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陽菜は初めての戦いに驚愕する
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約束の日が来た。
陽菜は、緊張からかあまり寝れずにいつもより早く目が覚めてしまった。
いつもよりかなり早く起きたのに、聖は既に起きていた。
「あら早いのね」
「あんまり寝れなくて」
睡眠不足は、美容の敵よと聖はいつもと変わらない。
魔法少女同士の争いに慣れているからなのだろう。
それに比べて、私は緊張と恐怖から既に足が震えている。
正直自分で情けないとは思うが、元が臆病な性格なので仕方ない。
着替えていると、ここあがおはようと言ってノックもせずに、入って来たので陽菜は思いきり下着姿を見られてしまった。
「陽菜にゃんは、チビ助なのに相変わらず胸だけはあるにゃ」
「そ、そんな事ないですし、ここあさんの方があると思いますよ」
「そうかにゃ。胸の話は終わってからにして、取り敢えず覚悟は出来たかにゃ?」
覚悟なんて出来てはいない。
出来るのなら戦いの場にいる事も嫌なのだが、そうもいかないので、頑張りますと答える。
「朝比奈さんは、明里さんをしっかりと守ってね。多分だけど、向こうも明里さんには攻撃はしてこないと思うけど一応ね」
一般人に手を出す様な相手ではない。
だが、流れ弾が飛んでくる可能性はあるので、陽菜には取り敢えず攻撃より先に防御魔法を教えてある。
教えて貰った魔法で、明里さんを守りますと攻撃魔法は、未だにほぼ使えないが防御魔法に関しては会得したので、明里さんは私が守りますと陽菜は、心配はいりませんと答える。
「それは頼もしいわ。宜しくね」
いつの間にか明里も来ていた。
「おはようございます。明里さん早いですね」
「あら、皆んなも同じじゃない。今日で魔法少女同士の争いは終わりにする。そして七海が貫き通した様に、弱気者を助ける戦いのみに集中する。わかった?」
三人はわかりましたと答えると、準備を整えて部屋を出た。
今日で最後にする。
これからは、西も東も関係なく助け合う。その為に必要な戦いなのだと、莉絵は傷の癒えてない身体をゆっくりと起こす。
「莉絵ちゃん。無理は駄目よ」
昨晩は、エリナと美代子が泊まったので今朝は一人じゃない事が嬉しい。
「わかってる。それに、私は戦わないし」
「それでもだよ。流れ弾が飛んでくる可能性は否定出来ないんだよ」
最後に起きたエリナが、気をつけるが絶対はないから、莉絵は守りに集中する様にと念を押す。
「わかってるよ。その位なら何とかなるし、こう見えても、それなりに強いのは知ってるでしょ」
二人はそうねと、でも油断大敵だからねと今日で終わりにする為には、莉絵がいないと駄目なんだからと、絶対に犠牲になろうなんて考えては駄目よと、莉絵の心を見透かしたかの様に優しく莉絵を嗜める。
やっぱり二人は鋭い。
最悪自分が犠牲になってでも、争いを終わらせようと莉絵は考えていた。
「大丈夫。そんな事はしないから」
「約束だからね」
「約束ですよ」
莉絵はわかりましたと、二人に返事をすると準備を始めた。
約束の場所に着くと、既にエリナ達が待っていた。
「エリナ久しぶりね」
「聖こそ、相変わらず美人だね」
「そっちこそ。女の子にモテモテでしょ」
二人は軽口を叩き合いながらも、相手の様子を伺っている。
「あの宜しいでしょうか?」
莉絵が、ふらつく身体で間に入る。
「莉絵さんでしたっけ?」
「はい。私は見ての通り怪我をしていますので、戦いには参戦しません。そちらの新しい魔法少女さんは参戦されますか?」
