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侍女長が怪しい
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「もしかして、私が二度も離縁された原因は彼女達なのだろうか……」
たっぷりと夫婦の“仲直り”が済んだ後、レイモンドはポツリと呟いた。
「さあ? 断定は出来ませんが、夫の異性の幼馴染が我が物顔で邸にやってくるのは妻としていい気はしませんね。控えめに言ってものすごーく嫌な気分になります」
妻の返答が胸に突き刺さったレイモンドは傷ついた顔で項垂れた。
「ちなみに控えずに言うと……」
「殺意が湧きますね」
はっきりとした妻の言葉にレイモンドは更に項垂れた。
異性の幼馴染と親密であることはそこまで妻の逆鱗に触れてしまうのかと、今初めて知ったのである。
「旦那様は前の奥様方から何も言われませんでしたの? 離婚の際に一言くらいあってもおかしくないかと思うのですが……」
「いや……実は彼女達の口から離婚を言い渡されたわけではないんだ。どちらも彼女達の家の当主である父君から申し出あった。彼等はこぞって『高位貴族の妻の身分は娘には荷が重かった』と言って離縁の申立をしてきてな。その時はそうなのかと思ったが、今思えば建前だったんだろうな」
妻の家の当主から離縁の申立が?
妻本人ではなく、妻の生家の当主が離縁の申立を行うことは稀だ。
その結婚を継続すると妻側の家に不利益が生じる場合など、やむを得ない事情がない限りはあまり行われない。
「以前の奥様方は旦那様の幼馴染みのご令嬢方が頻繁に屋敷に訪れることに対しては何も仰らなかったの?」
頻繁に夫の幼馴染みが屋敷に訪れるなんて、妻の立場では嫌がりそうなものだが。
実際システィーナは物凄く不愉快極まりなかった。
「ああ、以前の妻の口からは何も……。その辺りは私も領主としての仕事に忙殺されて妻とまともに会話を交わしていなかったし、それに妻達は私の幼馴染みが屋敷に来ると一緒に茶を飲んでいたから……。てっきり仲が良いものかと……」
「え!? 一緒にお茶を?」
いきなり押しかけてきた女と仲良くお茶なんて飲めるものだろうか。
その時、システィーナの脳裏にある考えがよぎった。
(もしかして……侍女長が何か関係している?)
システィーナも侍女長によって会うことを強要された。
返り討ちにしたから気にしてなかったが、よく考えればどうしてそんなことをしてきたのだろう。
「旦那様、侍女長は先代からの使用人ですか?」
「えっ? どうして侍女長?」
「この件に侍女長が関わっているかもしれないからです! 教えてくださいませ!」
「そうなのか!? えーっと、確か……」
レイモンドによると侍女長がこの屋敷に勤めはじめたのは先代が亡くなった後。
丁度初めの妻を娶った時期あたりとのこと。
「では、最初の奥様が幼馴染みのご令嬢方と会われた際、侍女長はこの屋敷にいたということですね?」
「ああ、そうなる。……システィーナ、本当に侍女長が関わっているのか? 私が妻と離縁することが、侍女長の何の特になるんだ?」
「それは本人に聞いてみれば分かりますわ。さっそく侍女長の所へ向かいましょう」
「え? 私達が向かうのか? 呼びつければ済むだろう?」
「彼女は今、再教育中なのです。サリバン夫人にも同席してもらいたいですし、わたくしどもが向かいましょう」
再教育中? サリバン夫人?
突然出てきた言葉に首を傾げるレイモンド。
そんな夫をよそにシスティーナは身支度のために専属侍女を呼び、向かう準備をする。
たっぷりと夫婦の“仲直り”が済んだ後、レイモンドはポツリと呟いた。
「さあ? 断定は出来ませんが、夫の異性の幼馴染が我が物顔で邸にやってくるのは妻としていい気はしませんね。控えめに言ってものすごーく嫌な気分になります」
妻の返答が胸に突き刺さったレイモンドは傷ついた顔で項垂れた。
「ちなみに控えずに言うと……」
「殺意が湧きますね」
はっきりとした妻の言葉にレイモンドは更に項垂れた。
異性の幼馴染と親密であることはそこまで妻の逆鱗に触れてしまうのかと、今初めて知ったのである。
「旦那様は前の奥様方から何も言われませんでしたの? 離婚の際に一言くらいあってもおかしくないかと思うのですが……」
「いや……実は彼女達の口から離婚を言い渡されたわけではないんだ。どちらも彼女達の家の当主である父君から申し出あった。彼等はこぞって『高位貴族の妻の身分は娘には荷が重かった』と言って離縁の申立をしてきてな。その時はそうなのかと思ったが、今思えば建前だったんだろうな」
妻の家の当主から離縁の申立が?
妻本人ではなく、妻の生家の当主が離縁の申立を行うことは稀だ。
その結婚を継続すると妻側の家に不利益が生じる場合など、やむを得ない事情がない限りはあまり行われない。
「以前の奥様方は旦那様の幼馴染みのご令嬢方が頻繁に屋敷に訪れることに対しては何も仰らなかったの?」
頻繁に夫の幼馴染みが屋敷に訪れるなんて、妻の立場では嫌がりそうなものだが。
実際システィーナは物凄く不愉快極まりなかった。
「ああ、以前の妻の口からは何も……。その辺りは私も領主としての仕事に忙殺されて妻とまともに会話を交わしていなかったし、それに妻達は私の幼馴染みが屋敷に来ると一緒に茶を飲んでいたから……。てっきり仲が良いものかと……」
「え!? 一緒にお茶を?」
いきなり押しかけてきた女と仲良くお茶なんて飲めるものだろうか。
その時、システィーナの脳裏にある考えがよぎった。
(もしかして……侍女長が何か関係している?)
システィーナも侍女長によって会うことを強要された。
返り討ちにしたから気にしてなかったが、よく考えればどうしてそんなことをしてきたのだろう。
「旦那様、侍女長は先代からの使用人ですか?」
「えっ? どうして侍女長?」
「この件に侍女長が関わっているかもしれないからです! 教えてくださいませ!」
「そうなのか!? えーっと、確か……」
レイモンドによると侍女長がこの屋敷に勤めはじめたのは先代が亡くなった後。
丁度初めの妻を娶った時期あたりとのこと。
「では、最初の奥様が幼馴染みのご令嬢方と会われた際、侍女長はこの屋敷にいたということですね?」
「ああ、そうなる。……システィーナ、本当に侍女長が関わっているのか? 私が妻と離縁することが、侍女長の何の特になるんだ?」
「それは本人に聞いてみれば分かりますわ。さっそく侍女長の所へ向かいましょう」
「え? 私達が向かうのか? 呼びつければ済むだろう?」
「彼女は今、再教育中なのです。サリバン夫人にも同席してもらいたいですし、わたくしどもが向かいましょう」
再教育中? サリバン夫人?
突然出てきた言葉に首を傾げるレイモンド。
そんな夫をよそにシスティーナは身支度のために専属侍女を呼び、向かう準備をする。
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