスの練習だと苦しい言い訳をした。
実家でパーティを開催していたころを思い出していたのだと、目を泳がせながら言う様はかなり挙動不審だったことだろう。

ウィルは何も突っ込まなかった。
その代わり、なんだか過去の栄光に縋るかわいそうな人間を見る目をして、そっと肩を叩いてきた。

なんとか言い逃れることはできたが、心のダメージは大きかった。
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