急に話しを振られて、陽菜は参戦しませんと、明里さんを守るのでと、明里がいる事を伝える。
「聖、どう言う事かな? どうして一般人がいるんだい?」
エリナの質問に、明里本人が答えた。
「初めまして、私は一年前に亡くなった魔法少女。四ノ宮七海の恋人よ」
七海と言うフレーズに、莉絵は胸が苦しくなる。
「四ノ宮七海って、一年前に亡くなった東の魔法少女ですよね?」
美代子の質問に明里は、そうよと答えると今日ここにいる理由を話した。
「だから、貴女達の戦いは今日で最後にして欲しいのよ。どちらが勝っても、引き分けても、それにこちら側の新しい魔法少女の陽菜ちゃんも、そちらの莉絵ちゃんもそれを望んでいるんだし」
明里から莉絵の名前が出た事で、エリナと美代子の二人は莉絵を見ると、知ってたの?と明里さんの事を知ってるの? と莉絵に質問する。
「はい。一度七海さんの墓前でお会いしましたから、だから知ってる」
七海と言うフレーズに、今度はここあが強く反応した。
「莉絵にゃんは、七海を知ってたの?」
「はい。七海さんが亡くなったのは、私を助けたからです」
莉絵は、一年前の出来事を全て包み隠さずに話した。
「莉絵、それは本当なのかい?」
「エリナ本当よ。だからあの日から、私は二度と魔法少女同士で戦わないと決めたの」
「莉絵にゃんを助けて、七海が死んだ……どうして七海が死ななくてはいけなかったのかにゃ?」
ここあは、莉絵に殺意を向ける。
「ここあ、相手はあの子ではないわ。怪我人なのよ」
聖の言葉にここあは、わかってるにゃとでも戦いが終わったら、一発だけ殴らせて欲しいにゃと、そうしないと今後協力するのは、東と西が共闘する事は難しいにゃと、莉絵を睨みつける。
莉絵はわかりましたと、戦いが終わった後ならいくらでも罰は受けますと、ここあにそしてエリナ達にも、今まで黙っていてごめんなさいと頭を下げる。
この場で、戦いが始まる前に全てを伝えようと考えていた。
だから戦いが始まる前に、一年前の七海の死の真相を話したのだ。
「でも、莉絵ちゃんは正体を隠して東の魔法少女を助けてもいたのよ。ここあちゃんの気持ちはわかるけど、その事には東側として感謝しないといけないわよ」
「明里さん。その話しは本当ですか?」
「ええ。莉絵ちゃんに聞いた後に、私なりに話しを聞いて回ったのよ」
莉絵が話していただけでは、きっと聖も特にここあは信じてくれない。
だから明里は、明里なりに調査をしていたのだ。
「そうだったんですか。莉絵さんありがとうございます」
「ひ、聖さん?」
「助けてもらっていたのが、真実なら東のリーダーとして感謝を述べるのが、礼儀ですので」
やはり聖は出来た魔法少女だと、莉絵は思いながら、陽菜に自己紹介だけしてくださいねと、私は明里さんから聞いていて知ってますけど、二人は知らないのでと陽菜に話しを振る。
いきなり話しを振られた陽菜は、あわあわと動揺していたが、聖からそれが魔法少女の習わしなのよと言われて、わかりましたと自己紹介を始めた。
「朝比奈陽菜です。ダークメアに襲われて死に掛けて、女神様が現れて魔法少女になるのなら助けると言われてなりました」
陽菜なりに自己紹介したのだが、エリナと美代子、そして莉絵すらも女神様? と頭の上に? マークである。
「やっぱり信じられないよね。私達もだったし、取り敢えず詳しくは戦いの後でね」
聖の言葉に、エリナは聖とここあは美代子と対峙する。
莉絵は、陽菜と共に明里を守りますと言うと明里の前に防御魔法でシールドを張る。
「さあ、ラストゲームを楽しもう!」
「エリナ、腕は鈍ってないわよね?」
「当然さ! 聖こそわたしを楽しませてくれるよね!」
聖とエリナは、お互いに攻撃魔法を繰り返しながら、何故か戦いを楽しんでいる様に陽菜には見える。
「ここあさん。相変わらず凄まじい殺気ですわね」
「美代子にゃんこそ、仏様みたいに穏やかな顔なのに、攻撃は恐ろしいまでの破壊力だにゃ」
「あら、まだまだこれからですわよ」
「それは、こっちの台詞にゃ!」
ここあと美代子の魔法がぶつかり合って、その風圧で、近くにあった廃墟が吹き飛ぶ。
「こ、これが魔法少女同士の争い……なの?」
魔法少女同士の争いを初めて見た陽菜は、その凄まじさに激しさに驚愕して、恐ろしいのに何故か目が離せない。
「陽菜さんですよね」
「は、はい。えっと莉絵さんですよね?」
「はい。陽菜さんが私と同じ考えで、本当に嬉しいです」
莉絵は、防御魔法を更に強化すると、自分の事と自分の考えを陽菜に述べる。
「私も嬉しいです。私は、皆さんと違って生まれつきの魔法少女じゃありませんし、殆ど魔法も使えないので、正直戦いたくはなかったから」
陽菜も自分の考えを素直に莉絵に伝えて、これからは協力して、ダークメアを退治しようねと莉絵に微笑みを向ける。
「この戦いが終わったら、そうなってるわよ。七海もそれを望んでるし」
そうですねと、陽菜と莉絵の二人は明里の言葉に同意する。
聖とエリナの戦いも、ヒートアップして行く。
お互いに、様子見をやめて本気で相手を攻撃していく。
力が拮抗している以上は、ちょっとした油断が命取りになる。
お互い全力で戦わなくては意味がない。
全力でぶつかって、東と西の争いに終止符を打たなければ、一時的に休戦したとしてもいつかまた争いが勃発してしまう。
それをわかっているからこそ、聖もエリナも全力でぶつかり合う。
一歩間違えれば、命を落とす可能性がある事をわかっている上で、全力で相手を殺すつもりで攻撃を繰り出す。
「あ、あんなの食らったら死んでしまいますよね?」
陽菜は、震える足で何とかへたり込まない様に立っている。
「はい。でもお互いに全力じゃないと駄目なんです。手を抜いて戦っても意味はありませんから」
手を抜いて戦って、それで休戦出来るのなら戦う必要はない。
お互いに全力でぶつかって、お互いを認め合う事でこそ、終止符を打てる。
東も西もお互いに、それをわかっているからこそ、相手に情けは掛けずに全力で殺しに行ってるのだ。
「ここで死ぬなら、この先のダークメアとの戦いで、間違いなく命を落とします」
莉絵の言葉に陽菜は、自分の考えの甘さを痛感する。
自分と変わらぬ少女達が命を懸けて、戦ってる姿と、莉絵の言葉がダークメアとの戦いの厳しさを如実に物語っていた。
「ここあさん。その殺気好きですわよ」
「うちも、美代子にゃんの恐ろしいまでの攻撃は痺れるにゃ」
「ここあさん。私達って似てますわね」
「そうだにゃ。相手に容赦しない所なんてそっくりにゃ」
ここあと美代子は、お互いに微笑みを浮かべながら、隙あらば一撃食らわせようと、並の魔法少女なら何回死んでるかわからない様な、凄まじい攻撃を放っている。
「ここあさんも、本当に強いです。あの美代子さんと互角に渡り合っているんですから」
美代子は、穏やかで仏様の様な人柄だが魔法少女としての実力は、聖やエリナと遜色ない。
魔法少女同士の戦いを初めて目の当たりにした陽菜は、立っているのがやっとである。
ダークメアに襲われた時以上の恐怖を感じていた。
「陽菜ちゃん。しっかりとその目に刻みつけなさい。私も初めて見るけど、貴女は魔法少女になったのだから、これからは魔法少女としての責務を果たさないといけない」
明里の言葉に何とか頷くと、陽菜は四人の戦いをしっかりと、その瞳に焼き付ける。
そして、聖達の戦いを観戦している少女がもう一人いる事には、誰一人気付いていない。
「どうして、魔法少女同士が争ってるの? 協力しないといけないのに」
