推しに激似のクールな美容外科医のお飾り妻になるはずが、溺愛されて陥落寸前です

羽村 美海

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推しとの切なくも甘い新婚生活

③※


『悪い。杏璃が俺の手で感じている証だと思うと……嬉しくて。嫌ならやめる。どうする?』

 思いもよらない央輔からの気遣いに、杏璃の胸はほわりとあたたかなもので満ちてゆく。

 央輔なりにアーサー王子として振る舞ってくれているだけ……だとしても、推しの言葉には違いない。

 杏璃は羞恥に塗れてもじもじしながらも素直に答えた。

『……は、恥ずかしかっただけで……嫌じゃ……ないです』

 一瞬息を呑む素振りを見せた央輔は、『なら、遠慮しない。推しになりきって愛し尽くしてやる』そう囁きながら陰核に手を伸ばす。

 彼の指に触れられた刹那、杏璃の身体に甘い衝撃が走った。

『ひゃぅ』

 鼓動と身体がビクンと跳ね、杏璃の唇のあわいからあられもない音が漏れる。

『触れただけでイキそうになるなんて、杏璃は可愛いな』

 央輔はうっとりした声で呟くと秘裂に指を忍ばせズブズブと沈めてゆく。

 ちょうどお臍の裏側まで指を穿つと、蜜を掻き出すような動きで激しく掻き乱す。

『あんっ……ひゃ……やっ、あん、ああぁぁんっ』

 大きな快感の潮流に呑み込まれてしまった杏璃は、央輔の腕の中で絶頂を極めた。

 ぐちゃん、ぐちゅん、パチュンッ……熱気が立ちこめるバスルームに淫猥な水音とあえかな嬌声が絶えず響いては消えてゆく。

 愛潮を吹くまで乳房や秘処を嬲られて、最後には央輔自身で奥深くまで愛し尽くされた。

 結局、バスルームでも推しにあられもない痴態を晒すこととなったのだった。

 というように、央輔のこの変わりように、杏璃はきっと新婚旅行だからなのだと考えていた。

 しかし、帰国してもなお続けようとしたのだから堪らない。


 それだけならまだしも、別にする予定だった寝室も一緒にしようと言い出したのだ。

 それから、結婚後も杏璃の推し活に夫として同行すると言い張る始末であった。

 ――これはもはやソロ活婚ではなく、ただの新婚夫婦ではないか。

 こんなことを続けられたら、央輔を今よりもっと好きになってしまいそうで――なによりそれが怖かった。

 杏璃は猛烈に抗議した。

 だが、央輔はいつものように事も無げに言い放ったのだ。

『新婚なんだし、これぐらい当然だろ。いくら見合いだと言っても家族や周囲に不審がられても面倒だしな』
『お見合いとはいえソロ活婚なんだし、家族と住んでないんだし、そこまで徹底しなくても……』
『そこまでって、報酬に子どもが欲しいと言ったのは杏璃だろ。俺だって杏璃とだったら――』
『え?』
『あっ、いや、だから、杏璃の報酬のためにだよ。それに子どもを育てるのに不仲な両親だと可哀想だしな』
『⁉ ……そ、そこまで考えてくれ――』
『てことで、俺も全力を尽くすつもりだから、これまらもよろしく』
『――いや、でも、そこまでしなくても』

 話が子どもをもうけた後にまで及んだときには仰天したが、同時に嬉しくもあった。

 推しが自分との将来を真剣に考えてくれているなんて、感涙ものである。うっかり舞い上がってボロを出しそうになったが、推しの言葉に救われ事なきを得た。

 こんなことを続けられたら、今みたいにうっかりボロを出しかねない。否、絶対出すに決まっている。

 ――ここは何とか考えを改めてもらわないと。

 その一心で、杏璃がいくら抗議を重ねても、推しである央輔に敵うわけもなく。

『俺のこと男として意識するって言うなら別だけどな。どうする?』
『……わ、わかりました』

 こうして最後には、不服ながらも、折れるしかなかったのだった。
 


 *



 今日はトラブルもなく、日勤だった杏璃は、終業時刻の午後五時半を過ぎた頃には、業務を終えていた。

 終業後、更衣室で帰り支度を進めながら、央輔とのやり取りを思い返していた杏璃は人知れずふうと溜息を零した。

 ここに裕子がいたら、「まーた幸せぼけですか?」なんて言って突っ込まれたに違いない。

 けれど、今は一人なのでその心配はなかった。

 ――帰ったら、また溺愛モード全開の央輔に翻弄されるのか……

 誰もいないのをいいことに、心の中で「あと五分、あと五分で帰るから、もう少しだけ」そんな言い訳を繰り返していたのだ。

 と、そこに、ガチャりと誰かがドアを開ける音が杏璃の意識に飛び込んでくる。

 誰だろうと杏璃が振り返ると、杏璃を見つけるなり、声をかけてくるのは、数分前に帰ったはずの裕子である。

「あっ、いたいた」

 口振りからして杏璃に用件があるようだが、何用か見当もつかない。

 合コンに行くと言って張り切っていたのに、わざわざ戻ってくるとは、何事だろうか。

 杏璃が首を傾げていると、裕子の口から予想外な言葉が飛び出した。

「先輩、愛しの旦那様のお迎えですよ!」
「――!?」

 驚嘆しすぎてもはや言葉も出てこない。杏璃の頭の中では、台風並みの嵐が吹き荒れていた。
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