魔法少女は華麗に舞い散る

Cecil

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心優しき少女

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四ノ宮七海は、とてとこころ優しい少女であり、魔法少女でもあった。
 彼女も聖達と同じで、母親から能力を受け継いだ生まれながらの魔法少女である。

幼い時から、ダークメア討伐に精を出す女の子で、七海にとっての喜びは人々が笑顔になる事であると言う。本当に今どき稀有な存在であった。
 そんな七海は幼い頃は、一人で行動していたのだが、聖とここあとダークメア討伐現場で知り合ってからは、二人と行動を共にするようになっていた。
 魔法少女の仲間が出来た事が、彼女にとっては何よりの喜びであり、二人を守る事が新しい使命となっていた。
 魔法少女は、絶対に誰一人として死なせない。
 例え西側の魔法少女であっても、考えは変わらない。
 魔法少女に東も西もないと言うのが、七海の考えであり、西側を敵対視しているここあが、何度西側は敵にゃと言っても違うと同じ魔法少女で仲間だと、絶対にその考えを変えようとはしなかった。

七海は、陽菜に近い考え方の少女だった。
 今は魔法少女同士で争っている場合じゃないと、協力してまずはダークメアを殲滅させる。
 争いたいのなら、その後に勝手に争えばいいと、自分は魔法少女とは戦わないと言う考えの持ち主で、その考えは聖に言われようがここあに言われようが、母親に言われようが絶対に変えない意志の強さを持っていた。
 意志の強さと言う部分では、臆病で泣き虫で、恐怖にすぐに負けそうになる陽菜とは違う部分ではある。

聖達と行動を起こす様になっても、七海は偶に単独で行動しては、ダークメアについて調べていた様だ。
 何故ダークメアが存在するのか、奴らはどこから現れているのか、何故生まれてしまうのかと言った事を、独自に調べていた様で彼女は、他の魔法少女と違う一面を持っている魔法少女でもあった。

他の魔法少女は、何故ダークメアが生まれるのかなんて考えない。
 奴らは倒すべき存在であるとだけ認識していて、何処から来るのか、どうして存在するのかを考える魔法少女はいなかった。
「聖さんもですか? 考えた事はないんですか?」
「ええ、ダークメアは、私が生まれた時には存在していたし、母親からも魔法少女はダークメアと唯一戦える存在であると、だから貴女もダークメアを倒すのよとだけ、それだけを常に言われていたから」
 普通の魔法少女は、そんな感じでダークメアを倒す。
 それだけしか頭になかったのに対して、七海はダークメアが生まれる理由がわかれば、奴らを絶滅させて、皆んなが安心して平和に暮らせる様になると考えていたのだ。

兎にも角にも心優しき少女であった。
 そんな七海にも、恋焦がれる女性がいた。
 近所に住んでいた大学生であり、小さい頃から良く遊んで貰い、勉強も教えて貰っていた。
 気付いたら恋をしていた。
 魔法少女ではない。普通の人間のお姉ちゃんに恋をして、お姉ちゃんを思っては自分を慰める。
 そんな日々を繰り返していた。

恥ずかしいけど、聖達に相談してみようかな? 
 聖もここあも恋愛経験がないとは言っていたけど、同じ女の子なんだしきっと気持ちはわかってくれるよね。
 相手は女の子だけど、それを思い出して七海は、もし聖とここあが普通に男の子が好きだったらどうしようと、相談するか再び悩んでしまった。

どうするか決めてないのに、ここあから泊まりにおいでよと、お泊まりのお誘いを受けてしまい。
 泊まりに行くと言ってしまった。
 これは、きっと神様が二人に相談しなさいって、そう言ってるんだよねと七海はそんな妄想をしながら、聖の家に向かう。

何度か遊びに来た事はあるけど、何度見てもデカい家だなと、つい聖の家を見上げてしまう。
 見上げていると、何してるのかにゃ? とここあに思い切り胸を鷲掴みにされて、ここあは相変わらずだなと、七海は胸を鷲掴みにされてるのに、気にも止めずに取り敢えず入っていい? と余裕綽々である。

最初の頃は、驚いた事もあるのだが、今は完全に慣れてしまった。
 女の子同士のコミュニケーションの一つだよねと、全く気にならなくなってしまった。
 女子校と言う事もあり、皆んな平気で着替えるし、おっぱいぽろんも結構普通にあるので、胸を揉まれる位は完全に耐性がついてしまったのだ。

「ここあ、いつまでわたしの胸を揉んでるのかな? そんなに私の胸がお気に入りな訳?」
「女の子のおっぱいは大好物なんだけど、七海のはちょうどいい柔らかさなんだにゃ」
 この娘は一体何人のおっぱいを揉んできたんだと、七海はここあを振り解くと取り敢えずベッドに腰掛ける。
 因みにここあは、クラスメート全員のおっぱいを、揉んでいると言う変態じゃなくて強者である。

