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#74 王子様の切なくも甘いキス ⑺ ♡微

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 私の処女らしからぬ発言に、酷く驚いて石像と化していた創さんの驚くような声が耳に届いてすぐ、何か思うところでもあったのか、何かに納得したような呟きを漏らした。

「……最後までって……あっ、あぁ、そうか。確かに、そんな状態で放置されたら辛いよなぁ」

 どうやらこのまま寝かされてしまうのだけは回避できたようだ。

 創さんに抱きついた状態でホッと安堵していると。

「俺だって他人のことはいえないしな」

 なにやら自嘲でもするかのような口ぶりで呟きを零したかと思えば、私の太腿にさっきからこっつんこしてくる自身の大事なモノをモゾモゾと手で覆い隠すような動きをした創さん。

ーーなれれ? どうしちゃったのかな?

 いつもだったら、毎朝元気な反応を示す創さんの大事なアレに密着して、慣れるどころか、毎回真っ赤になってしまう私の様子を愉しげにケラケラ笑いつつからかってくるのに。

 いつもと違う創さんの様子に不思議に思っていると。

 創さんの首に抱きついている私の眼前に位置する創さんの耳が瞬く間に紅く色づいてしまった。

 もしかして、創さんも私と同じで今更放置できない状態ってことかな? 

 それといつもより元気な反応を示している大事なアレとも関係があるってこと?

 もしそうなら、昨夜は教えてもらえなかったけれど、今なら教えてもらえるかもしれない。

 もう散々恥ずかしい目にも遭ったし、恥ずかしい大胆発言もしちゃってるし、もう今更恥ずかしがっててもしょうがない。

 羞恥なんかよりも好奇心の方が勝ってしまっていたようだ。

 私は、猪突猛進を体現するかのように、創さんのイケメンフェイスを両手でしっかりと捉えて真っ向から対峙していたのだった。

「創さんも私と一緒で今更中断できないってことですか? いつもより元気になってるのも、そのせいですか? どうなんですか? 教えてください。知りたいですッ!」

 今まで、創さんに対してこんなにもぐいぐい迫ったことがあっただろうか。

 いいや一度もない。

 そんな私の気迫に圧されて、たじろぐ素振りを見せる創さんのらしくない行動に尚も詰め寄るようにして、アレを覆い隠している創さんの手に太腿をぐいぐい押しつけつつ、迫った結果。

「言っときますけど、はぐらかすのはなしですからッ」
「……わ、分かった。ちゃんと教えるからちょっと待ってくれ」

 創さんから一勝を勝ち取ることができて。

 対峙している私に、

「面と向かって言いにくいからこのままで聞いてろ」

ぶっきらぼうにそう言ってきた創さんの胸に顔からグイと抱き寄せられたままで教えてもらうこととなった。

 さすがの創さんも少々恥ずかしいらしい。

 そんないつもの創さんらしからぬ言動に、私の胸はキュンキュンして、またまた下腹部までが疼いてしまうのだった。

 そこに追い打ちでもかけるように創さんの少々バツ悪そうな声音が耳に届いて。

「……女が身体を触れられると興奮して気持ちが昂ぶるのと同じで、男は女の身体を見たり、感じて喘ぐ姿や声に興奮して、もっとよくしてやりたいと思うし。自分だけのモノにしたいと欲情して元気になるものだ。だからこうなってるし、菜々子と一緒でもう中断なんてできない」

 やっぱり少々普通とはずれているらしい創さんは私の貧相な身体に興奮し、欲情してくれていたらしい。

 そのことだけでもただでさえ嬉しいというのに……。

 どんな表情をしているのかが無性に気にかかって、創さんの胸から顔を上げて凝視している私の視線から逃れるよう明後日の方向を向いてしまっている創さんのことが、どうにも愛おしくてしょうがないーー。

「分かったらもういいだろう? あんまりじろじろ見るな。男はデリケートなんだからな。そんなに興味津々に見られると萎える」

 けれども萎えられてしまっては大変だ。

 このまま中断なんてされちゃったら、狂ってしまいそうなんだから。

「なら、私が触れたら、もっともっと元気になってくれますか?」

 処女らしからぬ私のビックリ発言に、またまた驚愕の表情でカッチーンと固まってしまった創さんに、尚も詰め寄ろうとする私。

 これまで一度もお目にかかったことのない展開だ。

 このまま処女である私の暴走が加速するかと思いきや。

  急に苦しげな表情で私のことを組み敷いてきて。

「処女のクセに調子に乗るな。さっき、何もせずに俺のことだけ感じてろって言っただろ? 処女なら処女らしく黙って俺に抱かれてろ」

 いつもの高圧的な上から口調で宣言してきた創さんによって、冷めかけていた身体に口調とは裏腹な優しいタッチで愛撫を施されながらに、優しい甘やかなキスをお見舞いされてしまってはもうなずずべはなかった。

 呆気なく熱を取り戻した私の身体の至る所に優しい甘やかなキスの嵐を降らせながら、いつしかなんの抵抗もさほどの痛みも感じることなく創さんの全てを受け入れていた。

「……んぁッ……あん、やっ、はぁ、あんっ、ヤン」

 この世のものとは思えないくらいになんとも心地よくて、甘ったるい嬌声で喘ぎつつ、昇天しそうなほど幸せな心持ちで、甘い甘い快楽の波に翻弄されているうち……。

 いつしか限界を迎えて意識さえも失った私の身体を愛おしそうに抱きしめてくれていた創さんが、絶えることなく優しい甘やかなキスを降らせつつ。

「幸せそうな顔しやがって。いつかお前の身も心も全部、俺だけのモノにしてやるから、その時は覚悟しろよ」

 意識のない私に向けて、そんな悪態をついていたことも、いつもの俺様口調で宣言していたことも、当然私には知り得る術などなかったし。

 もうすっかり幸せモード全開だった私は、創さんのぬくもりに包まれて、夢のなかでも、創さんのモノになれた幸せにどっぷりと浸ってしまっていた。

 それは翌日になっても同じで、もうすっかり浮かれてしまって、創さんの心情にまで気がまわるような状態じゃあなかったのだからしょうがない。

 なんやかんやアクシデントに見舞われつつも、こうして創さんの本物の婚約者となったその夜、創さんのモノになることができたのだった。

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