その少女は不思議そうに、魔法少女同士の争いを見つめながら、やっぱり止めないといけないよねと、その歩をエリナ達へと向け始めた。
陽菜は、緊張からかあまり寝れずにいつもより早く目が覚めてしまった。
いつもよりかなり早く起きたのに、聖は既に起きていた。
「あら早いのね」
「あんまり寝れなくて」
睡眠不足は、美容の敵よと聖はいつもと変わらない。
魔法少女同士の争いに慣れているからなのだろう。
それに比べて、私は緊張と恐怖から既に足が震えている。
正直自分で情けないとは思うが、元が臆病な性格なので仕方ない。
着替えていると、ここあがおはようと言ってノックもせずに、入って来たので陽菜は思いきり下着姿を見られてしまった。
「陽菜にゃんは、チビ助なのに相変わらず胸だけはあるにゃ」
「そ、そんな事ないですし、ここあさんの方があると思いますよ」
「そうかにゃ。胸の話は終わってからにして、取り敢えず覚悟は出来たかにゃ?」
覚悟なんて出来てはいない。
出来るのなら戦いの場にいる事も嫌なのだが、そうもいかないので、頑張りますと答える。
「朝比奈さんは、明里さんをしっかりと守ってね。多分だけど、向こうも明里さんには攻撃はしてこないと思うけど一応ね」
一般人に手を出す様な相手ではない。
だが、流れ弾が飛んでくる可能性はあるので、陽菜には取り敢えず攻撃より先に防御魔法を教えてある。
教えて貰った魔法で、明里さんを守りますと攻撃魔法は、未だにほぼ使えないが防御魔法に関しては会得したので、明里さんは私が守りますと陽菜は、心配はいりませんと答える。
「それは頼もしいわ。宜しくね」
いつの間にか明里も来ていた。
「おはようございます。明里さん早いですね」
「あら、皆んなも同じじゃない。今日で魔法少女同士の争いは終わりにする。そして七海が貫き通した様に、弱気者を助ける戦いのみに集中する。わかった?」
三人はわかりましたと答えると、準備を整えて部屋を出た。
今日で最後にする。
これからは、西も東も関係なく助け合う。その為に必要な戦いなのだと、莉絵は傷の癒えてない身体をゆっくりと起こす。
「莉絵ちゃん。無理は駄目よ」
昨晩は、エリナと美代子が泊まったので今朝は一人じゃない事が嬉しい。
「わかってる。それに、私は戦わないし」
「それでもだよ。流れ弾が飛んでくる可能性は否定出来ないんだよ」
最後に起きたエリナが、気をつけるが絶対はないから、莉絵は守りに集中する様にと念を押す。
「わかってるよ。その位なら何とかなるし、こう見えても、それなりに強いのは知ってるでしょ」
二人はそうねと、でも油断大敵だからねと今日で終わりにする為には、莉絵がいないと駄目なんだからと、絶対に犠牲になろうなんて考えては駄目よと、莉絵の心を見透かしたかの様に優しく莉絵を嗜める。
やっぱり二人は鋭い。
最悪自分が犠牲になってでも、争いを終わらせようと莉絵は考えていた。
「大丈夫。そんな事はしないから」
「約束だからね」
「約束ですよ」
莉絵はわかりましたと、二人に返事をすると準備を始めた。
約束の場所に着くと、既にエリナ達が待っていた。
「エリナ久しぶりね」
「聖こそ、相変わらず美人だね」
「そっちこそ。女の子にモテモテでしょ」
二人は軽口を叩き合いながらも、相手の様子を伺っている。
「あの宜しいでしょうか?」
莉絵が、ふらつく身体で間に入る。
「莉絵さんでしたっけ?」
「はい。私は見ての通り怪我をしていますので、戦いには参戦しません。そちらの新しい魔法少女さんは参戦されますか?」
急に話しを振られて、陽菜は参戦しませんと、明里さんを守るのでと、明里がいる事を伝える。
「聖、どう言う事かな? どうして一般人がいるんだい?」