相談しようかどうしようか悩んでいる内に、夕食を終えてお風呂タイムである。
 聖は胸は小さいが、相変わらず綺麗な身体をしている。
 ここあは、チビのくせに意外と胸があるなと思いながら、自分の胸をチラ見する。
 ヨシ! 誰にも負けてないと自分のたわわな胸に感謝する。
「相変わらず、七海は巨乳だにゃ」
「本当に、何を食べたらそんなに成長するのかしら?」
「遺伝だね。ママも巨乳だし」
 二人は羨ましいと思いながら、七海の胸を片方ずつ揉んでいる。
「二人して、何をしてるの? さすがに乳首は感じるからやめてほしいんだけど」
 エッチの経験がない七海でも、自慰の経験はある。
 
乳首は敏感な方なので、出来れば触るのはやめて欲しい。
「にゃは。七海は乳首が性感帯なのかにゃ」
「私じゃなくても、性感帯だと思うんだけど」
「そうよね。乳首は気持ちいいわよね」
 聖も同意する。
 七海は、二人の下半身に目をやる。
 二人共しっかりと、叢が出来ているが形状は違う。
 聖はしっかりと処理をしている。
 ここあは、元々あまり濃くないのか処理はしていない様だが、とても綺麗に生えている。
 七海は、普通だと自分では思っているが他の女の子の下半身を、ジロジロと見る訳にもいかないので、正直良くわからない。

三人は、お互いの身体を見せ合いっこしながら、ちょっと背伸びした話に盛り上がっている。
 さすがにのぼせるので、一旦お風呂から上がってから、部屋でトーク再開である。
 三人は、下着姿でまだ初体験は終わってないとか、自分で触ってみた事はあるとか、そんな年頃の女の子が興味をもつであろう内容に、時間も忘れてエロトークに熱中してしまう。
 気付けば日付は、すっかりと変わっていた。
 七海は、二人に相談があるんだけどと、自分の恋の悩みを打ち明ける。

年上のお姉ちゃんに恋をしてしまった。
 お姉ちゃんも満更ではなさそうだけど、年下の自分の事を、ずっと妹の様に可愛いがってくれていたから、告白したら拒絶されてしまうんじゃないか、そうなったらとても辛いと、七海は自分の胸の内を二人に曝け出して、どうしたらいいかな? と二人の意見を聞きたいと真剣な表情で、二人を見つめている。

恋の悩みに薬はない。
 恋愛が成就するのも、失敗するのも経験の一つであり、経験する事で大人になっていくものである。
 恋愛経験のない二人には、かなりハードルの高い質問だった。
 七海が近所のお姉ちゃんに恋をしてるとは、別に同性を好きな事は二人には全く気にならない事項である。
 二人もそっちの人なので、全く気にならないと最初に伝える。
 そこまではいいが、七海が告白すべきかは正直悩んでしまう。

告白した方がいいのだが、もし拒絶されて七海とお姉さんの関係にヒビが入ってしまったらと、そう考えると安易に告白すべきだよとは言えない。

「うちは、恋愛経験がないからわからないけど、七海が本気なら告白するべきだと思うにゃ」
「私も未経験だけど、告白しないで後悔するよりは、告白して結果駄目だとしても、それで後悔する方がいいと思う」
 二人の意見を聞いて、七海はそうだよねと私、お姉ちゃんに告白する。
 恋は当たって砕けろだよねと、告白する事を決めた。

「それで、七海さんの恋の結末は、どうなったんですか?」
「上手く言ったわよ」
「本当にですか。良かった」
 お姉ちゃんと晴れて恋人になれた七海だが、七海の幸せは長くは続かなかった。
 七海自身の死で、二人の幸せは唐突に終わりを告げるのだから、二人の幸せの終わりまでは、僅か数ヶ月しかなかった。

二人に相談して、本当に良かった。
 大好きなお姉ちゃんと恋人になれた。
 次は、キスして……エッチだよね。
 キスは怖くはない。
 でもエッチは正直怖い。
 既に経験した娘から話しを聞いたが、初めてはかなり痛いと言っていた。
 因みにその娘も女の子が好きで、彼女は違う学校に通う中学時代の同級生との事。
「お姉ちゃんは、きっと経験あるんだろうな」
 大学生なんだから、きっと恋愛もエッチも既に経験済みだと思う。
 
エッチの時に、緊張し過ぎて上手く出来なかったらどうしよう?
 さすがにこればっかしは、聖達に相談する訳にはいかない。
 お姉ちゃん、やっぱりしたいよね?
 愛する人の為なら、自分の恐怖も痛みも我慢出来ると、七海は本当に相手を思いやれる優しい女の子だった。

そんな優しい七海が、魔法少女が死ぬ事を防ぎたいと、愛する人が安心出来る様にダークメアのいない世界にしたいと、そう心から願っていた七海。そんな七海が一番最初に命を落とす事になるとは、本当に皮肉なものである。

心優しき少女に、死の足音は音も立てずにゆっくりと、着実に忍び寄っていた。


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