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王妃は私を嫌っている
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「いらっしゃい。よく来てくれたわね、レイチェル」
女官に案内され、庭園に足を踏み入れた私を迎えてくれたのは嘘くさい笑みを貼り付けた王妃様だった。
「王妃様におかれましてはご機嫌麗しく。本日はお招きいただきありがとうございます」
「まあまあ、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。わたくし達の仲じゃない?」
白々しく仲が良いと強調する王妃に心の中で「どんな仲だよ!」と突っ込んだ。
少なくとも堅苦しい挨拶を抜きにする関係性ではない。
以前からレイチェル自身も感じ取っていたことだが、この人はまず間違いなく私の事を嫌っている。
笑顔を浮かべても目の奥が笑っていないし、何よりこちらを値踏みするような視線が不快だ。
(私の母が嫌いだから娘の私も嫌いなのか、陛下に大切にされていることが気に入らないのか、私の父に好意を抱いていたからなのか……。思いつくものが多すぎる……)
国王の姪にあたるレイチェルが王妃とは最低限の交流しかしていない理由は単純に彼女がこちらを嫌っているからだ。幼少の頃から何となくそれを感じ取っていたし、また母もそれを分かっていたから家ぐるみで必要最低限しか関りをもたなかった。
こちらを嫌う理由はその頃は分からなかったが、成長するにつれて判明された。
そしてその数の多さに思わず呆れてしまったことを覚えている。
「座って頂戴。今お茶を運ばせるわ」
庭園に面したガゼボに設置されている椅子に座ると、女官がお茶を運んできた。
「いいカモミールが手に入ったの。よい香りでしょう?」
にっこりと微笑む王妃様に軽く殺意が湧いた。
レイチェルはカモミールが苦手ということを知っていてわざとこういうことをする彼女の下卑た性根に吐き気がする。
(この香りが苦手なのよね……。でも、まあいいか。最初から飲む気もなかったし)
「ええ、とてもいい香りですね」
こちらも負けじと微笑めば、王妃様は驚愕した顔を見せた。
あらあら……淑女が感情を表に出すなどはしたないこと。
前世の記憶が戻る前のレイチェルならば「こんなの飲めないわよ!」とキレていただろう。でも今はそんな淑女らしからぬことはしない。こちらが醜態を晒せば相手を喜ばせてしまうと分かっているから。
いささか残念そうな表情の王妃はお菓子も勧めてきたが、こちらもレイチェルの嫌いなものオンパレードだ。甘いクリームがたっぷり乗ったケーキ、盛りに盛ったクリームタルト、食べにくいまでにクリームを挟んだビスケット。クリームが苦手なレイチェルへの嫌がらせ目的としか思えないラインナップ。
(意地の悪い姑みたいなムーブかまして……。食べ物で嫌がらせするなんて最低だわ)
こんな偏ったラインナップを他の人も参加するお茶会で出したら恥をかくぞ、と内心呆れた。こんなクリームマニアしか喜ばない菓子をよくも出せたものだ。というかこれ、カモミールティーに合うのか?
まあ、何が盛られているかも分からないから元々お茶もお菓子も口をつけるフリをすると決めていた。こんなあからさまな嫌がらせをされるとは思っていなかったけど。
「美味ですこと。王妃様はこのような組み合わせを好むのですね」
言外に『お前の出す茶と菓子の組み合わせ変(笑)』という意味を含ませたが伝わっただろうか?
あ、伝わっている。一瞬、物凄い顔でこちらを睨んできたわ。
「ええ……まあ、貴女のために料理長に命じて特別に作らせたのよ」
王宮の料理長にわざわざ嫌がらせメニューを作らせんなよ!?
つくづく性根の悪い女だ。招待しておいて嫌がらせをするとか何がしたいの?
女官に案内され、庭園に足を踏み入れた私を迎えてくれたのは嘘くさい笑みを貼り付けた王妃様だった。
「王妃様におかれましてはご機嫌麗しく。本日はお招きいただきありがとうございます」
「まあまあ、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。わたくし達の仲じゃない?」
白々しく仲が良いと強調する王妃に心の中で「どんな仲だよ!」と突っ込んだ。
少なくとも堅苦しい挨拶を抜きにする関係性ではない。
以前からレイチェル自身も感じ取っていたことだが、この人はまず間違いなく私の事を嫌っている。
笑顔を浮かべても目の奥が笑っていないし、何よりこちらを値踏みするような視線が不快だ。
(私の母が嫌いだから娘の私も嫌いなのか、陛下に大切にされていることが気に入らないのか、私の父に好意を抱いていたからなのか……。思いつくものが多すぎる……)
国王の姪にあたるレイチェルが王妃とは最低限の交流しかしていない理由は単純に彼女がこちらを嫌っているからだ。幼少の頃から何となくそれを感じ取っていたし、また母もそれを分かっていたから家ぐるみで必要最低限しか関りをもたなかった。
こちらを嫌う理由はその頃は分からなかったが、成長するにつれて判明された。
そしてその数の多さに思わず呆れてしまったことを覚えている。
「座って頂戴。今お茶を運ばせるわ」
庭園に面したガゼボに設置されている椅子に座ると、女官がお茶を運んできた。
「いいカモミールが手に入ったの。よい香りでしょう?」
にっこりと微笑む王妃様に軽く殺意が湧いた。
レイチェルはカモミールが苦手ということを知っていてわざとこういうことをする彼女の下卑た性根に吐き気がする。
(この香りが苦手なのよね……。でも、まあいいか。最初から飲む気もなかったし)
「ええ、とてもいい香りですね」
こちらも負けじと微笑めば、王妃様は驚愕した顔を見せた。
あらあら……淑女が感情を表に出すなどはしたないこと。
前世の記憶が戻る前のレイチェルならば「こんなの飲めないわよ!」とキレていただろう。でも今はそんな淑女らしからぬことはしない。こちらが醜態を晒せば相手を喜ばせてしまうと分かっているから。
いささか残念そうな表情の王妃はお菓子も勧めてきたが、こちらもレイチェルの嫌いなものオンパレードだ。甘いクリームがたっぷり乗ったケーキ、盛りに盛ったクリームタルト、食べにくいまでにクリームを挟んだビスケット。クリームが苦手なレイチェルへの嫌がらせ目的としか思えないラインナップ。
(意地の悪い姑みたいなムーブかまして……。食べ物で嫌がらせするなんて最低だわ)
こんな偏ったラインナップを他の人も参加するお茶会で出したら恥をかくぞ、と内心呆れた。こんなクリームマニアしか喜ばない菓子をよくも出せたものだ。というかこれ、カモミールティーに合うのか?
まあ、何が盛られているかも分からないから元々お茶もお菓子も口をつけるフリをすると決めていた。こんなあからさまな嫌がらせをされるとは思っていなかったけど。
「美味ですこと。王妃様はこのような組み合わせを好むのですね」
言外に『お前の出す茶と菓子の組み合わせ変(笑)』という意味を含ませたが伝わっただろうか?
あ、伝わっている。一瞬、物凄い顔でこちらを睨んできたわ。
「ええ……まあ、貴女のために料理長に命じて特別に作らせたのよ」
王宮の料理長にわざわざ嫌がらせメニューを作らせんなよ!?
つくづく性根の悪い女だ。招待しておいて嫌がらせをするとか何がしたいの?
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