エリナの質問に、明里本人が答えた。
「初めまして、私は一年前に亡くなった魔法少女。四ノ宮七海の恋人よ」
七海と言うフレーズに、莉絵は胸が苦しくなる。
「四ノ宮七海って、一年前に亡くなった東の魔法少女ですよね?」
美代子の質問に明里は、そうよと答えると今日ここにいる理由を話した。
「だから、貴女達の戦いは今日で最後にして欲しいのよ。どちらが勝っても、引き分けても、それにこちら側の新しい魔法少女の陽菜ちゃんも、そちらの莉絵ちゃんもそれを望んでいるんだし」
明里から莉絵の名前が出た事で、エリナと美代子の二人は莉絵を見ると、知ってたの?と明里さんの事を知ってるの? と莉絵に質問する。
「はい。一度七海さんの墓前でお会いしましたから、だから知ってる」
七海と言うフレーズに、今度はここあが強く反応した。
「莉絵にゃんは、七海を知ってたの?」
「はい。七海さんが亡くなったのは、私を助けたからです」
莉絵は、一年前の出来事を全て包み隠さずに話した。
「莉絵、それは本当なのかい?」
「エリナ本当よ。だからあの日から、私は二度と魔法少女同士で戦わないと決めたの」
「莉絵にゃんを助けて、七海が死んだ……どうして七海が死ななくてはいけなかったのかにゃ?」
ここあは、莉絵に殺意を向ける。
「ここあ、相手はあの子ではないわ。怪我人なのよ」
聖の言葉にここあは、わかってるにゃとでも戦いが終わったら、一発だけ殴らせて欲しいにゃと、そうしないと今後協力するのは、東と西が共闘する事は難しいにゃと、莉絵を睨みつける。
莉絵はわかりましたと、戦いが終わった後ならいくらでも罰は受けますと、ここあにそしてエリナ達にも、今まで黙っていてごめんなさいと頭を下げる。
この場で、戦いが始まる前に全てを伝えようと考えていた。
だから戦いが始まる前に、一年前の七海の死の真相を話したのだ。
「でも、莉絵ちゃんは正体を隠して東の魔法少女を助けてもいたのよ。ここあちゃんの気持ちはわかるけど、その事には東側として感謝しないといけないわよ」
「明里さん。その話しは本当ですか?」
「ええ。莉絵ちゃんに聞いた後に、私なりに話しを聞いて回ったのよ」
莉絵が話していただけでは、きっと聖も特にここあは信じてくれない。
だから明里は、明里なりに調査をしていたのだ。
「そうだったんですか。莉絵さんありがとうございます」
「ひ、聖さん?」
「助けてもらっていたのが、真実なら東のリーダーとして感謝を述べるのが、礼儀ですので」
やはり聖は出来た魔法少女だと、莉絵は思いながら、陽菜に自己紹介だけしてくださいねと、私は明里さんから聞いていて知ってますけど、二人は知らないのでと陽菜に話しを振る。
いきなり話しを振られた陽菜は、あわあわと動揺していたが、聖からそれが魔法少女の習わしなのよと言われて、わかりましたと自己紹介を始めた。
「朝比奈陽菜です。ダークメアに襲われて死に掛けて、女神様が現れて魔法少女になるのなら助けると言われてなりました」
陽菜なりに自己紹介したのだが、エリナと美代子、そして莉絵すらも女神様? と頭の上に? マークである。
「やっぱり信じられないよね。私達もだったし、取り敢えず詳しくは戦いの後でね」
聖の言葉に、エリナは聖とここあは美代子と対峙する。
莉絵は、陽菜と共に明里を守りますと言うと明里の前に防御魔法でシールドを張る。
「さあ、ラストゲームを楽しもう!」
「エリナ、腕は鈍ってないわよね?」
「当然さ! 聖こそわたしを楽しませてくれるよね!」
聖とエリナは、お互いに攻撃魔法を繰り返しながら、何故か戦いを楽しんでいる様に陽菜には見える。
「ここあさん。相変わらず凄まじい殺気ですわね」
「美代子にゃんこそ、仏様みたいに穏やかな顔なのに、攻撃は恐ろしいまでの破壊力だにゃ」
