74 / 111
#73 王子様の切なくも甘いキス ⑹ ♡
しおりを挟む一体どれほどの時間そうされていただろうか。
生まれて初めて味わう、気持ちいいどころか、底なしの地獄のような快楽に追い立てられてしまっている私の意識が、いきなりなんの予告もなくプッツリと途切れてしまうのだった。
それとほぼほぼ同時に、あたかも何かに取り憑かれでもしていたかのように一心不乱に、蠢き続ける唇と舌とで、なんとも卑猥な水音を奏でながら、グチャグチャになってしまっている私の、脚の裂け目のそのまた奥へ奥へと指を押し進めていた創さんの、すべての動きがピタリとやまり。
ベッドに力尽きるようにしてダランと横たわってしまっている私の身体がぎゅうっと掻き抱くようにして強い力で包み込まれていた。
一瞬意識を失ったものの、時間の経過と共に、涙でぼやけてしまってた視界同様に白濁の世界に埋め尽くされてしまっていた私の意識が徐々に晴れてゆく。
そこに、私の身体をしっかりと抱きしめてくれている創さんの身体を通して、えらく落ち込んでしまっている創さんらしからぬシュンとした声が伝わってきた。
「……めいっぱい優しくするつもりだったのに、我を忘れて、手加減してやれず悪かった」
どうやら我を忘れて、私との行為に没頭してくれていたようだ。
ーーそれって、私の身体でその気になってくれてたどころか、興奮して『我を忘れてくれてた』ってことだよね?
さっき確かに、『俺は大きくて品のない胸より、菜々子のような慎ましく可愛げのある胸の方が好きだから安心しろ』とは言ってくれたけれど。
あの言葉は、貧相な身体である私のことを気遣ってくれただけだと思っていたから、吃驚だ。
ーー創さんはやっぱりちょっと普通の人とは感覚がずれてしまっているのかもしれない。
まだまだうまく稼働しない頭でそうは思いつつも、メチャクチャ嬉しかったーー。
ジーンとしてしまった私の既に涙まみれだった目尻からは、またまた大粒の涙の雫が幾つも連なって零れ落ちてしまうのだった。
そんな状態の私の様子に、酷く狼狽えてしまった様子の創さんからは、同じく狼狽えたような声音がひっきりなしに飛び出してくる。
「そ、そんなに泣くほど嫌だったのか? そりゃそうだよな? 処女なんだもんな。悪かった。もう乱暴なことはしないから泣き止んでくれないか? 頼む、菜々子。この通り許してほしい」
なにやら狼狽えたようにボソボソ呟いていたかと思えば、終いには必死に謝ってきて、私の身体を尚もぎゅぎゅぎゅうっと包み込んできた。
こんなにも必死な様子の創さんにお目にかかるのは初めてかもしれない。
ーーこんなにも私のことを好きになってくれてるなんて、夢のようだ。
またまた感激して大泣きしてしまいそうだったのをぐっと堪えて、なんとか創さんに、『嫌じゃなく、ただ余裕がなかっただけだ』と伝えようにも……。
あまりに強い刺激を立て続けに与えられていたため、クタリと力の抜けた身体は気怠いし、頭だって働かないし、荒い呼吸を繰り返す唇からは涎まで垂らしてしまっている。
こんな有様では何か言葉を放つような気力なんて起こらない。
そんな私の心情などまったく知らない創さんは、仰向けになった私の身体からゆっくり退くと、
「今夜はもう何もしないから安心してくれ」
私にシルク地の掛け布団をかけて添い寝の体勢へとなってしまったのだった。
どうやら嫌がって泣いていると勘違いして、気遣ってくれているらしいが冗談じゃない。
初めて味わった地獄のような快楽に追い立てられてしまったために、ほてりに火照ってしまっている身体がなにやら可笑しなことになっている。
脚の付け根のそのまた奥の方が、さっきからキュンキュン疼くし、ヒクヒクとひくついて落ち着かない。
相変わらず物欲しそうにとろりとしたモノが涎の如く滴りおちてくる感触までが絶えず襲ってくる。
こんな感覚は初めてだ。なにより恥ずかしくてどうしようもない。
けれどもそんなことなどどうでもいいと思えるほどに、私には一切の猶予などなかったのだ。
ーーこのままだとムラムラして一睡もできそうにない。
それだけはどうしても避けたかったし、もう可笑しくなってしまいそうだった。
すっかり理性を失ってしまった私は、私のことを宥めるようにして頭を撫でて添い寝してくれている創さんの胸にぎゅと飛びついて。
「……なっ、菜々子?!」
鳩が豆鉄砲でも食らった時のような驚きぶりで、頓狂な声で私の名前を口にする創さんに構うことなく。
「余裕がなかっただけで怖くなんてありません。そんなことより、さっきから身体が火照ってしょうがないし、身体の中心がキュンキュン疼いて、ヒクヒクするわで、おかしくなりそうなんです。お願いだから、責任とって最後までしてください」
昨日までどころか、今の今まで、私にはまったく縁のなかったセリフを口にしてしまっていた。
まさか処女の私がそんなことを言ってくるとは思いもしなかったんだろう。
私の声を聞き届けた創さんは驚きすぎてカッチーンと硬直してしまっている。
そんな創さんの大事な部分は、毎朝目覚めと共に感じていたどの時よりも、頗る元気な反応を示してしまっていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
ワケあって、お見合い相手のイケメン社長と山で一夜を過ごすことになりました。
紫月あみり
恋愛
※完結! 焚き火の向かい側に座っているのは、メディアでも話題になったイケメン会社経営者、藤原晃成。山奥の冷えた外気に、彼が言い放った。「抱き合って寝るしかない」そんなの無理。七時間前にお見合いしたばかりの相手なのに!? 応じない私を、彼が羽交い締めにして膝の上に乗せる。向き合うと、ぶつかり合う私と彼の視線。運が悪かっただけだった。こうなったのは――結婚相談所で彼が私にお見合いを申し込まなければ、妹から直筆の手紙を受け取らなければ、そもそも一ヶ月前に私がクマのマスコットを失くさなければ――こんなことにならなかった。彼の腕が、私を引き寄せる。私は彼の胸に顔を埋めた……
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる