あなたと過ごした7日間

モア

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2話

心の拠り所

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校舎へ案内されると、そこには死神の世界とは思えないほどの煌びやかな装飾が飾られていた。
「広いですね…。だいぶわたしの中の死神のイメージとかけ離れてます」
「そうか?」
ミスカリヤ先生は隣で笑っている。
「それにしてもびっくりしたなぁ…。まさかお姫様のお前がこの世界に飛び込んでくるとは」
(こっちのセリフです…)
と心で突っ込む。
「でも、ここの生徒は皆癖のある者ばかりだが…。仲良くなれるだろう」
「心配なんですよね。私なんかが」
俯いた表情で答えるミイナ。
いくら人間を見返したいと思っても、一人前の死神の称号を貰えるには、クラスメイトと協力して取り組んだりしないと勉強も捗らない。
人見知りで、同年代との話す機会が無かったミイナにとって友達作りは最難関の問題であった。
「いざというときは、俺が守ってやるから」
「何言っているんですか…」
笑いながらキザなセリフを喋り出すミスカリヤ先生に呆れるミイナであった。
ミイナは、自分のクラスメイトとなる人たちの元へ向かった。
(どうか、私自身を受け入れて欲しい)
重い足取りで教室へ…。
「皆、今日から新しい仲間を紹介しよう!
さぁ、こちらへ」
ミスカリヤ先生に誘導されて、中へ入るミイナ。
強面な方や、不気味な人たちが集まっていたらどうしよう…。
馴染めるかと思ってヒヤヒヤしていたが…。
「すごいーっ!これがお姫様の女の子なのですね」
「よろしくね!」
「俺も!」
続々とまだ挨拶もしていないのに、ミイナを歓迎する歓声が聞こえてきた。
(拒絶されなくて良かった。しかもみんな温かそうな人ばかりで安心だわ…)
「は、初めまして。ミイナ・ナーラですっ!よろしくお願いします」
年齢は、ミイナと同じ年の子から少し年上の人まで幅広い人が在籍していた。
「じゃあ、チャナ!あいつな一番後ろの席のやつ。隣の席だ」
「こっちだよー!」
と、笑顔で手を振る女の子。
(お姉ちゃんみたい…)
彼女の第一印象はそうだった。
「私、チャナ・マターレ」
「ミイナ・ナーラよ。よろしくね」
隣の席ということのよしみなのか、授業で分からないことがあるとすぐに…。
「ここは、こうするのよ?」
面倒見が良かった。
彼女の隣にいると、とても居心地が良く落ち着いて行動できるようになっていた。


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