「あら、まだまだこれからですわよ」
「それは、こっちの台詞にゃ!」
ここあと美代子の魔法がぶつかり合って、その風圧で、近くにあった廃墟が吹き飛ぶ。
「こ、これが魔法少女同士の争い……なの?」
魔法少女同士の争いを初めて見た陽菜は、その凄まじさに激しさに驚愕して、恐ろしいのに何故か目が離せない。
「陽菜さんですよね」
「は、はい。えっと莉絵さんですよね?」
「はい。陽菜さんが私と同じ考えで、本当に嬉しいです」
莉絵は、防御魔法を更に強化すると、自分の事と自分の考えを陽菜に述べる。
「私も嬉しいです。私は、皆さんと違って生まれつきの魔法少女じゃありませんし、殆ど魔法も使えないので、正直戦いたくはなかったから」
陽菜も自分の考えを素直に莉絵に伝えて、これからは協力して、ダークメアを退治しようねと莉絵に微笑みを向ける。
「この戦いが終わったら、そうなってるわよ。七海もそれを望んでるし」
そうですねと、陽菜と莉絵の二人は明里の言葉に同意する。
聖とエリナの戦いも、ヒートアップして行く。
お互いに、様子見をやめて本気で相手を攻撃していく。
力が拮抗している以上は、ちょっとした油断が命取りになる。
お互い全力で戦わなくては意味がない。
全力でぶつかって、東と西の争いに終止符を打たなければ、一時的に休戦したとしてもいつかまた争いが勃発してしまう。
それをわかっているからこそ、聖もエリナも全力でぶつかり合う。
一歩間違えれば、命を落とす可能性がある事をわかっている上で、全力で相手を殺すつもりで攻撃を繰り出す。
「あ、あんなの食らったら死んでしまいますよね?」
陽菜は、震える足で何とかへたり込まない様に立っている。
「はい。でもお互いに全力じゃないと駄目なんです。手を抜いて戦っても意味はありませんから」
手を抜いて戦って、それで休戦出来るのなら戦う必要はない。
お互いに全力でぶつかって、お互いを認め合う事でこそ、終止符を打てる。
東も西もお互いに、それをわかっているからこそ、相手に情けは掛けずに全力で殺しに行ってるのだ。
「ここで死ぬなら、この先のダークメアとの戦いで、間違いなく命を落とします」
莉絵の言葉に陽菜は、自分の考えの甘さを痛感する。
自分と変わらぬ少女達が命を懸けて、戦ってる姿と、莉絵の言葉がダークメアとの戦いの厳しさを如実に物語っていた。
「ここあさん。その殺気好きですわよ」
「うちも、美代子にゃんの恐ろしいまでの攻撃は痺れるにゃ」
「ここあさん。私達って似てますわね」
「そうだにゃ。相手に容赦しない所なんてそっくりにゃ」
ここあと美代子は、お互いに微笑みを浮かべながら、隙あらば一撃食らわせようと、並の魔法少女なら何回死んでるかわからない様な、凄まじい攻撃を放っている。
「ここあさんも、本当に強いです。あの美代子さんと互角に渡り合っているんですから」
美代子は、穏やかで仏様の様な人柄だが魔法少女としての実力は、聖やエリナと遜色ない。
魔法少女同士の戦いを初めて目の当たりにした陽菜は、立っているのがやっとである。
ダークメアに襲われた時以上の恐怖を感じていた。
「陽菜ちゃん。しっかりとその目に刻みつけなさい。私も初めて見るけど、貴女は魔法少女になったのだから、これからは魔法少女としての責務を果たさないといけない」
明里の言葉に何とか頷くと、陽菜は四人の戦いをしっかりと、その瞳に焼き付ける。
そして、聖達の戦いを観戦している少女がもう一人いる事には、誰一人気付いていない。
「どうして、魔法少女同士が争ってるの? 協力しないといけないのに」
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