精霊の使い

野上葵

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こちらはシェルター村です。

イッツショータイム!

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「ねぇ、そこのお兄さん。少しマジックを見ていかないかい?」

声をかけてきたのは銀髪の少年だった。歳は俺より年下か同い年くらいだろうか。
サーカスのキャストのような格好をしている。
少し微笑んだその顔に動揺を隠せない。

「わぁー!マジックするの?見たい見たい!」

小さな女の子がかけてきて少年に言った。

「あぁ。とても素敵なマジックさ。それじゃあ君がこの箱の中に入って頂こう」

少年は少女に微笑み、何かを取り出した。
取り出したのは串刺しのときに使うような大きな箱だった。

「入ってくれるかい?」

ニヤッと少年が笑う。その表情に悪寒がした。

「うん!」
「さあ。奇跡のショーの始まりだ」

少女はにこやかにその箱の中に入っていった。
辺りを見渡すと、マジックを見にきたのだろうか。人が沢山集まっていた。

「タネも仕掛けもないこの箱に今から串を刺していきます。さあ!少女の運命や如何に?」

そう言うと少年はなんの躊躇もなく、箱を串刺しにしていく。もしかして、本当にマジックをしているだけなのだろうか。

「これでよし……。いよいよ箱の中身を開けてみよう」

ニヤリと少年が笑った。
箱の中をゆっくりと見せていく。その瞬間場に戦慄が走った。

「え……」
「言ったじゃないか。タネも仕掛けもないただの箱だって」

箱の中は血だらけでさっきまであった少女の笑顔は消えていた。

周りからは悲鳴が大きくなり、逃げ惑う人も沢山いた。
おいおい。マズイんじゃないか。いや、確実にマズイぞ。これは。

俺はその場に立ち尽くすしかなかった。

「さあさあさあ!今宵も楽しいショーをしようじゃないか!辛いことも今日は忘れて、踊り狂うんだ!」

……ピエロだ。さっき言われたことなのに、もう出くわしてしまった。自分の呆気なさに呆れてしまう。

大体可笑しい奴だと少し思っていたんだ。少しだけ。
まさか、これまでとは。どうしよう。どうすれば。
必死に考えるも、俺の低脳ではどうも考えが浮かばない。

第一、助けを呼ぶにしても周りにはもう誰もいない。あの少女の母親ですら見当たらない。逃げたのだろうか。
母親すらも逃げている状況で誰が助けに来ると言うのだろうか。最悪だな。

「お兄さんも、楽しいショーに参加するかい?」

少年はニコニコしながら近づいて来る。
ヤバい。もう後がない。じりじりと距離を狭められていく。

「さあ。楽しいショーへご案内致しましょう」

少年は笑顔を見せると俺に向かってナイフを振り上げてきた。

「さようなら。おにーさん?(笑)」
「やめっ……!!!」

思い切り目を瞑って、手を顔の方に持っていき、待っているとナイフは刺さってこなかった。

「は?」

少年は唖然と俺の後ろを見つめている。
振り返ると青い髪の美少女がこちらを睨みつけていた。

「あんた、道化師ピエロでしょ?」
「は?ピエロ?なんだって僕が」

少年が焦っているようにも見える。
いや、そもそも美少女お前誰だよ。

「その少女の殺し方からして、残忍な手口は道化師あなただけよ!」

決め台詞っぽいものを決めて、美少女は少年を睨みつけた。少年も少し後ずさりする。そして美少女、お前は誰だ。

「そんなに人を殺したいのならあなたが死んでから自分の魂を存分に殺せばいいわ。人をこんな目にあわせるなんて最低」
「……」
「なんで黙るの?自分の罪がようやく分かった?じゃあ、私の召喚獣で綺麗にしてあげる。……ルフィア!!!」
「ちょっ!……召喚獣……!!?」

え、何この展開。突然すぎる展開に呆気に取られてしまう。まあ、楽しそうなので、このままみておこう。

「お前!精霊!?」
「分かったようね。さあ、殺されたくなったら早く走って逃げなさい!そして、罪を償いなさい!自分の力で償い方を考えるの!!」

美少女の方はなんかよく分からないけど、強烈そうなパワーを上に集めてるし、少年は凄く焦ってるしもうなんだこの展開。

「……っ!!!」

あ、逃げた。サーカス少年逃げたよ。此の期に及んで。
美少女は鼻息を荒くしている。全く。そんな行為しなきゃめっちゃ可愛いのに。勿体無いな。

美少女はくるりとこちらを向いて言葉を放った。

「逃げたようね。大丈夫?怪我はない?」

うわ。優しい。

「だ、大丈夫だす。」

噛んでしまった。恥ずかしい。やばい。顔がどんどん火照っていくのが自分でも分かる。

いやだって、女子と話す機会なんて全然なかったし。
確かに色んな人とは喋ってたけど、女子は例外だったからな……。

「大丈夫ならいいけど。ここらへん、道化師ピエロが多いから気をつけるべきよ。て言うか、貴方誰?見慣れない顔立ちね。旅人さん?」

それさっきも言われたよ。あの、お店の店主に。

「まあ、そんなとこっす。今仲間を探してて。良い人とか、知りません?」
「嘘!!!仲間探ししてるの!?」

いきなり美少女の目がキラキラと輝き始めた。何々。怖いよ。いきなりすぎて怖い。

「私も仲間を探してるの。良かったら、一緒にパーティー組まない?」
「パーティー?」
「え?知らないの?」

いや、しらねぇよ。なんだよ、パーティーって。

「パーティーって言うのは4、5人くらいの編成のこと。そのメンバーで戦いに行ったりするのよ」
「へー。そんな制度があるんだ」
「で、どうする?私と組む?」

いや、行くところもないし、答えは決まってるんだけど……。

「……あのー。お仕事は、何をしていらっしゃるのかな?」
「私?私は精霊使い。年収は5億ほどよ。もし私と組んであなたも精霊使いになるんだったら、年収は私と同じくらいね。これでも組む気がないの?貴方は」
「5……億!???」
「ええ、そうよ。早く決めてよ。組むの?組まないの?」
「組みます」

即答。

「よし!そうこなくっちゃね!じゃあ早速ギルドに行くわよ!!」
「え、ギルド……!?」

こうして、ぬるっと精霊使いは仲間を増やし始めたのである。

あ、美少女の名前聞くの忘れた。
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